「廃墟」と聞いて連想するのは、数年前に世界遺産になった軍艦島とか、つげ義春がさまよう寂れた温泉街など。
なぜか心惹かれてしまうのは、繁栄した時代のエネルギーが今もどこかに残っていて、長い歴史のひとこまの最後の所に、自分が立ち会っているような気になるからではないかな。
この松濤美術館は、Bunkamuraから5分ほどの近さで、ときどき面白い企画展をやっていて、今は「終わりのむこうへ : 廃墟の美術史」。
>ユベール・ロベール、版画家ピラネージから、19世紀のコンスタブル、20世紀のアンリ・ルソー、マグリット、デルヴォー、そして日本の江戸時代から近現代の画家たち、亜欧堂田善、藤島武二、岡鹿之助、元田久治、大岩オスカール、野又穫まで、廃墟の主題は描き継がれているのです。
失礼ながら、こんな小さな美術館なのに、良くもこれだけ集めたな〜と思うほどの廃墟の絵。デルヴォーは姫路美術館からで、見た事がなかった絵(すご〜くいい)。たった1枚のアンリルソーは、ポーラ美術館から。デ・キリコは、横浜美術館から。
さらに、何年か、何十年か、南千年か先、渋谷の街が廃墟になっている絵もあって、
「そうか〜渋谷もいずれ廃墟になるのか〜、
その時は、ぼくも、ここ歩いてる人も、みんな死んじゃっていないんだ〜」
と思いながら、渋谷を歩くと、雑踏にも哀惜の念が湧いてくるのだった〜。この日は、山田屋にご挨拶に。2019/01/11
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