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2020年10月06日15:34

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アイデンティティ。

ちょっと懐かしくなったので本棚を覗いて「西遊記」を読み返そうと思ったら、愛読していた単行本全三巻が見当たらなくて焦った!
「西遊記」ともお付き合いは長い。見つけると取り敢えず手に取ってみて、面白く訳されているものだったり挿絵がよかったり絵本版だったり児童書だったりパロディものだったり漫画だったりを結構買い漁っていたので、自分の本棚には西遊記関係の本はかなりある。御多分に漏れずわたしもまちゃあき版からの入門なのでやはりコミカルな流れのものがいいんだけど、背幅4センチ程もある立派な装丁の本が一冊あって「第一巻」とあるけれど続きがなくて、なんで一冊だけ買ったんだろう…と思って中身を見たらこれまた二段構成で文字がびっしり!ちらりと読んでみてわかりました、この西遊記はめちゃ真面目に書かれていたので、つまらなかったんですねきっと(笑)。
「西遊記」ファンの間でお勧めは中野何某女史訳だそうです。そのうち探して買おうかな、と思いつつ忘れていました(笑)。わたしの愛読していた「西遊記」の訳は彼女版ではないですが、悟空と八戒のやり取りが滅茶苦茶面白いのでお気に入りでした!まー「西遊記」は大抵面白く訳されていますかねー。
中島敦の「悟浄歎異」だったっけ、あれは我々の抱いていた思いを明確にしてくれた小説だと当時衝撃を受けたのですが、確か悟浄が「悟空兄貴とお師匠の関係はアヤシイ」って考察していた話でした(笑←だけじゃないけど)。
これ、分かるよねーーー!(笑)
「西遊記」の小説でも悟空が三蔵に献身的過ぎる描写あり過ぎで、それは師弟関係を越えている程だと思えるくらいなんだけど(笑)、三蔵を女性が演じたドラマを見たら猶の事感じられる悟空とお師匠さんのただならぬ親密さ(笑)なのにドラマを知らない中島敦氏から見ても二人はヤバかった、というわけ…(笑)。

それはそうとして、こんなのも買ってたのか!と見つけたのが劇画版の漫画「西遊記」←ゴルゴ13みたいな。
読んでみたらびっくらこいた内容でした…
登場人物全員ヤ〇ザ!!!?(笑)
中でも三蔵が酷すぎる…酒池肉林まみれ…泣き顔そしたらお釈迦様までも腹黒いキャラだったからドビックリ…唯一まともなのは悟空だけって、なんじゃこりゃ!!!?(笑)
アタイ、なんでこれ買ったの…泣き顔(笑)
そんな話の佳境で、悟空が金角・銀角と戦わざるを得なくなるシーンがありました。この設定では悟空と二人は義兄弟の関係だったので本来は戦いたくなかったけれども仕方なくなんですね。で、結局悟空がやっつけちゃうことになるんだけど、その時金角(だか銀角だか)が言うんです。

「本当は俺たちも人間になりたかった」 ←作中では広島弁風

悟空が火焔山を通り抜けるために二人に協力を要請しに行った時、自分たちがお経を持って帰った暁には二人も人間にしてあげられるから、とお願いしたけれどその時は二人は拒絶したんだよね。でも本心は違った。
人間になりたかったけど、牛魔王には逆らえなかった。
そうして妖怪のまま死んで行っちゃうの。
破廉恥極まりない三蔵の影で、妖怪たちがこうやって哀しく死んでいっていた。
なんつー漫画じゃ…泣き顔気持ちをどう保っていいのか分からんわ泣き顔
ラストシーンも悟空だけが(笑)すごくいい味出していたけれど、続くようだったけれどこれはもうこの一巻のみで満足です…ご馳走さまでした…。パタン。

この漫画でも妖怪が人間になりたいと思っているシーンがあって、それにハッとさせられました。

どうしてみんな人間になりたいと思うんだろうナ。
どうして妖怪ではダメなんだろう。

自分たち自身、人間であることが幸福の一つの姿だと捉えているのかもしれない。

そういう描写が見られることが多々ある中で、

「ぼくは妖怪の方がいいなぁ」

と屈託なく呟いていた鬼太郎さんの言葉に衝撃を受けたことは忘れられない。


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