【謎のコンテナハウス】

姐さんの会社の裏には　小さな山がある。

姐さんは　犬の散歩は毎日毎回　そこに行く。

そこは　標高はおそらく100メーターもない小高い丘くらいだが
面積はけっこうあって、山の中には　トンカン名物のライチ農園と
様々な野菜の広大な畑と、地元農民たちの集落がいくつがある。

その広大な野菜畑の中に　以前は　たくさんのバラック住宅があった。

塩ビパイプや　波トタンや板切れや竹や枝や
要するにほぼゴミみたいなガラクタで作った　言葉通りのバラックなのだが
毎回通るたびに　非常に注意深く観察していたのだが
そのバラックに　人間が生活している。

最初は　畑で作業するときのための　道具置き場とか
休憩小屋なのだと思っていたが、夜行くと　中から電気の明かりが煌々と
漏れてくるわ、TVの音はするわ、子供達の笑い声がするわ
子供の服をふくむ洗濯物はずらっと干してあるわ
どうも　あの隙間だらけの　バラックに家族でがっつり暮らしているようだ。

まあ広東省はほぼ冬がないので　あの隙間だらけでも
寒くないのかもしれないが　虫やらなんやら入り放題だろうし
衛生はどうなんだ　水道ガスがあるように見えないが　風呂はあるのか
そもそも下水設備なさそうだが（畑の中に建っているから）
トイレってどうなってるのか　謎は深まるばかり

畑からちょっと離れた場所に　ちゃんとレンガやコンクリで建ってる
住宅の集まった集落もあり　そこに住んでる人たちは兼業農家のようで
農機具を持ってそこから出てくるのは　お年寄りが多いが
畑の中のバラックの人々は　専業農家のようで
若いひともいるし、朝や昼間も　畑で働いている。

更に謎なのは　そういう畑の中のバラック住宅の世帯に
日産やらホンダやらのけっこういい普通車のマイカーが
同じくバラックなガレージに置いてあったりする光景が
少なくないのだ。

完全なバラックに住んでるのに　大きな素敵なマイカーがある。
日本的な感覚では理解できない。
車がないと不便なのはわかるが　その前にあのバラックをまずなんとか
するもんじゃね？と　日本人としては思ってしまう。


そんな裏山のバラック農民達に
今回春節　大きな変化が。

春節始まって　犬たちを連れて裏山に散歩に行ってみたら
なんか　深緑の20フィートコンテナを使ったコンテナハウスが
やたら目に付く。

毎日毎日散歩しながら　裏山中をあちこちくまなく
犬を連れて観察して、休みも伸びたので　つごう20日間観察した結果
どうやら　裏山の畑住み農民全世帯が　一律で一斉に
同じ規格のコンテナハウスに　住み替えたのである。

だからよく見ると　どのコンテナハウスの周りに
以前住んでいたバラックを解体したゴミが山盛りになっている。

しかし　そばで見るとコンテナハウス　ものすごい小さい。
そこに一家で住めるのか？狭いだろ？
しかししかし、窓からわずかに見える範囲ではあるが
家具らしきもの、ベッドらしきもの、TVなんかが見える。

そのコンテナハウスのそばで　幼稚園くらいの子供が3人遊んでいる家庭もあり
他のコンテナハウスのそばには　身長150センチ以上ある結構大きな
男の子が二人で遊んでたりする。
あの子供たちもこのコンテナハウスで寝起きして
ここから学校に通ってるのか？

さすがにこのコンテナでは　中で寝るだけらしく
どの家も台所は　外にかまどを作って、天幕などで屋根を作って
外で調理している模様。
そして食事も外にテーブルを置いて食べてる模様。

トイレ外のも離れた場所に掘っ立て小屋形式で別にある模様。

コンテナハウスはおそらく　地元政府から
支給されたのか　安価で売られたのか
とにかく春節前にいっせいに導入されたらしい。

時々　屋根のついたパターンもある。
屋根があると何がいいのだろう。夏熱くならないのか。

1年のほとんどが夏の広東省で
あんな鉄製コンテナの家、夏暑くないのか心配だ。

そしてそのコンテナハウスのとなりに
日産やら現代やら中国メーカーやらのマイカーが。
いったい中国の車のローンのハードルって
どんだけ低いんだろう。

GDP世界2位とかいうけど
やっぱりハリボテだよね。この程度の疫病でこの狼狽混乱ぶり
農民がコンテナに一家5人6人で暮らしてるんだもんね…。

（関連写真はツイッターをご覧下さい）