「中野のお父さんは謎を解くか」
北村薫
文藝春秋
8話の連作短編集。日常の謎系ミステリ。
シリーズの2冊目ですね。
主人公から話を聞き謎を解く、安楽椅子探偵。主人公の父親、ということで退職刑事やブロンクスのママ、を彷彿とさせるのですが。
特筆すべきは出版社勤めの娘が持ち込む謎が、文芸に関するもの、というところでしょうか。
「水源地はどこか」
ここら辺、つい最近NHKの知恵泉で特集されてたこともあり、非常にタイムリーでどきどきしてしまいました。
これ、確かめようと思えば国立図書館とかに行って自分でも確かめることは出来そうなのですが。
証拠や資料が、全て著者の創作だったりしたらどうしよう。
だって、あまりにも綺麗につながってしまうんだもの。
あり得なくはないでしょう。だってミステリ作家なんですもの、ねえ(笑)
「ガスコン兵はどこから来たか」
このね、芝居の幕切れの台詞。著者の別の作品でも登場するんですけど、毎回ここで泣いちゃうんですよね。本当に名訳……。
「火鉢は飛び越えられたのか」
ラストの註釈に驚かされました。別作家さんの講演から、あれ?と謎が生まれ、それで一本書いてしまうという……。もう着眼点が違うんですよね、こわやこわや。
今作での主人公の、新たな人物との出合いにも期待が高まります。
今後もゆるゆると続いて欲しいシリーズです。
(古)
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