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2019年11月05日21:21

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興行における、“著作権料”の本来的なあり方。

冒頭に書かれている「著作権法違反(演奏権の侵害)」についての内容。

>JASRAC(日本音楽著作権協会)が管理する楽曲を許可を得ずに、
歌手に歌わせていたとして

とあるけども。そもそも、この罪状理由の中身自体「思いっきり間違っている」のね。

本来、興行(公演)を実施するにあたって、興行主と演者側との契約には、
「JASRACに対して“先に著作権料を支払う”旨の要件」になってもいなければ、
それ以前の話として「演奏歌唱される楽曲の内訳は、当日にならないと判明しない」
のであるから、事前にJASRACへの許諾申請が出来る道理はないわけで。

したがって、通常は公演終了後に作られる「精算決算書」の範疇において、
興行主側が別途「当日行われた演奏曲目」の内訳をJASRAC側に提出し、
それに従った金額と請求に沿って後日納付する・・のが順路であるから、
公演前の先にJASRACの許可を得ないと歌手に歌わせられない・・
なんて理屈が成立せず、事由も甚だ不適切が過ぎるって話。

という前提はともかく・・。

当事案の内容を観ると、興行主プロモーターは同じ内容で過去にも前歴がある・・
という背景から、刑事告訴〜逮捕の流れとなるのは必然的、との解釈をするに
特段の無理もない・・とは一応言える。

それはそれとして。
その前段として考えないといけない重要なことは
「なぜ興行主側が、再三の警告(要請)を無視したのか(抗ったのか)」だ。
それはここに、潜在的な問題が今もなお横たわっているからなのね。

戦後、およそ1960年代辺りから、日本の興行分野における内容が、
相当に「アメリカンスタイル」へ・・即ち“資本主義形態”のビジネススタイルに
大きく様変わりしていった背景経緯がある。

それ以前の、戦前古来のように「見世物小屋」で客から入場観覧料を徴収するという、
至ってシンプルな構造ではなくなっていった・・との変貌を抑えておかねばならず。

タレント演者による公演催事は、自らの芸能活動における宣伝営業を行うにあたっての、
数々の手法の内の一つという位置付け・解釈が定型的になっていったのであり、
音楽家の場合はレコード(CD)セールスを基軸にし、メディア出演や媒体露出等々を
重ねながら、「タレント価値や売り上げを、複合手法の構築によって総合的に高める」
というスタイルで確立。時節毎で諸処アレンジを経ながら、今なおその途上にある。

という基本構造にあって、興行主は単に演者タレントの興行を打ち(公演を買い)、
その利ざやで飯を食う・・という古来の有り様とは異なり、
『タレントセールスを行うプロモーター』として、CDメーカーのプロモーターと
実質的に同じ立ち位置、存在になっているのが実態なんであり。

会場を埋める為の販促作業は、「タレントプロモーション活動」そのものであり、
売り上げ(観客)の大小は、タレント自身のセールスや価値を左右する。
つまり。興行プロモーターは「タレントと一蓮托生の深い関係性にある」。

という前提を踏まえつつ。
では、公演開催にあたって発生する、必要だとする著作権料はどう解釈すべきか。

演奏楽曲の作者がタレント本人であった場合。自分が自分のセールスを行う手段として
ライヴを行ったのであれば、一蓮托生の関係性にある興行主から
別途「権料を頂く」という理屈は甚だおかしい話。
なぜなら、そもそもライヴはタレント側として「出演料(ギャラ)」が
収益の柱であって、基本的に定められた額を興行主から得ているからだ。

よって、法の論理を純然に当て嵌めた上で、尚も権料は発生するのだとし、
その額を徴収する必要があるとするならば、本当は
『出演料の中に含まれている』格好にしなきゃいけない話なのね。

簡単な話、自分が作った楽曲を自分の手で演奏し歌うのに、なんで権料は
一旦別の管理組織に委ね収められ、そこから手数料を引かれた額を
頂かなきゃいけないのか・・ってことなので。
自分が自分で作った楽曲を生で歌い演奏し、そのギャラ報酬を貰う・・
そこでビジネスは完遂してなきゃおかしいわけですよ。

他方。
公演で用いられた楽曲作者がタレント本人ではなく「他者」だった場合。
そこで発生する権料は、作者に対して「タレント側から支払われる」格好じゃなければ
筋論として成り立たない話。

何故なら、興行主側から「その曲を演じてくれ」との具体的な要請にはないから。
あくまで演奏曲目や内容の決定権は全て「演者側にある」から。
タレント自身が他者の作品を(自分の持ち歌であっても)演ずることが、
公演をより彩って成功させるために不可欠だ・・との判断によるものだから。

上のどちらにせよ、そのための演奏料〜出演料が発生し、
その額は興行主側から支払われているのに、尚も別途権料を払うというのは、
明らかに「二重払い」なわけです。

タレントセールスを行うにあたり、公演日まで汗して走り回った興行プロモーターから、
ギャラ報酬以外に権料まで頂く・・その楽曲を間接的に売るため尽力した人から・・。
これ、どう考えてもおかしな話。

何よりも重大なことは・・その著作権料は、他でもない観客から「入場料」として
徴収されている、という所にあるわけです。
観客側も同じく「眼の前のパフォーマンス代」を払ってるわけで、
上記の理屈と同じくして、タレント自身が作った楽曲なら、本人が演奏した段階で
それ自体が「著作」なのだから、パフォーマンス代金に内包されてなきゃいけない話。

結局の所。JASRACの考えている「興行」は、戦前から戦後にかけてみられた
「見世物小屋における利ざや構造」のままで固着、現代のビジネス構造や要件を
まるで理解していない・・または、あえて「昔の概念規定」に据え置くことが、
組織の収益向上のためには得策だ・・と考えてるからでしょう。

1980年代の後半から90年代初頭辺りにかけて、突如としてJASRAC側から打ち出された
「公演催事における著作権料」について、当時多くのプロモーター側から異論や反発が
起こり、随分と紛糾した経緯がある。

この一件は、未だその名残りから派生している・・と観ることが出来るわけです。

悲しいかなその根幹には、本件の興行主プロモーターが、旧式の風習を踏襲しがちな
「演歌系を主にしているプロモーター」である・・これが介在している辺りに、
この問題を根深くさせている要因が絡んでいる・・と観るべきでしょう。。

■JASRAC「極めて悪質だ」、楽曲を無断利用した「歌謡ショー」企画の会社役員ら逮捕
(弁護士ドットコム - 11月05日 14:51)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=149&from=diary&id=5852436
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