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2022年03月29日21:02

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鏑木清方展

3月23日(水)。
上野から竹橋へ回って国立近代美術館の『没後50年 鏑木清方展』へ。
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時間予約制で、竹橋駅の毎日新聞ビル地下のドトールでお昼を兼ねて時間を合わせる。
隣の席に袴姿で女子大の卒業式と思しき二人連れが座った。土地柄から後輩にあたるのかも。

鏑木清方は上村松園と並んで憧れの日本画家。
今回は没後50年の節目に100点余りが一堂に会する絶好の機会。
以前の、長く所在知れずだった『築地明石町』などが再発見された際のお披露目展示には行けなかったので、今回の大規模展は本当に嬉しい。
出品目録を見ると近代美術館、鏑木清方記念美術館をはじめ全国から集められている。

清方の絵はその清冽な佇まい、気品、静の中の動、静の中のドラマが素晴らしい。
特徴的な青灰の色合いも美しく、洋画などの額装とは違って日本画ならではの表装の布や柄の選び方も雅。
『築地明石町』などの絵が等身大に近く大きいなど、印刷物で見たのでは分からないところもよく伝わる。
日本画ならではの線の美しさ。縞模様の着物の線など、本当にためらいがなくて驚く。
単に着飾った美人画でなく、どの人物も着物を日常的に着慣れている生活感があるのもいい。
何枚かの連作の背景に荒波を描いたものがあり、あの北斎的な波の捉え方をしているのにも見とれてしまう。
日本画は線の美術だけにアニメーションと相通じるところがあって、そこに特に惹かれるのだと思う。
『安寿と厨子王丸』や、日本画科出身の小田部羊一さんの線の魅力とも通じる。

開催の言葉に「関東大震災と太平洋戦争を経て、人々の生活も心情も変わっていくなか、あえて不変を貫いた清方の信念と作品は、震災を経験しコロナ禍にあえぐいまの私たちに強く響くことでしょう。」とあって、これも納得。
鎌倉には清方の記念美術館があるとのことで、いつか行ってみたい。
今回唯一残念だったのが、一番好きかもしれない『朝涼』が期間限定で見られなかったことで、これは記念美術館の収蔵品なのだ。

場内は時間指定の効果もあってか丁度いい感じの人の入りで、ゆっくりと観て回れた。
着物姿の人や画学生風の人もいる。
今回は「生活をえがく」「東京」「物語をえがく」「歌舞伎」「小さくえがく」等に分類しての展示。
巡回の京都展ではまた違う並びになる上に下絵なども出品されるそうで、そちらも観られたら嬉しいと思う。
点数が多いだけに見応えも十分。さすが『高畑勲展』をやった所だけのことはある。
途中の4階には休憩できる「眺めのよい部屋」という小部屋があって外の景色も見える。
御堀端には早咲きの桜が咲いていた。
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ショップで絵葉書を買い、折からの「美術館の春まつり」の企画で所蔵作品も観て回り、外のミュージアムショップで違う絵柄の絵葉書を買いなどして外へ。
日本画は平面なので、印刷物になってもそれほどは本物との差異を痛感することもない。
例えばゴッホなどの絵具をこってり盛る画家のはもう全然別ものなのだけれど。
御堀端には枝垂れ桜も咲いていた。毎日新聞のビルも堂々と素敵だ。
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