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2020年01月16日14:13

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ねずみ男と喬太郎さんの語る「死神」。

前から落語を聞きたいなぁと思っていたけれど、誰を聞いたらいいのかよく分からなくてそのうちそのうち…と毎度のことながら後回しにしていたんだけれども、今回ちょっとしたことがきっかけで聞き始めることができ、そうして柳家喬太郎師匠(とお呼びするのかな?)に辿り着きました!うれしい顔ぴかぴか(新しい)

すっごーく好きな話し方ぴかぴか(新しい)

へんに作りすぎもせず、流れるような語り口調、江戸弁の心地よさは聞きやすくて複数人の登場人物がいてもしっかり声を分けて語ってくれるので場面が目に浮かぶよう。

今大好きで一生懸命聞いているところですぴかぴか(新しい)

ところで、いろいろ探していたところに再会したのが「一目上がり」という落語。
これはムスメが小さい頃よく見ていたEテレで放送していたほんの5分ほどの「子供寄席」という落語のアニメで出会ったのがお初だったんですが、構成が面白くて「スゴイ!!!ぴかぴか(新しい)」と感動した落語なんです。
掛物の説明で、「賛」を「三」・「詩」を「四」・「悟」を「五」…というように、言葉と数字を抱き合わせていくお話。うまいもんだなと思うのは、「ろく」という名の付く文体がない。どうするかと思ったら八さんに、「この掛物は六でしょ!」と言わせておいて「七福神だよ」と「六」を飛ばして「七」を出した!「はち」はどうするかと見ていると、次の掛物に目をやらせ、

「そんなら奥のものは八だね」

「なに、芭蕉の句だ」

と、見事に「九」まで辿り着きました!
この展開が面白くてすごーい!と思ったぴかぴか(新しい)

世界にも言葉遊びなんかはたくさんあって、マザーグースもそうだろうし、ラップも言葉遊びに含まれるような気がするけれど、日本の話芸はこれまた独特。
喬太郎さんの噺の中で、海外に行った時の体験でその土地にまつわる怪談話を聞かせてもらったというものがあり、でもそこで聞かされる内容は興味だけそそってオチなし、的が多かったらしく、「起・承で終わっちゃう」んだとか。「続きは−−−!!?」ってのたうちまわっていた(笑)。そうして仕方がないから自分たちで勝手にオチを付けて満足、というかその話の内容に解釈つけていたそうだけれども、そのオチがさすがに噺家さんだなって笑わせて頂きましたうれしい顔ぴかぴか(新しい)
日本人はとかく「オチ」を重要視するもんだナ、と思ったし、話の流れを大事にするからスピーチって苦手なんだろうな、とも実感しました次第です。

それはそれとして、先述した「子供寄席」ではご存じ「死神」という落語も放送されていました。
この時の絵がですネ、水木画だったんですよね−−−!!!!!!ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)
ところでテレビを見ていますと時々再現マンガが流れてそれが水木画だったりすること多々ありますね!某番組でよく見かけていましたが、最近知った事実…描かれていたのはドリヤス工場さまでした……!!!泣き顔ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)気づいた瞬間、しばし金縛り状態になりまちた泣き顔ぴかぴか(新しい)
でまぁそれはそれとしてですね、「一目上がり」を見たら「死神」も見たくなったので検索してみたんだけど、ねずみ男が語っている形でしたねーうれしい顔そして登場する死神が水木マンガ常連のあのいつもの死神だったので笑った(←そりゃそうだ笑)。「死神」という落語の演目にピッタリの絵柄だったと思います、不気味だけれどどこかユーモラスで。それがラストシーンの男の必死な表情にも表れていて、怖ろしさと焦りからくる不安とが混ざり合った水木キャラなればこその不気味さが漂っていて話の恐さをより一層引き立てていたと思います(←褒めてるから)。
ただわたしが発見した動画は音が低くて内容がよく聞き取れない。なので、再び喬太郎さんへ戻って「死神」を聞かせてもらいました。
喬太郎さんの死神は水木キャラの死神とは別人だナ、貫禄がある(笑)、と思いつつ聞きほれてラストシーンです。
約束を破られた死神が男を責めるシーンでの言葉。

「寿命をどうこうできるほど、人間は偉いのかぃ」

そして寿命をなくしかけている男に向かい死神は新しい蝋燭へ自分の寿命の炎を継ぎ足してみろと言うシーンを聞いて、あぁ、と思いました。

死神は人間にチャンスを与えたのではないんだな。命の重み、寿命の絶対さ、それは人間にはどうすることもできない神の領域で扱われることなんだな。

多分、この男が焦りもせず手も震えず、汗が目にしみることもなく冷静になって蝋燭を持ち寿命の炎を継ぎ足そうとしたってきっと、新しい蝋燭に命の火は灯るまい、と思いました。死神が男へ新しい蝋燭を渡したのは泣きの一回を与えたのではない、きっと約束を反故にして勝手に寿命をどうこうしてしまった人間に残酷な絶望を与えるためだったんだろうと思います。
そう考えると、理不尽さや不条理、現実を見せつける他にも人間の愚かさや傲慢さへの皮肉なんかも存分に表していた「水木漫画」の水木画を起用し、尚且つこれを原作では残酷な一面を見せるねずみ男に語らせる形式を取った「子供寄席」の「死神」という作品は、ものすごく考えられたいい作品だったと思うのですうれしい顔ぴかぴか(新しい)


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