本当に眠い映画でした。
何がどうというわけではなく、シンプルにつまらなかったです。
しかも、スゲェ長い。
今年のワースト３に間違いなく入る作品でした。
はっきり言って、シャイニングの続編なんて、そもそも全く興味が無かったのです。
どうせ、ネタ切れでやる事がないので、過去の誰でも知っている作品の続編でまあまあ稼ごう、という意識の低い企画なのだと思いました。
ところが、そもそも原作者のキング自らそういう作品を書いていて、しかもキューブリックの映画版に対する恨み節から端を発していると聞いたので、俄然興味が湧いたのです。
キューブリック監督の「シャイニング」は、ホラー映画の名作として今でも有名です。
また、この映画を原作者のスティーブン・キングが非常に嫌っているというエピソードも、割と有名だと思います。
彼が大事にした「家族愛」や「超能力」の要素を、映画では蔑ろ（ないがしろ）にしたためだと言われています。
この映画の予習として、キューブリックの「シャイニング」を久しぶりに観返しました。
前に観た時は、怖い部分もあるけど、比較的退屈で、クライマックスがスゲぇ盛り上がらない映画という印象でした。
今回改めて観ると、確かにこれは名作と言われる理由のある、素晴らしい作品だと実感しました。
まず、圧倒的に映像が素晴らしいです。
冒頭の空撮も圧巻だし、一度観たら忘れられないシーンがいくつも登場します。
映画というのはお話を丁寧に伝える事よりも、映像の説得力である程度強引に引っ張っていって欲しいと思います。
また、音楽も素晴らしい。
怖い雰囲気の多くは、実は音楽によるところが大きい映画なのだと思いました。
そして、やっぱり役者が全員個性タップリで強烈です。
完全に感情がオーバーヒートした奥さんや、「レッドラム、レッドラム・・・」と呟く奇怪な子供、そして何よりキチガイ親父を演じたジャック・ニコルソンです。
なんだかんだ言って、この映画は「ジャック・ニコルソンを見る会」なのです。
最初からジャック・ニコルソン丸出しの男が、徐々にジャック・ニコルソンになっていき、最終的に完全にジャック・ニコルソンになってしまうお話、と言ってしまえばそれまでなのです。
やっぱ、「シャイニング」は面白れえな！と感激し、その機会を作ってくれた「ドクター・スリープ」にも感謝しました。
思えば、この時が一番この映画に対して好感を持っていた時期だったのです。
別に、シャイニングと全然ジャンルの違う映画になってしまうのは全然問題ありません。
映画として純粋に面白ければ、それ以上のものを望みはしませんでした。
別に思い入れがあるわけじゃない。
それなのに、どうしてここまで眠い映画になってしまったのか・・・。
面白いシーンは、割と結構あったと思います。
「シャイニング」の能力を持った子供を襲って食べる集団というのも良い。
それに、前作の子供が成長した男と、シャイニング界隈における期待のポープである少女がタッグを組んで立ち向かうというお話も良い。
ゲテモノアクションホラーにも、人情ものにも、色々な方向性があったと思います。
結果としては、そういう筋をボンヤリとのんびり辿りながらダラダラと進み、クライマックスでは前作のパロディーというか、再現VTRでどうにか盛り上げるという、なんとも骨子も志も無い、出来の悪いパッチワークの様な映画になってしまった感じがします。
まず、敵が弱いです。
馬鹿っぽい帽子を被ったお姉さん以外は、公園の炊き出しでスカウトしてきた様なボロ切れみたいな男ばかりで、貴重な１５歳美少女も大して活躍しません。
野球少年を襲うシーン以外は怖さも無かったです。
主人公の仲間の方も、「幻魔大戦」みたいに国際色豊かなメンツがもっといると面白かったのに。
超遠距離サイキックバトルのシーンはなかなか良かったですが。
原作がこうだから、という言い訳はしないで欲しいです。
映画は小説と違います。
この映画、やたら会話シーンが多くて、しかも同じような話を何度もするのが本当にくどかったです。
前にも書きましたが、説明はちょっとで良いのです。
映画版シャイニングがそうだった様に、どれだけインパクトある映像を見せられるかが肝心だと思います。
それが原作に無いのなら、足せば良いのです。
いくらでも面白い要素は足せられたと思います。
それでキングが怒るなら、何度でも怒らせておけば良いのです。
怒らせたらなら、また新たな続編が読めたかもしれませんからね！
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