mixiユーザー(id:13658569)

2015年11月27日21:33

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一定の妥当性。

ふむ・・・

この事案について、報道の限りでは裁判の内容や経緯について
深くまで記されていないので、想像の域がどうしてもあるのだけども・・

これはある意味興味深いというか、日本における司法のあり方について一石を投じる・・
極端に警察・検察主導の度合いに偏りがちな司法の実態の中では、
ある種の“戒め”にも似たものをどこかに感じるわけで。

罪状の中身におけるこの高裁の判断は、純粋には論理性があると観る。

今回の断片的な報道を観る限りでは、あくまでも罪状に対する純然たる審議であり、
判決の主旨にある「法的解釈」のみを突き詰めた時、やはり検察特有の「状況証拠」や
客観的「状況」、「心象的」なものが中心にあったことは一審の内容からも明らかであり、
その点では高裁による見解は至極妥当であろう。

但し、事件自体の性質や及ぼした社会的・人的影響等を鑑みた時、
「法的に罪を免れたからといって一切の道義的責務も放免されたわけではない、
その整理をきちんとつけるべし」といった忠告が付いた所を観ても、
判決には表面的結果だけではないものが奥底に内包されているわけで、
ここをしっかり観ないといけないだろう。

その点で、巷にもある「長い年月逃げまわったこと」についての罪に対する認識の如何、
その理由についても一緒に合わせて鑑みなくてはならないが、
「逃げたということは即ち罪の意識があったのだろう」というのもこれは「印象」「心象」であり、
必ずしも本件の根幹である「殺人未遂を助ける意思があった」
という決定的・有力証拠にはならないし、それについての罪意識が存在していた・・
とは繋がらない。

“組織に居たこと、各被告らとの関係性を背景に、オウム事件全体の社会的評価の中で
出て行ったとしても他の被告らと一緒くたにされるだけだ・・”

といった悲観的材料に包まれれば、逃げ隠れしてしまう心理状況に追い込まれるのは
必至とも思えて来る。当然、それでも指名手配にまで及べば尚更出頭の責務は発生するが、
もし社会に何らかの、ある種の不健全な閉鎖性や排他性等の要素が基で
逃げ回るしかもう術がなかった・・とするならば、日本における警察の捜査手法といった
個別の要素、法的要素、そして日本の社会性全体の中に問題が潜んでいる・・
ということも言えて来よう。

その辺は、痴漢冤罪一つとってもそうで、幾ら正当性を主張しようにも殆どが
罪となってしまうような事例を鑑みても、そこに元来的な正義やそれを通せない理不尽な
実態があるわけで、事実として法を扱う弁護士自らさえそれを促す動きすらあることを観ても、
そこにはやはり不健全な社会実態がある・・ということを踏まえる必要があろう。


証拠がモノを言う・・いや、本来的にはモノを言わねばならないはずであり、
確たる証拠が見出だせない場合による「情況証拠」のみで、
全体的な「心象」のみで“不適切な”有罪へと流れていくならば、
またそうした固定観念や定型フォーマットが継続していくならば、
それは決して社会にとっては良いことにはならない・・
寧ろ好ましくない環境へと突き進む危険性を孕むこととなる。

とりわけオウム事件という、戦後初めてと言っていい特殊で大きな事案だったことで、
社会全体の中で、枝葉の事案の数々や関連する信者含む人物全てが
「極悪」と刷り込まれているわけで、トップの麻原も部下も、そのまた下の信者も殆ど同罪、
または同じ色合いとしてみなされ続けて来ており、言わば組織も人員もまとめて
世の中から抹殺しよう、そうでなければならない・・・
といった空気が支配して来たことは否定しようがない。

その「必然性」みたいなものが、本来的な司法のあり方まで歪めたり、
社会的影響の大きさという大枠の理由のみで全てを一律に成敗するとするなら、
そこで築きあげられた「司法の習慣」は、必ずや大なり小なり今後に影響を及ぼすだろう。

問題は今後。
検察が上告するなら、もっと明確な証拠・物証を提示せねばならないだろう。
それによって新たな材料や論理性が表出し、法的見地からの妥当性が
厳格に示されるならば、それはそれとして尊重すればよいだろうと思うところ。

とにかく良くないのは、推測や心象といった物が先行すると、
自らの中の固定観念がより強まり、法的処理が真逆になったとしても
中々受け入れられないものであり、それがまた人間でもある。

だが、検察や警察等の役所が執り行うことは半ば絶対的、正しいのだろうとする観念が、
数々の冤罪事件を生んだ間接要素でもあった気がするわけで、それら含めて
今一度社会全体が肝に銘ずる必要があろう。。




■オウム菊地直子被告に一転無罪判決、釈放 東京高裁
(朝日新聞デジタル - 11月27日 13:52)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3732360
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