「コメ離れさせた」のは誰なのか・・。

“コメ離れ”・・というけれど。
実態としては「コメ以外を食べさせる施策」を、国が積極的に推進して来た結果・・
でもありますからねぇ。これをまるっとふんわり「飽食の時代」なんて言葉で
ぼやかせてるだけで。

減反政策の拡大や、近年遂に無理やり終わらせた“減反補助金”に関しても、
エコノミストやらを動員して「農家の補助金漬け」なんて評価で総攻撃してた末のこと。
結果観てご覧なさいな、餌用とはいえ結局は「補助金・助成金のスライド」で補填や
生産奨励していかないと、農業そのものを維持持続させることは出来ない・・
ってことを、こうして指し示してるんだから。

「努力が足りない」、「言われたまんまで知恵を使ってこなかった農家が悪い」
まぁ色々とテキトーで無責任な言説によって、生産者らをいじめ抜いたもんですわ。

その結果どうなったか？言わずもがな、農家戸数の減少は止まらず、
行き当りばったりな輸入政策を推し進め、不必要な分まで買わされ、
挙げ句は高級果樹等の高単価のものだけ取り上げて「輸出高は順調に伸びてる」
なんぞで言い包める、農業に無関心な街場坊っちゃんの為政者が意気揚々と
顎上げたって、現地じゃみんな白けきって鼻で笑ってますよ、っと。

コメで長年勝負掛けて、そのために土壌と会話しつつ、お天道様と格闘し・・
毎年同じ条件のない中で四苦八苦して来た生産者は、どうやったら品質の高いコメ、
美味いコメになるか、年中頭を捻って来たわけで。
それがいきなり、収入源として機能はしても、根源的な部分として
「家畜に食わせるコメ」に“レベルを落とす”ことは、積み上げてきた独特のプライドや、
確立した技術体系の根本にある骨子を、半ば覆い隠す、否定することにさえ
なり得るわけで、それはそう易易と出来る作業ではないのですよ。

で、この内容・・。

養鶏にせよ、酪農畜産にせよ、糞尿リサイクルの構造は昔からあって、
時代の推移毎に中身が変化しながら今に至るけれど・・
現代の要件で大きな障壁は「散布するために必要な運搬と施肥労力、そして品質」。
この問題が立ちはだかっていて、実のところ有機質堆肥の投入比率は
「低いまま」で推移してるのね。

養鶏や酪畜業者・生産者は、厄介で邪魔な糞尿を出来るだけ早く循環に廻したいし、
向ける先の面積だって十分に存在するものの、いざ各生産圃場に搬入するとなると、
その分のコストが発生する。じゃあその分は何処に転嫁すべきか・・

もう一つの問題。鶏糞にせよ、畜産由来の豚糞にせよ、牛糞にせよ、
堆積し切り替えを経て堆肥化をしても、その原型で散布投入するのは
非常に作業効率が悪く、おまけに「均一な圃場投入がしづらい」。
出来るだけ丁寧な散布をしようとすればするほど、時間的効率が悪くなる。

それを避けるために、堆肥化された原料をペレット状や粒状加工し、
「均一な機械散布が可能な製品」にグレードアップすることを、
生産現場からは求められ続けている、と。

しかし、排出先の家畜業者や生産者は、タダででも持って行って欲しい物へ、
更に品質管理を含めてコストを掛け、再加工するまでの余力がない。
よって、専門業者が加工製造にあたるわけだけど、水分調整や有用有機含量を
良好に保つ上では、やはり時間や設備、人件費等々が上乗せされて来る。

そうして出来上がった製品は、販売コストも上乗せされて来るために、
結果としてそれなりの価格帯にならざるを得ない。とすると・・
いざ購入する農家生産者は、原料そのものは産廃物でタダ同然なのに、
製品価格はそれなりになることが、どうしても受け入れられなくなる・・
じゃあ、原料まんまで適当に堆肥化したものを撒けるか。それも出来ない・・

挙げ句、コスト低減を求められた結果、堆肥化の工程上で何某かの省略や
切り詰めを行わざるを得ず、しかし出来上がった製品はその分粗悪品に近くなる。
その粗悪品を使った生産者は、散布にあたる作業上で各種トラブルに見舞われ、
あるいは最悪未熟分の悪玉菌により、病害虫の発生要因にさえ時としてなり得る。
だったら手数も時間もないってんで、粗大有機物なしの「基肥一発型」に落ち着く・・。

こうした実態が付き纏うため、家畜糞尿堆肥の総発生量に対し、
統計上にある有効生産圃場面積に、理想的なバランスで投入されてない現実が
依然としてある、と。

とりわけ、本記事にあるような「水田圃場」や畑作圃場は、園芸作物と違って
最低要件の生産面積を元々大きく取るために、酪畜界隈からみれば
“美味しい矛先”だけども、農産現場からすると求める品質や価格にない・・
この齟齬を、どのようにして埋めていくかが大きな壁なんであり。

たかが堆肥一つ取っても、もはや助成がないと、街場で言う理屈が具現化されない・・
そのことを、どれだけリアリティを持って想像出来るか。

幾ら綺麗な街場のオフィスで、PCとにらめっこし腕組みしたって想像出来んでしょう。
長靴に履き替えて、作業着に着替えて圃場に入ってかないと・・。

コメ離れで広がる飼料用米転換
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=5826393