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2019年11月23日08:43

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アイリッシュマン

 マーティン・スコセッシの渾身の力作「アイリッシュマン」観てきましたぞ。
 3時間30分になんなんとするこの大長編、はっきり言いますが、ネット配信で観るのはまったくの不向き。冗談じゃありません。
 こういうのはねえ、劇場の椅子に身を沈め、スクリーンとしっかり対峙してじっくり集中して味わうものなんですわ。大事なのは集中ですよ集中。自分ちで配信で観てて、集中力を途切れさせずにいられますかってんだ。

 今回の劇場上映にしても約2週間程度の、それこそ言い訳みたいなテキトーな公開ですから、劇場用パンフなんかもちろん作ってません。
 こういう近現代史の裏面を扱った、登場人物がやたら多くて錯綜しまくる作品には、背景を理解するための優れたテキストが必要なんですよ。まったくもう、こうなったら原作買って読むしかないのか。

 で、肝心の映画ですが、これが滅法面白い。
 先述したように、やたらと登場人物が多くて誰が誰やら途中でわからなくなる(作中、アル・パチーノ演じるジミー・ホッファが「トニー? トニーって誰だ? どのトニーなんだ? イタリア人ってのはみんな名前が「トニー」なのか?」と言うくらいですからね)という難点はあります。
 しかしながら、しがないトラック運転手から全米トラック運転手組合の幹部にまでのしあがっていく主人公フランク・シーランとその周辺で起こる様々な事件の描写が興味深く、尺の長さを感じさせません。
 時々挿まれる凄まじい殺しのシーン(妙に即物的であっさりしてるのがかえって怖い)やそこはかとないユーモアの配分も心地よく、エンタテイメント作品としても申し分無し、ですね。

 ラスト近く、冗談みたいな微罪で次々と逮捕・収監されたフランクたちが、ムショの中で老後生活を送る件りなんて、やたらおかしかったなあ。よぼよぼになったジョー・ペシが「歯がないから、パンが喰えねえ」とか言って、パンをジュースに浸してモゴモゴやってるシーンには大笑いしましたよ。

 新キャラ登場のたびにストップモーションになり「この人物は××年××月、銃弾数発を受けて死亡した」なんて字幕が出るという「仁義なき戦い」テイストがあったりするのも、実に愉快。
 繰り返しますが、これは配信で観るには向いてない作品です。機会に恵まれた人は、ぜひ劇場で観てくださいな。
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