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2020年08月30日22:16

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松本行 覚書

 古巣の信大SF研が「廃部」となった。
 詳細は省くが、教養部の部員が一人もいなくなり、サークルとしての存続が大学側にみとめられなくなったのだ。
 で、部室(サークルボックスという。以下ボックス)は大学の提供しているものなので、「8月中にボックスを空っぽにして明け渡せ」と勧告が出たのだが、伝える現役の部員が一人もいないので、長野や上田その他の学部生に知らせが行き、彼らは既に教養部のサークルには関われないので、OBに報せが来た。
 ボックスには歴代の部員が置いていった小説、マンガ、ボードゲーム、ゲーム機、麻雀牌、大学祭の出店の道具、ボックスで心地よく過ごすためのこたつや冷蔵庫やテレビ……と大量の品が詰まっている。これを全て処分しなければならない。
 まるで遺品整理。
 サークルが誰にも知られず孤独死したようなものだった。
 情報収集に時間がかかり、状況ははっきりと把握できないなか、ともかく動けるOBが8月中に集まって、土日の二日間で撤収作業をするしかない。日程を調整したり、回収したいものがあれば先に回収しておくよう連絡したりと、事前準備もいろいろとあったが、7人〜9人ほどが22日と23日に松本に集まることとなった。

 GoToなんか使う気もなかったのに、必要有急で松本へ行くことになった。
 卒業してから30年の間に、サークルの合宿や「かえるまつり」で松本へ行き、ボックスに顔を出すことはよくあったが、こんな最期を向えるとはなあ……。
 せっかくだからGoToを利用して、ビジネスホテルを予約してみた。auがPontaカードと連動しているので、じゃらんを通じて予約してみた。『ザ・セレクトン松本』という宿。駅からは多少離れているが、今年できたばかりのホテルで、ビジネスホテルだけど大浴場があるのがよかった。
 最初、蒼龍の分も合わせて土曜夜のツインを予約したのだが、土曜日の作業を従前にするには遅くとも昼にはボックスにいる必要がある、となったので金曜日も私だけ前泊することに。
 この辺がごちゃごちゃしたのだが、ホテルに電話して相談したところ、色々と便宜をはかってくれて、ツインの部屋で連泊できるようになった。
 GoTo用のキャンペーンで元から安くなっているプランを選んだので、そこから35%引きなので、金曜が2600円、土曜が3250円。
 宿泊費がそこまで軽くなるなら、高速バスではなく、時間的に安定している鉄道での移動を考えたくなる。何十年ぶりかに「あずさ」にで行き来することにした。
 ホテルは新しくて居心地が良かった。室内は少し狭かったが代わりにベットがでかい。まあ帰ってきて寝るだけだし、贅沢は言えない。

 金曜日もボックスには行ったが、OB会幹事のKくんと二人だけだったので、明日の段取りだけ確認してすぐに引き上げた。
 夕飯は松本城近くの蕎麦屋さん。古城セットというのを食べた。美味かった。

 土曜日、日曜日と集まったOBたちは年代も様々で、暑さもそれほど厳しくはなく、作業はかなりサクサク進んだ。
 私は蒼龍と水玉くんと、本やゲームを古本屋に売却しにいくのがメイン。
 最初に持ち込んだ「夢大陸」という大規模なゲームや玩具、古着など多様なリサイクルのショップでは、ゲーム器数台にコントローラー、アーケードゲーム仕様のコントローラーなどと、三箱分のマンガが合計で600円と言われたので唖然とし、次のゲームソフトを中心とした四箱は持ち込み先をブックオフに変えたら7000円になったので驚いた。
 この日の昼飯はハーモニーというレストラン。チェーンじゃないけど頑張っている感じのファミレス風の作りの店。なかなか美味かった。
 夕飯は諏訪に本店があるというハルピンラーメン。独特なスープ。麺が思ったより細くて驚いた。
 疲れていたので、大浴場のあるホテルで助かった。
 とかいいつつ、夜はPS4を持ってきた蒼龍と、ゴーストオブツシマを初プレイ。なるほど、こういうものか〜となる。

 日曜日。
 カラーボックスに詰まっていた中身の運び出しはだいたい終わっていたので、日曜はカラーボックスの分解や、家具の撤去がメイン。
 三度目の売却で、本は全て処分したが、ブックオフで本とCDだけで6000円。やはり最初の600円は納得できない。
 他のものは、ゴミとして月曜日に業者に回収してもらうことになっていたので、お昼過ぎには作業は終了。
 解散となった。打ち上げ的な全員で会食したりとかはなし。コロナもあるので。
 昼は蒼龍と水玉くんとおきな堂で食べた。
 高くて食べたことなかった「おすすめポークソテー」を、打ち上げ気分で注文。実に美味かった。

 帰りは、千葉までいく「あずさ」に乗ることにした。新宿で乗り換えないで済むので、楽だと思って。
 ただ、千葉行のあずさには3時間に満たないほど待ち時間がある。
 駅前のデパートの地下でお土産を選んでから外に出ても、まだ2時間近く待つ……。
 そこで、絵から歩く途中で見かけたボードゲームカフェに寄ってみるのはどうかと思いつく。松本でゲームをした思い出に浸った2日間だったので「ここで1時間ぐらいゲームをするのもいいね」と看板の置かれている雑居ビルの階段を上がる。飛び入りでカードゲームでもしていれば、1時間なんてあっという間だろう。
 扉の前に張り紙があった。
 感染防止に関する細かいルールが書かれている。
 まあ、こっちも色々とそのへんに気をつけながら旅をし、現地で作業をしてきたので、用意はしてあるし大丈夫……と、思ったところで「県外からのお客様は遊べない」との一文を発見。残念だが、ルールには従う。ゲーマーだからな。
 都内から来たわけじゃないし(という見方も微妙だけど)、ちょっと神経質な気もしたけれど無理もないかな、とも思った。ゲーマーだからルールには従う、と書いたが納得したから従うのであって、ルールが間違っていたら「クソゲーだ」と文句を言うだろう。
 だがまあ仕方ないよなあ。私自身、もともと非電源ゲームに関わる仕事をしていたし、知り合いにもボードゲームカフェを経営している人がいるから理解できる。
 室内でボードゲームとなると、確実に密になるし活発に会話するし、飲食だってそれなりにする。そして、(特に地方の)ボードゲームカフェってのは「頻繁に利用する地元のリピーター」で成り立っているのだ。遠くからふらっと来て一時間だけゲームをしようか、なんて客が山ほどいるわけじゃない。そうなると万が一のリスクは避けたいだろう。
 まあいいさ。また松本を訪れたときに寄ってみるとしよう。
 なにしろ、この地で気楽に集まってゲームができる「サークルBOX」という古巣をなくしてしまった身なのだから。

 というわけで、ようやく乗った千葉行のあずさだったが、甲府の人身事故の関係で到着が二時間近く遅れてしまった。こんなことなら高速バスにすればよかったよ。

 というわけで、サークルが消滅し、毎年松本に行く理由がひとつ減ってしまった。
 合宿に集ったときに、「先輩が書いた本だぞ」と自著を押し付けられる若い人が現れることもなくなってしまった。

 正直、かなりショック。

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