『ストーリー・オブ・マイライフ　わたしの若草物語』感想

〜「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再タッグを組み、ルイザ・メイ・オルコットの名作小説「若草物語」を新たな視点で映画化。南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる隣家の青年ローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……〜＜映画.comさんより＞



　　　　　　　　　　　　　　　 　　　

皆さん、たっぷり感想を書かれているので、原作に馴染みもなく観賞してしまった私は・・・巷の皆さんがあまり書かれてない事などを書こうかしらと。

まず、この４姉妹のキャスト、生粋のアメリカ人って、どうやらいない感じ？
シアーシャはアメリカ生まれだけど、アイルランド育ち。
エマはイギリス人の両親の元フランス生まれで、その後、イギリスへ。
フローレンスはイギリス人。
ベス役のエリザ・スカンレンはオーストラリア人。
そこをアメリカ人のグレタがしっかりまとめあげたということで

しかし、若き女性がひたむきに走る姿って、どうしてこうも、純粋に感動するんだろう。
男性だとそうでもないのよね。何か事件を追ってるのか、ヤバイことをして逃げてるのか、そんな印象しかない(笑)
『フランシス　ハ』では、感情赴くまま走り踊ってたグレタが、今作では’友達の’原稿を抱えたジョーを横一直線に走らせる。
その眩しさったら・・・。キラキラ、キラキラ。

グレタの演出は、大胆かつ優しい。
『若草物語』が大好きで、自分の一部だったと語っていた動画があったけど、この古典に、現代の風をたっぷり吹き込ませた。
そこまでやっちゃう？とこちらが不安になった箇所もあったが、一つ一つの場面が本当に美しくて、うっとり。
ローリーが自分の想いをジョーにいよいよ伝える場面なんて、風景だけで、ため息がでちゃったもんね。
そこに美男美女で、もう、卒倒しそうだった。
時間軸の使い方も、一歩間違えれば、観客を混乱に招いてしまう可能性もあったと思うけど、しっかりまとめてましたね。
（いや、でも、一度観ただけでは、しっかりわかってないかも私）

エンディングの盛り上げ方も良かった。
今の自分と、本の中の登場人物が重なって、重なって、観ている側も「頑張れ、頑張れ！」ってなっちゃって、なんて上手い作りなの！

キャスト陣は、皆さん、素晴らしかった
シアーシャの「I am so lonely」大好き。何度聞いても泣ける　グレタと本当相性いいね。
エマが素晴らしかった。思わず普通に声をかけてしまいそうな、めちゃ一般的な女性になってた。これって、プリンセス演じるより難しかったと思うんだけど、いやあ、見事、見事。ビックリした。
フローレンスは、甘えん坊だけど、したたかで・・・って、これまた上手かったな。’あの’『ミッドサマー』直後に、よく気持ちが切り替えられたって、ほんと、思う。
エリザ・スカンレンは、巷の感想で「どうしてべスだけ無名の女優を起用したのか？バランスが悪い」とか書かれてたけど、いや、彼女、良かったってば！雰囲気合ってたと思います。
ティモシー、ローラ、メリルについては、言わずもがな、最高でした。
クリス・クーパー（『アメリカン・ビューティー』）の背中からにじみ出る寂しさにはこっちまでウルッ。
で、ですね、公式HPのcast欄では、プロフィール紹介がされてなくて残念なのですが・・・。
メグの夫役はジェームズ・ノートン。私はテレビシリーズの『戦争と平和』で見ていて、なかなか素敵な人だと注目してました。映画では『ロンドン、人生はじめます』で、ダイアン・キートンの息子役等。

予告編
https://youtu.be/AsVOg6N_hGI

映画の冒頭→そしてエンディングと、あたかも１冊の本が製本されてゆく過程を見たかのような作り。
最初はドア（表紙）の前。ラストシーンはこれまでのことを振り返るかの如きの裏表紙。
時間軸は製本の糸で、しっかり綴られていた。
いやあ、グレタ、まじ、すごいわ〜。
ジョーに自分自身を重ね、社会の偏見に立ち向かう姿勢は、これからもきっと変わらないはず。

アカデミー賞を受賞した衣装も良かった。
あと、終わってみれば、この邦題、もしかして褒められていいかもとか。
たくさん目の保養にもなったし、心地良き風でリフレッシュできました。４つ☆