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2020年06月11日09:42

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『娘は戦場で生まれた』感想

〜内戦の続くシリアでスマホで映像を撮り始めた女学生がやがて母となり、娘のために生きた証を残そうとカメラを回し続ける姿を捉え、カンヌ国際映画祭など各国の映画祭で高い評価を得たドキュメンタリー。ジャーナリストに憧れる学生ワアドは、デモ運動への参加をきっかけにスマホで映像を撮り始める。やがて医師を目指す若者ハムザと出会い、夫婦となった2人の間に、新しい命が誕生する。多くの命が失われる中で生まれた娘に、平和への願いをこめて「空」を意味するサマと名づけたワアド。その願いとは裏腹に内戦は激化し、都市は破壊され、ハムザの病院は街で最後の医療機関となる。明日をも知れぬ身で母となったワアドは、家族や愛する人のために生きた証を映像として残そうと決意する。第92回アカデミー長編ドキュメンタリー賞ノミネート〜<映画.comさんより>

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アレッポという都市の名前が出た途端に思い出したのが、アレッポで取材中、銃撃で亡くなられた日本人ジャーナリスト山本美香さん。
調べたら、2012年の出来事だった。つまり、この映画が撮影されていた時期と重なる。
アレッポの惨状を改めて思い知らされた。

始まってすぐ、爆撃音の凄まじさに絶句。沸き上がる白煙。
それが、幾度となく、繰り返される。
これは、慣れるっていうレベルのものじゃない。
こんな状況下で、通常の精神状態を保つのは容易ではないだろう。。。

でも、シリアの人々は懸命に生きる。
子供は爆撃でできた穴の池に飛び込むし、大人は恋もすれば、大好きな食べ物に目を輝かせる。
それは、普通の人々の抵抗手段にも見える。
「どうだ。私たちは恐れることなく日常を生きている」

だが、攻撃はいよいよ激しくなる。インフラも破壊されてゆく。
病院すら攻撃の的になる。
水が出なくなり、血だらけとなっている床は、洗い流すこともできないまま、そこにまた新たな血が流される。。。

政府軍と反政府軍。
かつて美しい街だったアレッポを攻撃しているのは、ロシア軍だ。

2011年、大学生だったワアド・アルカティーブ(監督)が民主化を求める反政府デモをスマートフォンで撮影したのが始まり。

ワハドは、同じく自由を求めて闘っていた医師のハムザと出会い、ささやかに結婚式もあげる。
ハムザは負傷者の治療にあたり、ワハドはアレッポの惨状をひたすら撮り続けた。

2人に女の子が生まれ、サマと名付けられた。アラビア語で「空」という意味らしい。
今のアレッポの空には戦闘機が飛んでいるが、いつか、いつか、普通の青空が戻るようにという願いからかもしれない。

戦場で生まれたサマ。
思い出したのが、赤ちゃんだった頃の息子。
地元で花火が上がって、爆音が聞こえるたびに怖くて大泣きしていた。
だが、サマは・・・花火どころじゃない爆撃音が聞こえても、まるで泣かない!!
これには、ビックリした。体質?それとも胎児の頃から聞こえていて慣れていたせいなのか?

激しく心を揺さぶられた場面があった。
帝王切開で取り出されたものの・・・呼吸がなく泣き声も出さない赤ちゃん。
医師たちは諦めず懸命に蘇生処置をする。ダメか・・・ダメなのか?
カメラは祈りながら回り続ける。
そして・・・次の瞬間・・・奇跡が起きる泣き顔泣き顔泣き顔

目の前に、今にも死んでしまいそうな、重傷を負った人々が、次から次へと運ばれてきて・・・その中でカメラを回し続けるって、どれだけしんどくて、やるせないか・・・想像を絶する。
勇気と覚悟と家族への愛。
「娘よ、これがあなたが生まれた町」

予告編バッド(下向き矢印)
https://youtu.be/wNL1bEd-SKc

ただ・・・最後の空撮だけは、ちょっと違和感。
それまでの映像とはまるで異なり、しっかり’演出’されていて、そこだけ嘘っぽく見えてしまっていた。
あと、子供と映っていた「justice」の文字も、ちょっと浮いてた。

それでも、必見の作品には間違いありません。まだまだ全国で観られます。観て下さい。
この作品に残されたシリアの普通に暮らしてた人々の叫びを聞いて下さい!4.5☆

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