携帯型扇風機

　手に持って使うタイプのやつではない。ズボンの腰のところに取り付けて、側面から空気を取り込み、上についた小さな送風口から服の中に風を送るタイプの道具の話。
　松本でのサークルボックスの備品撤去作業を炎天下の中でやるし買っておくか〜と、Amazonでひとつ買ってみた。
　風力が三段階に変えられるが、まあ、服の中に風を送って涼しく感じるにはフルパワーでないとほぼ意味がないことがわかる。とはいえ、衣服への装着に関してはけっこう工夫されていて良い感じだし、実際の作業ではなかなか役に立ってまあまあ涼しめた。
　だから、今後も使えるかな〜と思っていたのだが、三日間現地で使って、帰ってきてスイッチを入れたら動きが怪しい。電源は入るのだが、二度三度押してもパワーアップしない。一段回目のゆるーい風が出るだけだ。
　あー。やっぱりそういう商品だったか〜。
　とは思ったが、ダメ元で返品か交換の請求をしてみた。
　すると、怪しげな日本語で返事が届いて、「注文番号」と「動画」を送ってくれと言ってきた。注文番号はわかるが、動画とは？　何の説明もないところを見ると、彼らにとっては当たり前のことなのだろう。こっちは説明無しだとなんとも自信がないのだが、恐らくは「不具合の様子がわかるような動画を撮って送れ」ということなのだろうな……と解釈し、「送風口にティッシュペーパーを細長く切った吹き流しを貼り付けて、スイッチを段階的に押しても吹き流しの動きが変わらないことを示したもの」を撮影して、送ったみた。
　すると、それで正解だったようで、「全額返金し、不良品の返品は必要なし」または「９割引で新しいのをAmazonで買い換えられるようにする」か、どっちがいい？　と言ってきた。
　で、「まあ今回は前者でいいです」と返事したら、「お金返しましたよ〜」と返事が来た。返金の確認は今月末だろうから、まだ本当かどうかはわからないが、まあよしとしよう。少なくとも、当初の目的であった松本での作業では役に立ったのだし、お金は返ってくるのだから。無料で数日間借りたようなものだ。
　それと、最期の通知のメールには「ところで、こういう商品もあるんだけどどうすか？」みたいなことも書いてあって、すげえなあって思った。たしかにプラマイゼロで、トラブルを解決したっちゃしたんだけどもさ。いくらアフターサービスがまともであっても、製品として、メーカーとしての信用は減ってるんだよな。
　その辺のところを、売る側も買う側も気にしない文化なのだろう。
　私は文化の違いを面白がるほうではあるから腹は立てないけど、さすがに面食らいはするよ。このやりとりのあと、あなたの店からバッテリーを買う気はしないって。