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2019年05月30日14:44

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昭和で封印されるべきだった作品、それが「白い巨塔」。

今回のVer、キャストが発表された時点で大方想像が付いたので、
時間が経っていよいよ映像を観た時、逆に怒り心頭心は薄れてた・・
というか、「こんなもんでしょ・・」みたいな余裕を持って観れてしまったかな(笑)

厳密には全部観てなくて、所々「ながら観状態」だったので詳しく言及することは
今の時点で出来ないのだけど、受けた印象として脚本自体は唐沢版よりも
原作に少し揺り戻した感があって、その部分は意外に悪くもなかった・・
というのが正直な所。

とはいえ。原作とそれに近い設定で、この長編大作に比例した4クールの尺で
描ききった田宮版を順序的に基軸にすれば、僅か5夜で詰め込むのは無理があるし、
テーマ性と共に重々しさで満たすには、何Verとの比較に関係なく、配役陣の脆さも
露呈しちゃった・・ということだろうねぇ。

いや、このことは制作側だって端からわかってたことだろう。
“財前と里見”という際立った対極の個性を、原作由来で演じきるに
この岡田君ともう一人(名前を知らん・笑)じゃ無理がある、と。
単純な話、テレ朝開局記念事業作ゆえの“視聴率優先”が至上命題だったことによる
「掴みのキャスティング」。ジャニーズ岡田君を頭に据えたのは、
原作から知る作品ファンにではなく、「新世代に対する訴求」が念頭だったと。

で、記事にある批判の声・・。
これ、田宮版や原作で最初に魅せられた層にとっては、唐沢版が放映された当時の
感情とそのままスライドしてる状態で、何だか苦笑い感が・・(笑)
つまり、唐沢版で本作の魅力を初めて知りインパクトを受けた層は、
まんま「唐沢版=白い巨塔の基点」だから、端折った上キャストの総グレードが
下がった感のある今回のVerは、どうしたってショックを受けるのも無理はない・・
というだけの話で。当時唐沢版に拠る改変で既にショックや怒りを持った層は、
言ってみれば「既に耐性が出来ていた」分、そんなに戸惑いなくスルー出来たみたいな。

>「岡田版はライトな脚本や陳腐な演出が目立ち、同作特有の重厚感が薄かったためか、最後まで『白い巨塔に似た何か』感が拭えなかった

これですなぁ。
同作独特の重量感・・いや、緻密性は既に唐沢版で損なわれていたはずなんだな、実は。
象徴的なのは、本作に重要ではない“恋愛要素”や、“女性同士の戦い”みたいなものを
新たに付け加えてしまってたので、この時点で本作の重々しさは軽んじられてたわけで。
あるいは、お笑い要素かのような描写だったり、里見と東教授を「か弱く」してしまった
所だったり、全体として組み立てると「正義感」が薄弱化されたんであり。

一方では映像描写や音楽の脚色・・即ちデフォルメ。粗雑に言えば「劇画風味」。
これ、本来は“ヤリ過ぎ”で“くどい”。まぁ、これは唐沢版放送当時のドラマ製作風情、
傾向に沿っていただけ・・と言えるし、唐沢版もまたフジの開局記念事業作だったゆえ、
「盛らなきゃいけない背景」が介在してのことだろう。

だから逆に原作そのものも、肉薄させた田宮版も時代背景基に「古臭く感じさせる」し、
実際田宮版時代から唐沢版までは相当なタイムラグがあるばかりか、
映像や音声、音楽等のハード要素自体も「アナログからデジタルへ」移行した後だから
尚更戸惑いや乖離性を感じるのも当然な話。

他方で、唐沢版〜岡田版のタイムラグは16年程度と、年数だけ見れば
まぁまぁ経ってると言えなくないものの、医療環境やその他の背景要素としては、
特段大きな時代錯誤を生むまでもなく、“現代版から現代版へ移った”リメイク・・
と思うのね。だから、唐沢版が基点の人には同じ感覚で比較しやすく、
その分ドラマの作り自体だけに目が向きやすかった・・と。
でも、本来はそこじゃないと思うんだな。

厳密に言えば、田宮版と唐沢版の間には、岡田版と同じような短縮版の
「村上弘明Ver」はあったし、本当のドラマ初作は「佐藤慶Ver」ではあったけども、
村上版もやはり田宮版に劣るとされ、佐藤慶Verに至っては
VTR素材すら残ってない(何故か初回分だけ何処かの図書館にあるという・笑)ので、
比較評価が不可能なため、実質「なきもの」としてでしか捉えられておらず・・

その点で歴史経緯や順序から言っても、原作書籍(または週刊誌連載)が話題を生み、
映画版を皮切りに映像化され「白い巨塔=田宮版」が確立されたわけで、
どうあれここが基点にならなきゃなんないと思うのね。好む好まざるに関わらず。

時代経過として観れば、今回のでおよそ「二世代半」ぐらいが、時を超越して
この作品を観てることになるのかな。だとした時・・

原作から魅せられた口の結論として、この作品は
「昭和のうちに封印されるべきだった」と思うんだな。結果論ではあるけれど、
「村上版」にてこの長編作を短縮化することも、伴う改変をすることも、
極めて緻密で重厚な本作品の髄を歪めてしまう・・
という教訓がちゃんと残されてたはずなんだから。

単に原作と田宮版から時代が超過し過ぎてる・・ってことじゃなく、
アレンジがそもそも“利きにくい”、梃子を入れる隙間が元々殆ど無い作品だってこと。

「スパイ大作戦」を「ミッション・インポッシブル」に昇華させるように、
側が決まってて、ストーリーは幾らでも変えられる条件に在るヒーロー物、
「水戸黄門」、「必殺仕事人」等のリメイクとは性質が根本的に違うんだな。

どうしても、白い巨塔のエッセンスを次代へ繋ぎたい、リメイクしたいなら、
いっそのこと白い巨塔ではなく「インスパイアされた作品」として
タイトルから変えるべきでしょうよ。それなら幾らでも自由に、時代性を意識して
伸び伸び作れるし、今回のような批評は起きないはずだから・・。

V6・岡田准一版『白い巨塔』に怒り心頭! 「腹立たしい」「テレビ史上に残る失敗作」の声
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=53&from=diary&id=5639037
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