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2015年08月21日03:18

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健全な心身あっての職務。

私の叔父に元警察官がいる。
高卒で警官になり、以後私服警官、いわゆる刑事に昇格、数年前に定年を迎えた。

現役中は強行犯係が主で(ヤクザもんの喧嘩から火事、変死まで幅広い、いわゆる何でも屋)、
各方面支部が多かったものの、本部の捜査一課、二課にも連続して配属されてたので、
それなりのやり手として評価をされていたようだ。

地方勤務だったある時、都心部にいる私の勤務先に叔父から電話。
「おぉ、元気か!?実は頼みがあるんだけど、来週から暫くオマエのアパートに
居候させてもらいたいんだが・・」と。

構わないけどどうしたん?と聞くと、何でも役所の汚職絡みで、私の住む都心部の警察署で
みっちり被疑者の取り調べが控えてて、経費節減もあって私の部屋から通いたく、
加えて当時仕事では使ってなかった、自身の車も足代わりとして貸して欲しいと。

翌週から通算して3週間ほどはいただろうか。
朝は6時過ぎに出て行って、帰って来るのは深夜0時頃。その間は一日も休みなし。
叔父の楽しみは毎夜の晩酌で、そんな激務であっても酒は欠かさなかったものの、
僅か一杯飲んだら即寝る・・の繰り返しで、観ていて切なくなるほど疲労困憊の様子。

最終の日に、お礼方々外でご馳走になり、あれこれ話を聞いたら、
詐欺や汚職関係は頭脳犯罪で、得てして学がある者が多いため、神経戦となるようで・・。

元来叔父はそれまで強行犯の扱いが多く、その類の被疑者は思いつきや
ついカーッとなって・・というような犯罪ばかりなため、
当時は「おい、ちゃんと吐かんとオマエのためにならんぞゴルァ!」とやれば大概は落ちる、
または小心者の本性や、計画性の杜撰さゆえにボロが出て来るので、
案外楽なもの・・とのことだが、対して詐欺系は証拠材料も緻密性を要し、裏の裏まで
心理を読まないと、また綿密に読まないと落とすのも容易ではなく、
如何に理路整然とした詰めが出来るか、それに殆ど掛かっているようで、
その為余計に疲労が溜まったようだった。

その後程なくして自身と同じ街に転勤、晩酌に呼ばれる機会が増え、
時に同僚の警察官が交じることも。酒の席ゆえ職場の話が端々に出るのだが、
やはり都市部は抱える捜査や案件が多いことと、上下関係の異質性が相当なストレスとなり、
脳梗塞やら心臓疾患やらで倒れる、または突然死する警官が増え、精神的にも病み、
このニュースのように自殺まがいに及ぶケースもあったようだった。

現場の叩き上げで、調書作成等の事務ワークより、たとえハードでも粗い現場の方が好きだった
タフな叔父でも、定年間近は激務が多い都市部ではなく、農村地区の駐在所勤務を自ら希望し、
制服警官として最後を務め上げた。その際はそれまでと打って変わって
水を得た魚のように活き活きとしていたというか、どこか丸みを帯びたかのようだった。

聞くと、残り数年の警察官人生を、激務で倒れないようにするための
自己防衛手段でもあった・・と。また、かつては散々悪者を追い掛け回し、
時に地元庶民とも険悪な状態にもなった中で、最後はせめてゆったりと、
地元の人との親和性を図り、本当の意味での「頼られる村の警官」として
職務のラストを締めくくりたい・・そういう希望があったようで、
それを行うに相応しいのどかな地域、住民との相応しいコミュニケーションが出来て、
それが表情にも出ていたのだと思ったものだ。

このニュースを観て、そんな叔父の姿や間接的に聞いて来た話が交錯したのだけど、
やはり性質上極めて激務が伴う警察行政は、健全な心身あって初めて成立する
職務であるからこそ、勤務体制や労働環境は、ある意味でどこよりも優良でなければならない・・

そうでなければ、正義感溢れる次代の若者や卵は育たない・・
それは結局庶民に不利益を被らせることになるため、国は真剣に考えねばならないだろう。




■和歌山県警の警視が自殺 国体を担当、残業200時間
(朝日新聞デジタル - 08月20日 19:11)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3575732
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