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2019年09月23日20:29

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【音楽】 オーケストラ・エクセルシス演奏会 〜ポーランド国交樹立百周年

今日は、荻窪に演奏会を聴きに行った。「知られざる作品に光を当てる」活動をしている東京のアマチュア・オーケストラ、「オーケストラ・エクセルシス」の第10回演奏会である。

今日のプログラムは次のとおりである。

 ・S.モニューシュコ: 歌劇「パリア」序曲
 ・B.ドヴァリョーナス: ヴァイオリン協奏曲
 ・F.X.シャルヴェンカ: 交響曲 ハ短調

   指揮: 大浦智弘/ヴァイオリン: 小山啓久
   会場: 杉並公会堂 (14:00 開演)

今日のプログラムを周囲のクラシック音楽好きな人に見せても、「そもそも誰ですか? この作曲家」で終わってしまうが、このような作品を積極的に取り上げるのがこのオーケストラなのである。だから、これは必ず行くことにしている。かようなマイナーな作品だが、ドヴァリョーナスのヴァイオリン協奏曲を生で聴くのは2回目、モニューシュコとシャルヴェンカの作品もCDでは聴いている。

今年は、ポーランドと日本の国交樹立100周年にあたり、今回の演奏会のテーマもポーランドと周辺地域である。

まずはポーランドの作曲家モニューシュコの歌劇「パリア」の序曲だ。CDで聴いたことはあるといっても序曲だけで、歌劇自体がどのような内容なのか全く知らなかった。開演前にプログラムの解説を読んで、「パリア」というのは身分制度の最下層階級のさらに下に位置する不可触民であり、そのパリアゆえの悲劇を描いたものだと、にわか勉強する。そうやって概要を理解してから聴くと、なるほど冒頭の悲劇的な雰囲気からはじまり、序曲全体の劇的に展開が、ストーリーを想像しながら聴けるのである。歌劇の序曲はそのようにうまく出来ているものなのだが、さすが歌劇をたくさん作ったモニューシュコである。演奏も素晴らしく、良い感じでスタートだ。

続いてはドヴァリョーナスのヴァイオリン協奏曲である。ドヴァリョーナスはリトアニアの作曲家だ。この曲を生で聴くのは2回目だが、最初に聴いたのも実はこのオーケストラの演奏会である。もう一度聴きたいという声が多くて再演することになったという。私もその一人なので、実にうれしい。グレゴリオ聖歌から取られた旋律らしいホルンのソロで始まる第1楽章。このホルンが素晴らしかった。(アマオケに有りがちな、ホルンがひっくり返ることが全くない。) これでもう安心して聴ける。木管の静かなメロディーが続き、穏やかな始まりであるが、突然激しく盛り上がり、ヴァイオリン独奏が軽やかな民俗音楽風なメロディーを奏でる。このメロディーは耳に残る。第2楽章もゆったりとした雰囲気が素敵で、冒頭から激しい第3楽章へと続き、勢いに乗ってそのまま盛り上がる。やはりこれは素敵な曲だなと感じた。

このあと、ソリストのアンコールがある。何やら聴いたことあるようなないような、もやもやとした感じで聴いていたが、この直後の休憩で、ヴァインベルクの無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番の第1楽章であると知る。この曲はたしかCDも持っていたはずなのに、パッと聴いて分かるほどには聴いていないのだな。オケが用意した解説によると「可愛らしい雰囲気の作品」だというが、可愛らしかった...かな? ヴァインベルクはポーランドからソ連に亡命した作曲家である。

休憩のあとは、フランツ・クサヴァー・シャルヴェンカの交響曲だ。シャルヴェンカはポーランド系ドイツ人と書いてあったりするが、ポーランドという国家はなく分割されていた時代に生まれたので、そのあたりは複雑であろう。その交響曲は、CDで聴いたところでは、キャッチーなメロディーもほとんどなく、なんとなく捉えどころのない茫洋とした曲というのが第一印象だった。久しぶりに聴き直してみてもそんな感じであったが、生で聴くと少し印象が変わるものである。たしかにそういう雰囲気もあるが、第2楽章など実に面白く聴けたし、第3楽章の荘厳な雰囲気も素晴らしい。最後に、力強く(すこしくどい終止で)演奏が終わると、やはりなかなか良い曲ではないかと思った。おそらく生で聴く機会は今後もほとんどない曲だけに、今回聴けたのも貴重な体験だったといえる。

このあとはアンコール演奏である。知らない曲だ。でも、なんだか楽しい曲。終演後にこれはモニューシュコの歌劇「ハルカ」中のマズルカであることを知る。そういえば、今年はポーランドとの国交樹立100周年であると同時に、モニューシュコの生誕200周年でもある。そのモニューシュコの作品をプログラムの最初とアンコールにもってきて、マズルカで締めるとは考えている。さらにもう1曲アンコール演奏があった。今日は盛りだくさんだ。アンコール2曲目は、キラールの「オラヴァ」だ。これは前に初めて聴いた瞬間気に入ってしまい、CDを入手するために店に直行した曲だ。ポーランド高地の民俗音楽の独特のリズムと旋律に乗せて、オスティナートする曲。なぜか伊福部昭のタプカーラ交響曲の第3楽章を思い出した。

このオーケストラは、アンコール演奏の作品の詳しい解説を終演後に配ってくれるのがよい。アンコール曲も、あまり知られていない曲ばかりなので、「あの素敵な曲は何?」への配慮だろう。こういうところも素晴らしいと思う。

風の強い一日だったが、幸い雨には降られず、素敵な演奏会を堪能することが出来た。
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