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2016年05月18日00:02

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近藤ようこ先生トークライブ!

先週5月14日、神保町の日本マンガ塾にて、飯田耕一郎さん司会進行で、近藤ようこ先生のトークイベントがありました。
翌日には、永井さんがファンサイトで詳しくわかりやすく書かれていて、
http://kondoyoko.sblo.jp/article/175298407.html
私はいっかなとも思ったのですが、やっぱり初めて近藤先生のお話をうかがえた機会だったので、備忘のためにもメモっておきます。

デビュー前の話。
新潟の高1のとき、同級生の高橋留美子さんと漫研をつくった。
お互い、池上遼一が好きという共通点があった。3学年で10人以上の部員がいたそう。漫研部員のほとんどは、読むのが主体で、年一回同人誌のようなものをつくるくらい。その中でひとり本格的に描いていたのが高橋留美子さん。スクリーントーンも使ってたとか。
(※新潟出身のダンナに聞いたら、新潟中央高校、以前は女子高(今は共学)で、新潟ではかなり優秀な高校で憧れだったとか)
その後、留美子さんは日本女子大へ(同期は目白花子さん)、近藤先生は国学院大へ。民俗学を専攻したが、もっと勉強しておけばよかったと悔やまれるが、結果として役立っている。

デビュー後。
大学卒業して紀伊国屋書店に勤める。しかし、すでに「ガロ」に『ものろおぐ』が掲載されデビューし、「劇画アリス」他でも描いており、書店の仕事と併用では身体がもたないと1年で辞める。
(※飯田さん言、三流エロ劇画ブームの頃、「劇画アリス」初代編集長の亀和田武が自分自身をジュリーと呼んでいたことなど(笑))
「劇画アリス」では米沢さんが編集長の時代に描いた。『蒼空願望』etc.
アリス連載では『身毒丸』が最後だった。これが中世もののはじまり。

エロ劇画時代、もらえるページが少ない(8Pとか12Pとか?)ので、ストーリーものを描きたかったが描けなかった。キャラクターをつなげていって、発表する雑誌はバラバラだけど連作にしたり。そういうことをやらないと、自分がもたなかった。

(飯田さんから、近藤ようこ作品の世界感の広さ、伝奇ものから日常ものまでの幅の広さについての話から)

一時期、仕事がなくなって、持ち込みした先である編集者にはあなたはプロになれないよと言われたこともあったとか。(ひどい!)
「サンデーまんが」(よく存じあげませんが4コマ誌?)に畑中純さんが紹介してくれ、著作の『まんだら屋の良太』を読んでみたらとても面白い。畑中純さんに影響を受けた。現代もので幅が広がったのはそこから。
『見晴らしガ丘にて』では1話1話が独立した話。いろんなキャラを描き分ける訓練になっている。

昔ものと現代ものを描く際、難しさの質が違う。ただ、時代ものは、思い切ったことができる。中世ものの例で『美しの首』。生首の絵を見ながら、現代ものでこれは難しいだろうと。
中世ものの場合、やはりそのまま描いては駄目。とっつきやすい部分をつくっていかなきゃいけない。心情とかは現代人の気持ちに合わせ、微妙に調整する。

室町末〜江戸初期あたりだと、他の漫画家さんとネタがかぶりにくい。
考証は時代ものも現代ものも必要だし、時代もののほうが絵は簡単。それと、現代ものをずっと描いているとストレスがたまる。

文学作品の漫画化について。
小学館の課金制オンライン雑誌サイトで、坂口安吾シリーズ。『夜長姫と耳男』『桜の森の満開の下』
『戦争と一人の女』は描き下ろしということで、覚悟が決まるまで何年もかかった。他の仕事をしながら、下調べしたり勉強したり。

安吾小説はあまり完成度が高くない。抽象的なことしか書かれてなかったり。『戦争と一人の女』は主人公二人だけで、それだと話が進まない。カマキリというキャラはすごくたっていて、話が進む。

漫画にできない小説はある。安吾も難しい。
でも、穴を自分が埋めることはできる。また安吾はこういうものは書かないということだけはわかる。

戦時中、当時の日本人が本当は何を考えていたのか知りたくて参考にしたくて、日記を読んだ。高見順とか永井荷風とか。
東京の空襲の写真が、警視庁のものしかなかったが、ひょんなことから広告会社のものがでてきたり。
資料があるのも大変だが、資料がないのもまた大変。

『夜長姫と耳男』の蛇の死体が大量にぶらさがった印象的なシーンを、飯田さんが図版紹介。
これが描きたかったと近藤先生。

『死者の書』は描けると思わなかったが、描きたいと言ったら「コミックビーム」で描かせてもらえることに。
原作は時系列がわざとバラバラになっていて(もとは時系列だったが)、わかりにくいので時系列に変えて、でも最初の「したしたした」の部分は掴みとして最初のままに。
原作は史実や背景がわかってる人向けに書かれているので、説明を入れて描いた。
コミックビームから連載開始時にカラーをくれると言われたが、最初は夜道のシーンなのでいりませんと言ったが、4Pカラーになり結果的によかった。

原作に解釈は入れないでそのまま描いている。手引きになればいいと思ってる。『死者の書』原作を読んで欲しいと思っているので。
またこの『死者の書』の漫画化は、私じゃないとできないという自負はあるとはっきり。
夏目漱石の『夢十夜』の連載も予定されてるとか。

質問コーナー
構図は意識的につくっている。
(『戦争と一人の女』で女の生足の間からカマキリがまぶしそうに見上げてる図の紹介)
『夜長姫と耳男』は手塚絵で浮かび描きたかったが。
自分の限界と折り合いをつけながら、つくってる。

エロ劇画時代の頃。無理やり描いていた。当時、自身の女性としての経験を描いているのかと思われたようだが、そういったものを利用していたし、計算づくで戦略的につくっていた。絵はあまりほめられたことはないが、線はエロいと思う。

ネームを描いて、編集者に見せて、なにか言われたらそのとおりにしてる。一晩で24P直したことも。コミックビームでは何も言われない。
なので、編集によって仕事に違いが出てくる。説明のできない、「ちがう」しか言えないような編集が一番困る。
自分は度胸がない。恐いので、編集の顔をうかがいながら、やっている。
(このへんは、話半分でしょうか)
『死者の書』は高校生のときに原作を読んで、ずっと好きだった。郎女キャラが面白いと思った。

お話のあとは、サイン会など。書籍の売り上げ金は熊本自身の義援金ということで、私も列に並びました。
我が家の『猫の草子』違う版のも入れると3冊にw。

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