開催での感染が起こっても、主催側に「責任は問えない」。

色々賛否があり、とりわけ「もしも・・」についての
“責任問題と所存”を言う向きがありますけど・・。

前提として。
現在政府が発したのは「中止や延期の検討・要請」です。
言うまでもなく、要請は命令・指示というような拘束力がありません。

よって、要請を受けた側がどのような決断をするかについて、
市民や消費者による批判が起こることは受容すべき点が多少あるものの、
それを受けて断念するか否かの決定権（裁量権）は主催側に置かれ、
依然として、全て委ねられている状態にあります。
ここは揺るがない事実であります。

したがって、もし強行開催の末、催しが感染の起源となり、
結果的に感染拡大を助長したとしても、主催側に対する法的な責任は一切問えません。

もし、責任を問おうとするならば（問えるとするならば）・・
政府がインフル特措法等を基にした「非常事態宣言」の類を発令し、
行政府による一定程度の法的な強制力を発生させた上でなければなりません。

しかし、それでも絶対的な責任を主催側に問えるかどうか、
実は結構微妙だろうと思います。何故なら・・
「人が集い、感染拡大する恐れのある場所」は他にも多数あるからです。

伝染疾病の類は、大勢の人が集結する「密度」を理由にして、
感染拡大への懸念を掲げることは一定の合理性がありますが、
ではその基準がどの程度の密度で、どの程度の割合だった場合に
危険値が上がるのかどうかは、明確な定めがありません。

それを基にすると。「デパート」や「スーパー」の場合、
駅構内やバスターミナル、複合ショッピングセンターの場合・・等など、
「人の数や密度」が高まる場所・対象は他にも多く存在するわけで、
ではそれらは感染の確率が低いのか・・明確には言えないでしょう。

コンサートは、会場規模にもよるとはいえ、一度に集まる度合いは確かに高い。
一方、上記の各施設はコンサートに比べて度合いは低いものの、
営業時間の長さに加え、人の出入りがずっと継続しているので、
述べにすると一本のコンサートを簡単に凌ぐ場合が多々あります。

とすれば、それらの場所は営業や開業を行っていてもよくて、
コンサートは駄目・・という為の論理的・科学的等の整合性がつかないのです。

ここで想像されるのは「それらは公的業務や、公共空間だから可」という理由付け。
公共交通機関は確かに公的分類であり、間接的な接続空間もまた同様です。
しかし、どうあれ「営業行為」の一貫であるばかりか、デパートやスーパー等は
ほぼ完全に「営業空間」です。

「いや、それらの店舗は日常生活における必要業種だから許される」という理由。
確かに必要業種でしょう。では、コンサートや催事は必要じゃない、または
それ以下である・・との論理整合性を、どのようにして構築出来るのか、です。

催事類は「余暇的分類のサービス業」という言い方が出来ます。
大きな括りで言う所の「文化事業」です。文化は、生身の人間が日々生活する上での、
大変重要な構成要件です。それを緊急的に、且つ一時的に後回しとすることは
可能ですし、時と場合によってその必要性は多少あるとも思います。

しかし、本件「感染拡大の防止」という観点を基軸にすると、
では同じ「文化提供の一端」である「ビデオレンタル店の営業」、
「本屋さんの営業」、「カラオケボックス」、「映画館」、「CDショップ」・・
数多の業種店舗営業は可とする為の理由は何なのか、です。

それらを是とするのは、結局「客の密度」でしかないわけです。
それでは真の「感染拡大防止」とはなりません。
「人の流通」そのものが活発に機能されている条件下では・・。

詰まる所、そうした場所を利用するかしないか、行くか行かないかの最終判断は
「個人に帰結される」のです。これを「自己責任」と呼ぶには、
事情が事情なだけに、冷徹で非社会的な印象にはあります。

けれども、事が重大性を帯びれば帯びるほど、行政からの求めであればあるほど、
法的な厳格性を横置きにしては論じられなくなるのです。

したがって、賛否の論点として挙げられるとすれば、
「企業倫理的・社会道義的側面」でどうなのか・・という点でしょう。

しかして、その観点で考えるにしても、上記の他業種における是非も同時に比較検討し、整合性や合理性をつけなくてはなりませんし、付ける上ではやはり
「行政による求めの内容」が必須要件となる以上、基となる「法的根拠」は
益々重要となる・・ということになると思います。。

■椎名林檎さんの東京事変、ライブ決行へ　払い戻しは可能
(朝日新聞デジタル - 02月27日 19:32)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5989120