釜山の甘川文化村(カムチョン文化村)は韓国のマチュピチュだと言う。
例えば済州島を韓国のハワイと言ったり海南島を中国のハワイと言うように、キャッチコピーとして今でもハワイと言えばそれなりの効果があるのか「常磐ハワイアンセンター」は改名しても「ハワイアンズ」である。
けれどマチュピチュ?
何故?
どこが?
むしろカムチョン文化村は観光客誘致のために意図的に壁を全部青色に塗った「青の街」と呼ばれるモロッコのシャウエンに似ていた。
シャウエン同様、カムチョンも壁に色を塗り、カラフルな絵を描き、「アートな街」とした結果、同じように観光客の誘致に成功しているが、細い路地が入り組んで迷路みたいになっている点も似ている。
クルージング5日目に寄ったこの町は、朝鮮動乱の時に北朝鮮から逃れてきた人たちが山に住みつき、無秩序に膨れ上がって出来上がった町らしく、いわゆる貧民街だったとか。
一見気まぐれに色を塗ったように見える壁や屋根も遠くから眺めると、この町が統一されたモザイク画に見えるから不思議だ。
日本では神戸や長崎のような港町には高台というところに異人館とかグラバー邸のような高級住宅地ができるが、釜山は反対なのである。
でも山ゆえに坂はめっぽう多くても、さほど高い山ではないだけに、マチュピチュというキャッチコピーにはいささか疑問符がつきまとったが。
観光地化に当たって整備されたカムチョンのメイン通りは幾分広いものの、人が多く車は走りにくい。
そんな観光客が行き交う通りで民族衣装のチマチョゴリを着た何人もの女性とすれ違う。
裾がドレスと同じようにワイヤーで膨らんでいるのでとても可愛かったけど、ガイドさんに言わせれば「着てる人は外国の観光客の方がほとんどです」
なるほど。
日本の観光地でも和服を着て歩いている女性はほぼ外国人女性だが、レンタル民族衣装はどこの国でも女心をくすぐるのだろう。
でもこういうのも民間交流の一環。
我々だって外国人の女性が着物を着て楽しそうに観光地を闊歩しているのを見ると嬉しいもの。
今、韓国と日本は最悪な状態だけど、こんな風にその国の文化や芸能に興味を持つことから始まる交流で、政治家にはできない絆を深められたらいいのに。
そう言えば日本にも「日本のマチュピチュ」と言ってるとこがあるし、同じキャッチコピーを使いたがるとこなんか民族性は結構似てると思う。
ガイドさんに言わせれば、釜山と大阪の人は似てるそうだ。
ソウルと東京の人も似ているとか。
似た者同士と言うのはうまく行く時はいいけど、厄介なことになると始末が悪い。
韓国の人たちは今、おそらくモザイクをかけなければ本音が言えないのではないかと思う。
ガイドさんも日韓関係のことをツアー客に振られたが、それを断ち切るようにきっぱり言った。
「民間交流と政治の話は関係ない」と。
それだけは書いておきたい。
近いうちにまた蜜月期がくることを信じて。
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