「語り女たち」
北村薫
新潮社(新潮文庫)
海辺の街に小部屋を借りて、潮騒の響く窓辺に寝椅子を引き寄せ横になり、訪れた女の話を聞く。
さまざまな女が男に自分の体験を語り始める。
緑の虫を飲み込んだという女、不眠症の画家の展覧会での出来事、詩集で結ばれた熱い恋心。
空想癖があるけれど絵空事は馬鹿々々しく感じるという男が、女の体験談を聞く。
連作短編十七話。
「かたりめたち」というタイトルの響きがもう良いですよね。
詩のような不可思議な物語は、漱石の「夢十夜」のような。
でも綺麗なだけではなく、どこかそくそくとした怖さもあります。
これもまた、語りの面白さ。
解説は永井一顕氏。
(古)
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