初山別の「岬の湯」のレストランで真ふぐの天ぷらを食ってきた。
前回行ったときには天候不良で食べられなかったのだ。
それでどんな味だったのかと云うと、炙ったマシュマロの中身をくり抜きクリームを入れた感じ。
それ自体味はないから蕎麦つゆに浸して食べるのだが、口当たりで美味しいと思わせる食べ物であった。
一口に味覚と言っているが、味の他に見た目、香り、歯ざわりという物があるんだと思った。
我々くらいの年令になると、この先美味しいものを美味しいと感じられる健康寿命が長くないと思うので、不味いものを食べると
「ああぁ、、、損した」
とガッカリする。
量は少なくとも、美味しいものを食べたい。
若い頃は失われた運動エネルギーの補充が最優先で「質より量」だったが。
「岬の湯」から出てフロントの廊下を歩いていたら壁に、今年のハーレーのバイク乗りの集会はコロナウィルスのために中止との掲示がされていた。
何年か前この集会の日に出くわしたことがあり、ここで知り合ったキャンピングカー乗りと外でジンギスカンを食べていたら、黒い皮のつなぎを着た男女がやってきて海を眺めていた。
「あの女の人、女子プロレスラーだった豊田真奈美に似てるんだけど」
と純子に言ったら
「よし、私が聞いてくる」
と言うのだが、別人だったら失礼なのでやめてくれと言って帰宅後ブログを見たらまさかの本人だった。
ハーレー乗りなのは知っていた。
前日のブログに「東京が暑すぎるので涼しいところに行きます」と書かれていたのだが、まさかこんな田舎で遭遇するとは思いもしなかった。
豊田真奈美って体の細さを抜群の運動神経と柔軟性でカバーしたレスラーだった。
最大の武器は負けず嫌い。
普段は埴輪のようにおとなしいのに試合になるとスイッチが切り替わり、闘争本能むきだしの大魔神モードになって巨漢のブル中野やアジャコングと戦うカッコの良いレスラーだったのだ。
同じタイプのレスラーが北斗晶で、この二人の試合はいつも気迫のぶつかり合う名勝負になった。
https://www.youtube.com/watch?v=-rQKoUo4_AU
この初山別のキャンプ場には夏の間、常に本州からのキャンパーが居る。
岬の湯の露天風呂で本州から来た人と話したら、フェリーで小樽に降り何処にも寄らず来たという人がいた。
毎年来ているのだそうだ。
天文台の下のキャンプ場で、日がな一日長椅子に寝そべり海を見る為だけに来ているとのこと。
そこが彼のマイプレイスらしい。
雨が降っていてやることのない朝に声をかけられて苫小牧から来たコックさんと、大阪から来たおっさんと東屋で飲んだこともあった。
二人ともバイク乗りだった。
コックさんが料理を作ってくれて、待ちきれない大阪のおっさんが食おうと箸を伸ばしたら
「まだ早い」
と手を払いのけられていた。
大阪のおっさんが自慢の嫁の写真をスマホで見せてくれる。
おっさんは50代みたいだが、嫁はまだ20代くらいの美人だ。
ははぁ、、これはおっさん金持ってるなと思う。
こういう出会いがあるのも面白い。
帰り道苫前の市街を通る。
北海道の田舎の街灯には街のシンボルが使われていて、例えば日高だとサラブレットとか蹄鉄、穂別だとアンモナイトが飾られている。
苫前の街灯の傘には藤色のチューリップの花みたいなものが使われていて、チューリップの花は普通上向いているが下を向いているから何の花なのだろうとずっと思っていた。
調べたらエゾエンゴサク(コリダリス)という花であった。
苫前と云うと三毛別で起こった吉村昭の『羆嵐(くまあらし)』が思い浮かぶ。
というか、それしか浮かばない。。
従って町役場にも襲いかかる羆の像が立っている。
苫前は北海道の三大ヒグマの被害地の一つで、他は札幌丘珠と石狩沼田だ。
他は別の売り物もあるが、苫前にはこんなものしか有名なものが無いというのも悲しい。
道の駅のパンフレットで苫前郷土資料館というのがあるのを知り行ってみた。
俺は博物館とか資料館が好きなのだ。
元は苫前町の役場の木造建築で、かなり広く展示物も多い。
巨大なヒグマの「北海太郎」の剥製が展示されていた。
四国の香川県からの入植者が多かったということだが、最近何処かで香川県の入植者の多かった街の郷土資料館に行ったなあと思ったら旭川市の隣町の東川町だった。
満ち足りているのなら留まっておれば良いわけで、移住したのは理由があったのだろう。
新十津川町なんか奈良県の山奥の十津川村が土砂災害で被災し、ほとんどまるごと北海道に移住したのだ。
十津川村の住人は武士でありながら農業をやっている郷士であったから、新十津川村も剣道が盛んである。
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