mixiユーザー(id:137593)

2015年07月27日19:49

1982 view

【萩尾望都先生の漫画技法と表現】

7月19日(日)、特別講演「萩尾望都先生の漫画技法と表現」を聴きに女子美杉並校に行ってきました。感想ツイートまとめはこちらhttp://togetter.com/li/849519
詳細は萩尾望都作品目録さんのところにあがると思いますが、私も備忘のためにメモ。(そのままの話とはやや違っているかも。意訳ありありです)

今回は話をしながら実演、作品を年代順にキャラクターを描きつつ、まさに漫画技法な話満載でしたよ。

*****************************************************

2歳の頃から絵を描き始め、小学校の頃に鯉のぼりを描いたら、これは大人が手伝っただろうと信じてもらえなかったエピソードを、司会進行の内山博子先生が披露。

「ルルとミミ」(1969)
服飾学校で8等身にすると服もはえるし、バランスもとりやすい。頭1に対して、くるぶしまで8。
※実演ではすべて、まず定規で縦線を引いて、8つに割って、頭、胴体、腰、足、手足をその区切った中に鉛筆でざっとおさめて、サインペンで上描きする方式で進みました。

萩尾先生も昔はお菓子をつくっていた。蒸しパン、ホットケーキ、カステラ等洋菓子系。
和菓子は神秘の極地で全然、つくったのはお汁粉ぜんざいくらい。

「ビアンカ」(1970)
肩幅を少し変えるだけで、新しくなったり古くなったり
自分は筆圧がないので、太くしなければと力を入れていたが、
ビアンカはシリアスだからいいかと前よりは細いタッチ。そのほうが描きやすい。

コメディもシリアスも描きたかった。「なかよし」の担当は可愛くて楽しいものを描いてほしいと。

本の影響は大きい。小中高で摂取したもの、養分がたまって、それを20代で吐き出した感じ。

「モードリン」(1971)
「なかよし」で没。のちに、小学館で拾ってもらった。
雑誌によってストーリーの制限はある。売れないけれど描き続けること。ただ、ダメダメと言われ続けたので、自分の感覚はヘンなんだろうかと悩んだ。
ただ、好きなものはこれだけ、これしか好きじゃないから、自費出版という形でも出していたと思う。好きだったら、100回没でもあきらめてはいけない。
小学館の山本さんが気に入ってくれて、全部買ってくれた。出会えてよかった。

「ポーの一族」(1972)
はじめにイメージがあって、そのイメージを生かすために画面構成、はみだしたり、効果を考えたり。
ページをめくるときに、飽きさせてはいけない。<引き>
コマのリズムで読者を巻き込むことができたら、ページをめくってもらえる。

吸血鬼はいろんな時代を生きている。
このドレスを着せたいから、この時代にしようとか。

「トーマの心臓」(1974)
(最初のページを見ながら)ちょうど東京は雪だった。もし雨だったら雨になっていた。偶然が支配してる。雪のシーンで儚さが出た。
ずっと雪。雪でおおわれてる。上も下も右も左も雪(を表現)
3月、ドイツの気候だったら、ほんとだったら犬は死んでしまう。20代のこの頃はまだヨーロッパに行ってない。

トーマのときも8等身。
主人公が女の子から男の子変わっていった頃。当時は少年が出てくるのは、冒険マンガしか思いつかなかった。
映画「悲しみの天使」(のちに「寄宿舎」と改題)は男子校の恋愛を描いていて、感銘を受けた。ヘッセが好きで、強引に舞台をドイツにした。

14歳の頃、自分にレーゾンデートル(存在理由)はあるだろうかと考えた。
みそっかすで、勉強も特にできない、友だちにもやさしくない。それだったら、いい人間になろうと。神様に生きててもいいよと言われるような。
でも、14歳だから、いい人間になるといっても、いい生徒、いい娘であることくらいしか思いつかない。そうなろうと思ったけれど、1週間で挫折あきらめた。
「トーマの心臓」では、いい人間になりたいという少年を出した。自分では無理だからキャラクターにやらせて、心の中で無理だよ〜って(笑)。

「この娘(コ)うります!」(1975)
トーマでアンケート最下位だったので、コメディものを。キャラの眼も大きく、明るいものに。
タイトルは木原敏江さんがつけてくれた。彼女の言葉のセンスが面白いので頼んだらつけてくれた。(決して娼婦の話ではなく)モデルとして売り出す話。

「アロイス」(1975)
枠がなくなっている(と内山先生)

「11人いる!」(1975)
宮沢賢治の「ざしき童子(ぼっこ)」に10人いたはずが11人いたという話から。

フロルは性に未分化な存在。
手塚治虫「メトロポリス」のミッチイも、男でも女でもない。
ル=グウィンの「闇の左手」にも雌雄同体が。

今回の実演は、太めのサインペンで描いてますが、線の太さに変化ないです。
いつも使用してるGペンだと、線の太さに変化があります。

「スターレッド」(1978)
肩幅が広くなって、肉付きもよくなってる。

急な連載で3日で予告を描くことに。内容もそのとき思いついたものが続いた。
火星の写真集があった。
火星に住んでた女の子が、なぜ地球にいるのか。白い髪で赤い眼で

若いとチャレンジできるし、失敗してもヘヘと言える。
歳をとったら怖いもんなしで、同上(笑)。
エルグは最初はモブだった。

(どの作品のことだったか曖昧です。「11人いる!」「スターレッド」?)
松本零士のアシのひおあきらさんに入ってもらったら、宇宙船がヤマトになっちゃう。
にしても2本の線が立ち上がって見えた。線の力をまざまざと見せてもらった。

「銀の三角」(1980)
10等身くらい。眼も小さくなる。
こちらは、最後まで構想してたもの。

「マージナル」(1985)
頭小さい。
キャラが男ばかりで楽しく楽しく描いた。

枠がなくても、目線をひっぱる仕組みをつくっている。目をさえぎるものをつくらない。

ゼブラのGペンから少し硬いタチカワのGペンに。さらに手の痛みにより、ニッコーのGペンを使用。

「イグアナの娘」(1992)
4等身。
ギャグマンガのエロガー・ポーチネロも4等身。
ゆるキャラ、エドガーとアランや、「王妃マルゴ」の4等身キャラとか。

最後は駆け足でおしまい。
萩尾先生、相変わらずひょうひょうとギャグを飛ばしておられました。
13 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年07月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031