「崖の上で踊る」
石持浅海
PHP研究所
※以下、若干のネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。
自社製品の健康被害を隠蔽しようとする企業フウジンブレード。
復讐の為、保養所へと集まった十人。
計画を開始し標的の一人目を殺害。しかしその後、仲間の一人も殺害される。
企業への復讐ということで、著者の重要なテーマである『テロリズム』の要素も含まれています。
相変わらず、本格の為の舞台設定が上手い!
厳重に戸締りをし、部外者がいないことを確かめた上での那須高原の保養所でおきる殺人。
自らの復讐の為、既に一人殺した後で警察も呼べない状況。
科学的な捜査もできない中、メンバーは仲間を殺した裏切者を突き止めなければなりません。
結末まで読んでの感想は、復讐する人間は、復讐されても文句は言えない、ということでしょうか。
自らのアイデンティティを否定する訳にはいきませんものね…。
文章がドライなのであまり気にならんのですが、これ最終的には相当な泥沼の悲惨な惨状を呈している訳で………著者のここら辺の塩梅加減は毎回上手いもんだなぁと感心することしきりです。
登場人物にある程度までの好感は持たせつつ、テロという行為を決して認めてはいないんですよね。
(図)
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