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2022年03月18日14:20

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TAAF2022短編スロット2

・『HIDE AND SEEK』2021、日本、4:00、ペク・ギュリ
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作者は日本電子専門学校アニメーション研究科を2021年に卒業。
TAAF2022の学生賞を受賞しており、選考委員トークの際にも随分推されていた。
確かに上手い。サスペンス演出も色彩感覚も動きやキャラ設計もプロ並みのレベル。
でも、個人的に、コロナ禍以降特に、この手の命を脅かす系は受け付けられなくなっているので…。

・『乾いた海』2020、ベルギー、11:00、バート・ボサート&イヴ・ベックス
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素晴らしく巧み。別れた妻と娘への想い。バート・ボサートにとってデビュー作にあたり、グラフィック・デザイナーでもあるイヴ・ベックスのセンスが生かされているのかと思う。どうも私はベルギーの作家の感覚が好きらしい。

・『存在する不在』2021、フランス、10:00、マーク・エリシュ
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画面中央に倒れたホームレスの男。不条理な世界。

・『靴の中の小石』2020、フランス&スイス、11:30、エリック・モンショー
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ストップモーション。ウサギたちのクラスに転校してきたカエルの少年。見た目の違和感は異人種の象徴であり、彼が見る白昼夢は難民の記憶だろう。
可愛らしいキャラクター造形、紙粘土的な軽い質感が、現実の問題の重さを中和し、受け入れやすくしてくれる。以前に他の映画祭の配信で観たが、リアルにスクリーンで観る方が当然ながら格段に良く、作品自体の印象も上がる。

・『ママ(Mom)』2020、フランス、9:10、カジカ・アキ・フェラッツィーニ
ディストピア的世界でサバイバルする少女。作者はこのデビュー作を制作する為に仏ゴブランを退学して挑んだという。

・『小さなカカシのものがたり』2020、中国、15:24、ジョウ・ハオラン
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小さなカカシはお気に入りのおもちゃを探して冒険の旅に出る。
最終日に優秀賞を受賞。移民問題なども含んでいる。実はよく覚えていない。

・『束縛』2021、ベルギー、3:40、ニコラス・ピレ
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ロープに繋がれた犬が束縛を逃れて疾走する。
紙と作画のシンプルな画面。創作の原点のようなものを感じる。作画用紙の中に更に枠を設けた画面が束縛感を強調。

・『ウロボロス』2020、フランス、3:20、クロエ・フォレスティエ
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郊外の町。人々を包み込む紫の粘液は何の象徴だろうか。ウロボロスとは己の尾を噛んで環となった蛇の意味で、始まりも終わりも無い完全なものの象徴。

・『きまぐれな雪』2021、フランス、6:56、学生5人のグループ制作
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仏ゴブランの学生の卒業制作。北極大陸で野生動物の写真を撮る写真家が体験する自然。
卒業制作ばなれした上手さに舌を巻く。ゴブランは本当にすごい。この才能がフランスのアニメーション界を支えている。

・『たいせつなこと』2020、フランス、14:00、ポール・マス
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ストップモーション。クラスに馴染めない女の子ジュリー。ある日、自閉症の男の子エミールが転校してくる。
今回多かった精神疾患の問題を取り上げた作品の1本。アニメーションはこうして時流を映す。ちょっと拙いような造形がむしろ効果的で、リアルに寄らないいいバランスでエミールの行動を描写している。クラスの子たちが皆画一的なデザインなのも効果的。
更衣室の出来事が誤解を生み、解決策として転校せざるを得ないこと、次にジュリーが同様の子に会った時に無視してしまうことが現実の重さを反映してやるせない後味。
ジュリーが漫画を描くのが上手く、いつもセーラームーンやドラゴンボールの落書きをしているのが、いかにもフランスだなぁと思う。

・『砂漠の箱舟』2021、韓国、11:46、キム・アルム
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年老いた祖母と孫娘の物語。祖母は孫娘に人間は皆自分の箱舟を持っていること、人生を終えてその箱舟で旅立つことを伝える。祖母を見送り、長じた孫娘もやがて。
アジア的な死生観は日本人の観客に素直に伝わる。落ち着いた色彩も良。どこか『ファーザー・アンド・ドーター』的なものも感じる。

私は12日(土)の選考委員トーク付きプログラムで鑑賞。
心理的なものを描く静かな作品が多かった印象。技術的な巧みさにも圧倒された回だった。
この日の3本は『乾いた海』『靴の中の小石』『たいせつなこと』に投じた。
『きまぐれな雪』の巧みさ、『砂漠の箱舟』も良かったが、そこはストップモーション好きなので。
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