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2020年11月06日01:37

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建物の外装工事とチョウチョ

 閉め切った居間のベランダに面した窓ガラスに、蝶が止まっていた。
 外ではなく部屋の中に。
 しかも、3頭もの蝶が。
 アゲハのような大きな蝶ではない。モンシロチョウよりもセセリの類よりも小さい。シジミチョウの一種。見た感じ、どれも同じ種類だと思う。
 窓も開けてないのに?
 と、一瞬だけ驚いたが、原因はひとつしか考えられない。
 現在、集合住宅の外装補修工事の最中で、5階建ての建物全面が足場とメッシュシートに覆われているため、工事の邪魔になるベランダの鉢植えをすべて居間に運びこんである。「外」の要素が室内に発生する要因は、これ以外にないだろう。
 ただ、そのあとすぐに別の焦りが生じた。
 まさか! 鉢植えのどれかにアリの巣が!?
 シジミチョウ=幼虫がアリの巣で共生する、というやつが浮かんだのだ。
 だが、アリがいたら真っ先に気づいただろうし、ペランダに置いてあった段階で気づいていたはずだ。だから、アリに守ってもらうタイプのシジミチョウではないのだろう……。ヤマトシジミってやつか?
 半端に知ってはいるが、正確に豊富な知識を持っているわけではないので、ヤマトシジミの植生は知らない。
 調べてみると、カタバミの葉を食べるらしかった。
 ほったらかしにしているから、一番大きなプランターには雑草のカタバミが密生している。

 天空に忽然と現れたカタバミの森……。
 ヤマトシジミにとっては、楽園のような場所だったのだろう。
 メッシュシートに覆われてスズメも近寄れず、天敵もいない(嗚呼、居付きのヤモリたちは、この大工事を無事に乗り切っているのだろうか……心配だ)。
 無事に育って、次々と羽化したのだろう。
 こんな、最悪のタイミングでだ。

 どうするか? ここにいても死んでしまう。
 窓を開けて外に出しても、ベランダからは外には出られない。なにしろメッシュシートで遮断されているのだから。

 しかたなく、1頭ずつビニール袋でとらえてから、1階まで降りて外に放してやった。
 気温も低くなってきているし、無事にカタバミなり花の蜜なり見つけられると良いんだけど、と思いながら。
 調べてみると、ヤマトシジミは11月頃まで羽化するサイクルの昆虫らしい。そのあとは卵で越冬するのかな。ともかく、一応まだ頑張れる季節らしいので無事を願った。

 そうしたら……。
 昨晩、またしても居間の壁にヤマトシジミが止まっているのを発見した。
 君たち、まだいたのか!
 ほんとに楽園だったんだね。
 たくさんの子たちが成虫になれたんだね。
 なんかしらんけど……。

 人間なんて身勝手なもので、もし数百匹とか発生していたら、こんなのんきなこと言ってられなくて害虫パニック的に反応していただろうけどさ。

 夜中や早朝は気温が低いから辛いだろうから寝て起きてから放ってやろうと思い、その1頭はそのままにして寝てしまった。

 で、翌日。
 ヤマトシジミは壁から消えていた。
 シートで遮られているとはいえ昼間は明るいし暖かくなっている窓ガラスに移動したのかな……と探してみて、サッシの溝に落ちて動かなくなっているのを発見。
 死んじゃったのか……。
 拾い上げようとして、途中で鉢植えの茂みの中に落ちて、見つからなくなってしまった。
 可愛そうなことしたな……と思って顔を上げたら、窓ガラスに1頭のヤマトシジミ。どうやら、昨日見たのはこっちらしい。
 力尽きていたのは、先の3頭よりも前に羽化していて私が気づかなかった個体だろうか。あるいは、意図的に保護されて室内に結構な数でいるハエトリグモにやられたのかもしれない(先の3頭を逃してやらないと、と思ったのにはそうした理由もあったのだ)。
 ともかく、生きているこいつだけでも……と、再びビニール袋でとらえて、公園まで運んで放してやった。

 もしかしたら、楽園からは新たな蝶が現れるかもしれない。
 そして、工事は2月まで続く。

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