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2019年12月09日03:30

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新宿鮫XI 暗約領域

 8年ぶりの長編だ。
 前巻のときは、どこかで連載されていると知ってはいたが、単行本化されてから読む派なので刊行を待った。
 今回は、連載しているとは全く知らず、続刊が発売されていることをTwitterで知った。
 XとXIの間に短編が出ていたが、間をつなぐ作品はなく、どれもXで起こった「鮫島を取り巻く環境の大きな変化」以前の作品をまとめたものだった。
 ひとつ前のXのネタバレになってしまうが、Xで鮫島はこれまで彼を支えてきた上司の桃井課長と、恋人の晶を失う。孤独な鮫島が仕事と私生活とで頼りにしていたたった二つしかないものを、どちらも失ってしまったのだ。Xは結果として失った――というところで終わっていたので、続きが出るとしたら、いったいどうなるのだろう? とは思っていた。
 もちろん、新しく現れた不気味な犯罪集団との関わりも気に掛かるが、各巻の事件や対峙する相手とかの全体的な傾向が国際化して謀略もの絡みが多くてその点に関しては微妙なのだ。どちらかというと、ストーリーの方向性としては初期のほうが好きだったりする。国際的な犯罪や陰謀が絡んでくる……というのは、「鮫島が挑む色々な事件の中のパターンのひとつ」として存在していてくれたほうがいい。以前の流れが出てくると、その手のことばっかりになるのは嫌だ。もっと、国内の奇妙な犯人を探し、追いつめて欲しい気がするのだ。
 でも最近は、同期のライバルである香田の関わりからか、作者の趣味なのか、国際的な犯罪者やスパイ絡みが多い気がして「またか〜」って思ってしまうところがある。
 まあ、前巻Xの展開からすると「金石」絡みの事件なんだろうな……とは思って読み始めた。
 実際、そうなのだが、まあ読み始めたら夢中になっちゃうよね。
 新宿の感じがたまらんし。
 このシリーズを読むと、街中で見かける人がみんな「すれちがう人がみんな暴力団員か、その企業舎弟か、どこかの犯罪組織の一員か、その愛人か……と思えてくる」と、前巻の感想でも書いたんだけど、 今回もそれは健在。
 しかも、たぶん前巻より分厚い(700ページ超)のに、晶とのシーンが皆無なんだから、もう辛いだけだ。
 晶に心配されたり、飲みに行ってハッパかけられたりしないまんま、桃井の死の責任を抱えて苦しむ鮫島が一歩、また一歩と犯人を詰めていく。
 鮫島も辛いだろうが、読んでるこっちもまあ辛いったらないのだ。
 そういうとこも味わうようにできてるのかもしれないけど。辛い。話は面白いけど、ずーっと辛い。
 新登場したキャラクターは少しホッとできる要素でもあるけれど、新しく着任した女性課長は「警察は絶対に正しい。基本を曲げるな」という固い人物で、相応の年齢の人なので可愛いシーンってわけじゃないのだけれど、鮫島とのやりとりがなんだか微笑ましいのだ(こういうキャラ好きなの。PATRONEのルフィっぽいというか)。だんだんと、鮫島を理解していくところが良くて。
 それと相棒になる若い刑事も良いやつで、今後どうなっちゃうのかな〜って、やきもきする設定でもある。
 しかし、しかしだよ。
 やっぱり晶が全くでてこないのは耐えがたい。
 いやほんと、フーズハニイの復活とかないのかよ……。
 お話のほうは、プロットが絡みに絡んでややこしくなっているが、読む側は別の視点からのシーンもあるので概要はつかみやすくなっている。あと、連載小説だったからか、やたらと鮫島と誰かがここまでの状況を把握する(相手に説明したりする)シーンがあって、若干くどく感じた。まあ、わかりやすくはあるのだが。
 そして結末は唐突だ。ざっくりと事件がその後どうなったかを説明して終わる。

 見処は、天敵の香田と鮫島がチームを組むとこかな。あれは絶対に映像で観てみたい。
 それから、藪さんの短編での設定が生きているのが最高だった。あそこが唯一、明るい気分で読めたところだったかもしれない。レギュラー陣で唯一残っている鑑識の「藪」は、両津勘吉の幼馴染みなんだよね(短編で、こち亀の両津の出てくる話や、シティハンターの冴羽獠が出てくる話がある)。
 で、藪の地元の浅草ですき焼きを食べるシーンが出てきたので、「おお。あれの設定って本編にも!?」と、嬉しくなったのだった。

 というわけで、結末があっさりしていただけに新体制での今後がどうなるのか、続きが気になっちゃうよ。
 そして、晶をっ!
 やっぱり晶がいないダメだよっ、新宿鮫はっ!

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