7月19日(日)、特別講演「萩尾望都先生の漫画技法と表現」を聴きに女子美杉並校に行ってきました。感想ツイートまとめはこちら
http://togetter.com/li/849519
詳細は萩尾望都作品目録さんのところにあがると思いますが、私も備忘のためにメモ。(そのままの話とはやや違っているかも。意訳ありありです)
今回は話をしながら実演、作品を年代順にキャラクターを描きつつ、まさに漫画技法な話満載でしたよ。
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2歳の頃から絵を描き始め、小学校の頃に鯉のぼりを描いたら、これは大人が手伝っただろうと信じてもらえなかったエピソードを、司会進行の内山博子先生が披露。
「ルルとミミ」(1969)
服飾学校で8等身にすると服もはえるし、バランスもとりやすい。頭1に対して、くるぶしまで8。
※実演ではすべて、まず定規で縦線を引いて、8つに割って、頭、胴体、腰、足、手足をその区切った中に鉛筆でざっとおさめて、サインペンで上描きする方式で進みました。
萩尾先生も昔はお菓子をつくっていた。蒸しパン、ホットケーキ、カステラ等洋菓子系。
和菓子は神秘の極地で全然、つくったのはお汁粉ぜんざいくらい。
「ビアンカ」(1970)
肩幅を少し変えるだけで、新しくなったり古くなったり
自分は筆圧がないので、太くしなければと力を入れていたが、
ビアンカはシリアスだからいいかと前よりは細いタッチ。そのほうが描きやすい。
コメディもシリアスも描きたかった。「なかよし」の担当は可愛くて楽しいものを描いてほしいと。
本の影響は大きい。小中高で摂取したもの、養分がたまって、それを20代で吐き出した感じ。
「モードリン」(1971)
「なかよし」で没。のちに、小学館で拾ってもらった。
雑誌によってストーリーの制限はある。売れないけれど描き続けること。ただ、ダメダメと言われ続けたので、自分の感覚はヘンなんだろうかと悩んだ。
ただ、好きなものはこれだけ、これしか好きじゃないから、自費出版という形でも出していたと思う。好きだったら、100回没でもあきらめてはいけない。
小学館の山本さんが気に入ってくれて、全部買ってくれた。出会えてよかった。
「ポーの一族」(1972)
はじめにイメージがあって、そのイメージを生かすために画面構成、はみだしたり、効果を考えたり。
ページをめくるときに、飽きさせてはいけない。<引き>
コマのリズムで読者を巻き込むことができたら、ページをめくってもらえる。
吸血鬼はいろんな時代を生きている。
このドレスを着せたいから、この時代にしようとか。
「トーマの心臓」(1974)
(最初のページを見ながら)ちょうど東京は雪だった。もし雨だったら雨になっていた。偶然が支配してる。雪のシーンで儚さが出た。
ずっと雪。雪でおおわれてる。上も下も右も左も雪(を表現)
3月、ドイツの気候だったら、ほんとだったら犬は死んでしまう。20代のこの頃はまだヨーロッパに行ってない。
トーマのときも8等身。
主人公が女の子から男の子変わっていった頃。当時は少年が出てくるのは、冒険マンガしか思いつかなかった。
映画「悲しみの天使」(のちに「寄宿舎」と改題)は男子校の恋愛を描いていて、感銘を受けた。ヘッセが好きで、強引に舞台をドイツにした。
14歳の頃、自分にレーゾンデートル(存在理由)はあるだろうかと考えた。
みそっかすで、勉強も特にできない、友だちにもやさしくない。それだったら、いい人間になろうと。神様に生きててもいいよと言われるような。
でも、14歳だから、いい人間になるといっても、いい生徒、いい娘であることくらいしか思いつかない。そうなろうと思ったけれど、1週間で挫折あきらめた。
「トーマの心臓」では、いい人間になりたいという少年を出した。自分では無理だからキャラクターにやらせて、心の中で無理だよ〜って(笑)。
「この娘(コ)うります!」(1975)
トーマでアンケート最下位だったので、コメディものを。キャラの眼も大きく、明るいものに。
タイトルは木原敏江さんがつけてくれた。彼女の言葉のセンスが面白いので頼んだらつけてくれた。(決して娼婦の話ではなく)モデルとして売り出す話。
「アロイス」(1975)
枠がなくなっている(と内山先生)
「11人いる!」(1975)
宮沢賢治の「ざしき童子(ぼっこ)」に10人いたはずが11人いたという話から。
フロルは性に未分化な存在。
手塚治虫「メトロポリス」のミッチイも、男でも女でもない。
ル=グウィンの「闇の左手」にも雌雄同体が。
今回の実演は、太めのサインペンで描いてますが、線の太さに変化ないです。
いつも使用してるGペンだと、線の太さに変化があります。
「スターレッド」(1978)
肩幅が広くなって、肉付きもよくなってる。
急な連載で3日で予告を描くことに。内容もそのとき思いついたものが続いた。
火星の写真集があった。
火星に住んでた女の子が、なぜ地球にいるのか。白い髪で赤い眼で
若いとチャレンジできるし、失敗してもヘヘと言える。
歳をとったら怖いもんなしで、同上(笑)。
エルグは最初はモブだった。
(どの作品のことだったか曖昧です。「11人いる!」「スターレッド」?)
松本零士のアシのひおあきらさんに入ってもらったら、宇宙船がヤマトになっちゃう。
にしても2本の線が立ち上がって見えた。線の力をまざまざと見せてもらった。
「銀の三角」(1980)
10等身くらい。眼も小さくなる。
こちらは、最後まで構想してたもの。
「マージナル」(1985)
頭小さい。
キャラが男ばかりで楽しく楽しく描いた。
枠がなくても、目線をひっぱる仕組みをつくっている。目をさえぎるものをつくらない。
ゼブラのGペンから少し硬いタチカワのGペンに。さらに手の痛みにより、ニッコーのGペンを使用。
「イグアナの娘」(1992)
4等身。
ギャグマンガのエロガー・ポーチネロも4等身。
ゆるキャラ、エドガーとアランや、「王妃マルゴ」の4等身キャラとか。
最後は駆け足でおしまい。
萩尾先生、相変わらずひょうひょうとギャグを飛ばしておられました。
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