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2017年04月12日19:05

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ライヴにおける価値基準の考察。

体育館スタイルの公演が根付いてからどれほど年数が経っただろうか。
以来、会場の増加やライヴ市場の活性化によって、アリーナスタイルの公演が
随分と定番化した印象を強く持つわけだけど。

アリーナ型の公演は、それ即ち観客動員が見込めるからこそ興行を組むのだけど、
ステージプランが細かく完成される前、粗方の状態で券売される場合が多いゆえ、
プランの全容が確定後、見切れ席やステージバック席の追加販売が可能となり、
通常席の券売状況如何で販売するか否かが決められると。

逆に言えば、見切れ席等の販売はそれだけのニーズ・・
即ち「鑑賞の弊害があっても尚その場を共有したい」という潜在的欲求がある証左であって、
売る側・演じる側の利益と観客ニーズが合致することの表れでもある、と。

ここで言われる「見えない」「見難い」という弊害について考えると・・。

ライヴとは、何処にその魅力や価値があるか・・を先ず根本的に鑑みる必要がある。
現状数あるライヴ状況を眺める時、大まかに二つの分類に分けられる。
それは、

◯演者の容姿を主体にした、「観る(鑑賞)」ことに価値を置いた“ショースタイル”。
◯演者による「演奏」「歌唱」といった、「聴くこと」に価値を置いた“リスニングスタイル”。

という二つの形式だ。 加えて、二つのスタイルが融合されたものも存在する。

と考えた時、見え難いことがわかってるのに、それでもその席を選ぶなんて有り得ない・・
とする者は、即ち前者の「ショースタイル」のものしか観ない人であるか、
ライヴ価値は前者の形態にあるものしか自身の中で認知されていない・・
その何れかということになる。 そうであるならば実に簡単な結論だ。

ところが後者である場合、鑑賞に何らかの影響が及ぶ可能性のある座席位置であっても、
必ずしも価値が半減するとはならず、演奏や歌唱技術が耳で堪能出来て、
尚且つ生ライヴ特有の、演者による息遣いや臨場感が肌で感じる限りは、
充分な価値を味わうことは可能なんである。

では、その価値を味わうにあたり、ステージサイドやステージバック席等に
大きなデメリットが有るかといえば、その限りではない。
というのも、昨今はその座席エリアに対してきちんとしたP.Aモニターが設置され、
音場補正のプログラムがちゃんと組まれているからだ。

理論的には、ステージ正面に広がる空間特性と、大多数の観客による体温熱気による
干渉度合いまで考慮した時、その絶対数が少ないサイドやバックの方が条件は僅かに良い・・
ということさえも言える場合がある。

一方、では「リスニングスタイル」の場合、「観る部分の価値」は全く無く、
「聴ければよい」という実情にあるかと言えば、これまたそうでもない。
やはりそこには、ライヴとは「目(視覚)と耳(聴覚)の融合」によって価値化されるもの」
でもあるからだ。つまり、演奏テクにあたり実際の演者による動きを味わいたい、
歌い上げる演者の姿からそのスケール感や、息遣いの真を感じたい・・
というのは自然な感覚でもある所以だ。

そう考えた時、視覚的に障害が及ぶサイドとバックエリアは、総合的なライヴ価値を
下げてしまう、あるいはデメリットとなり得るのか・・

それにはやはり、各々のステージプランと実際の設置状況まで観ていかないと、
正確な所は言い難い面がある。ただ、一般的実例を勘案すれば、
メインスピーカーのフライング(上部からの吊り込み)状況や、
ステージサイド〜バックに位置する、セットに纏わる壁面の有無、
付随する照明機材や各種機材の有無、照明吊り下げ用のアルミトラス(骨組み)を
天井から吊るす方式か、四隅の自立支柱によって支える方式なのか、
イントレ(足場)の組み上げ有無や設置状況等によっても視覚条件は変化するが、
内容によっては寧ろ「面白い場面」が見える、ある種の「お得感」も存在する。

また、ステージと座席(スタンド)の距離感が俄然近く、上から見下ろす角度がついているため、
照明効果の特性の一つでもある「地明かり効果」がくっきりとわかるので、
その点ではステージを見上げることしか出来ないアリーナ席よりも、
ある意味“立体的感覚で”楽しめる場所とも言える。

更に、演者の動きにしても、全容がくっきり全て見えずとも、
横や斜め、後ろから見る姿というのはステージの固定観念や、イメージされていた
アーティスト性に対して今までよりも幅を広げてくれるものでもある。

写真や動画撮影に造詣がある人なら少しはわかるだろうが、
被写体を真正面から、あるいは同じ視線の高さから正面視した描写ほど味気なく、
魅力の薄いものはないのと同じで、ライヴステージに対する視覚要件も、
異なる位置によって様々なステージングの妙は味わえるものである。

そしてもう一つは、“一発勝負”の“ワン・ナイト・オンリー”である、ライヴそのものにある
根源的な特性とその魅力に際し、同じ空間で共有し、その時の「当事者」であることの
充足感というのは、各々の座席価値とは異なる次元での特別な価値でもある。

ここに、ショースタイルの価値とリスニングスタイルの価値とは別な所の
「参加価値」というのが存在する。これが殊の外大きいことは、記事の中にも表出している。

それを、近いか遠いか、正面か否かの物差しによって価値判断されるとすれば、
それは即ちライヴの価値としては「ショー」に特化し、尚且つ“アイドル的要件”を前提にした
ビジュアルを観ているだけのことであって、そこには音も灯りも、エキップメント効果も、
派生する臨場感その他の要素も二の次三の次である・・ということになろう。

無論、それは観客個々の自由や個々の感性たる所以である・・
と言ってしまえばそれで終わる話ではあれど、総体的なライヴの価値基準と、
伴う座席選択や各々の価値基準とを合わせ観るならば、
ライヴの魅力を知り得る上で、選択肢が多様にあるということは、
有益な材料になるはずだろうと思うところ。

因みに、音響特性的に有利な場所は、ホールや多目的会場問わず、
一義的には「P.Aミキシング卓」付近。厳密に言うならば、今やどの位置でも均等公平に
良い音となるような補正を加えられ、ハードの技術水準が進化したことで
より均一化が図れるようになっているものの、チーフエンジニアもやはり人の子、
その耳と感性が決め打つという潜在的特性を前提にすると、集積されるP.A卓付近は
良い音になることが自ずと必定となる。

あるいは、卓が位置する上部付近にスタンド席が被るならその辺も該当するし、
ホールで言うなら同様に位置するべく「二階席」付近。

また、照明を含めたビジュアル総合面についても、照明卓やグラフィックモニターが
並列位置する、やはりP.A卓群周辺が一番無難・・ということになろう。

ラルクの東京ドーム公演 hydeがまったく見えない席の満足度
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=125&from=diary&id=4522497
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