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2019年12月14日20:21

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【音楽】 東京交響楽団演奏会 〜ブルッフと「第九」

2019年も残り半月となった。今日の午後は、東京交響楽団のコンサートに行った。
今日のプログラムは次のとおりである。

 ・ブルッフ: ヴァイオリン協奏曲第1番
 ・ベートーヴェン: 交響曲第9番

   指揮: 秋山和慶/ヴァイオリン: シャノン・リー
   ソプラノ: 吉田珠代/メゾソプラノ: 中島郁子/テノール: 宮里直樹/バリトン: 伊藤貴之
   合唱: 東響コーラス
   会場:ミューザ川崎シンフォニーホール (14:00 開演)


この時期のクラシック音楽の演奏会は、「第九」ばかりであり、確かに音楽史上に残る名曲中の名曲であることには違いないが、これまでに何度も聴いているし今さらという思いはある。しかし、ブルッフのヴァイオリン協奏曲もいっしょに聴けるなら行こうと思ったのである。ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番は大好きな曲で、しかも有名曲ではあるが、意外と生で聴いていないのである。こういう曲が結構ある。初めて演奏を聴く若いヴァイオリニストにも興味がある。

川崎は毎日通っていて、うっかり会社の方に向かってしまいそうだが、そちらの方(ラゾーナ川崎)は、とんでもない大混雑だった。本日、ラゾーナ内に Appleショップがオープンしたので、それ目当ての人たちらしい。その混雑を避けて、ミューザ川崎に向かう。

会場もほぼ満員だが、大半は「第九」目当てだろう。私はブルッフ目当てだ。オーケストラの音合わせが終わると、赤いドレスでシャノン・リーが指揮者の秋山さんとともに現れる。秋山さんから見れば孫の世代である。今年の仙台国際コンクールで最高位(1位なしの2位)とのことである。カナダ生まれのアメリカ国籍とのことだが、名前や容貌からアジア系であることが分かる。

冒頭のオーケストラによる短い序奏のあとでヴァイオリンが鳴り響くと、それだけで引き込まれてしまった。豊かな音量で朗々と歌うようなヴァイオリンで、ブルッフなどこの時代の作曲家の作品に合っている気がする。「自在なテクニックと大胆不敵な妙技」と評されたらしいが、演奏を聴いていて、それもなんとなく分かる。ブルッフのこの曲は大好きだが、これを素晴らしい演奏で聴けて幸せな気分になった。大好きな曲というのは、大好きな箇所というのが何箇所かある訳だが、「そこはそう、それそれ」と、いちいち感動したりしていた。秋山さんの指揮については、いつもながら余計なことは考えずに音楽に浸れるもので、協奏曲ではソリストをうまく立てながら、しっかりとサポートするという、これまたいつもの安定の演奏であった。第1楽章のヴァイオリン独奏が一休みして、オーケストラが盛り上がるところも大好きな箇所だが、この時に「あ、今日は秋山さんだった」と認識する。(秋山さんの理想は、聴いている人が「ところで今日の指揮は誰だっけ?」というような、指揮者ではなく作品を聴いて下さい、ということなのである。) 楽章間の切れ目もないので、途中のざわざわや咳払いがないのもいい。シャノン・リーというヴァイオリニスト、これから少し注目してみようと思う。

休憩のあとは、ベートーヴェンの交響曲第9番だ。合唱と4人の独唱者も最初から待機している。あとは気楽に聴いていようと思っていたら、これがまた素晴らしい演奏であった。秋山さんのきびきびとした指揮と、それに応じたきびきびとした演奏が、最後まで貫かれ、これではみんな「第九」を聴きたがる訳だなと納得してしまう。バリトンによる、O Freunde, nicht diese Töne! も実に素晴らしく、これで最後まで安心して聴けると思った。(たまに、ここでこける演奏に出会うこともある。)  vor Gott! のところのティンパニも、最近は ff > p ではなく ff のまま引っ張るのが流儀なのだろうか、今日の演奏もそうだった。(指揮者によって違うのかな?) 私は ff のまま引っ張る方が好きである。最後のところも実にうまく盛り上げて、やっぱり「第九」はすごいや、と思ってしまう。そういう演奏であった。

演奏が終わり、指揮者と独唱者が何度かステージに呼び戻されると、なぜか独唱者4人が合唱の前に移る。まさかのアンコール演奏である。「第九」のあとにアンコール演奏があるとは! 演奏したのは、これまたまさかの「蛍の光」だった。まずはオーケストラ伴奏で合唱が歌い、続いて秋山さんは客席の方を向いて一緒に歌うよう促し、こちらを向いて指揮をする。でも、会場の客はほとんど歌っていなかったような気がする。再びステージの方を向き、今度は合唱がハミングで歌う。この時に、ステージの照明が消えて、合唱の人たちはそれぞれペンライトを光らせて振っている。こんなものまで用意していたとは! まるで今日が大晦日のような雰囲気になってしまった。

「第九?今さらいいよ」と避けがちだったが、やはり聴いてみるといいものである。前半のブルッフも満足で、素敵な演奏会だった。
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