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2020年05月27日18:43

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■マエストロという言葉!

■マエストロという言葉!

ドイツではマイスター、フランスではアルティザン、イタリアではマエストロ、日本では匠っていうんだろうな。手工芸的な物作りだけでなく、工業製品だってそういう物作りの匠がいる。物を作れる、作って生きていける人は実はとっても幸せなことなんだ。そういう人になりたかった。

だいたい、好きなことを自分の仕事に選べる人はほとんどいない。一生続けられる、物作りが選べたとしたら。ある意味最悪だけど最高だ。だって生きていればやっていることがどんなに好きなことでも、苦しくなったり、嫌になることだってあるし、何のために頑張っているのか分からなくなることがある。

僕は小さな補修パーツを作ったりして、金属加工や溶接をやったこともあるけど、課題をブレークスルーするために、考えることも楽しいし、構想を思いついて、金属やFRP素材を探したり、加工して、取り付けて、作動させて、手直しの部分が判明して、作り直し、トライ&エラーを重ねることが楽しいのだ。アマチュアだからだね。

ちゃんとした目的があって、やる気もあって、ススっと入り込めることもあるが、僕はそのプロであるとはこれっぽっちも思っていない。とりあえず思ったような製品がないか探すけど、自分で作るとなると、なかなか腰が重い。特に自分のバイクのこととなると、からっきしで、なかなかやる気にならない。

仕事部屋に置いてあるロードバイクとMTBを見ていて、時々、年に1回ぐらいだがオーバーホールしたくなってしまい。徹夜で6台分の補修パーツや必要なケミカルや工具ををかき集めて。朝が来てしまうことになって、部屋がごちゃごちゃになる。

一眠りしてから、整備代を入れて、メンテナンスの順番に合わせて予備パーツをステンレス製のトレーに山盛りになる。チェーン、コネクティングピン、ブレーキケーブル、シフトケーブル、ブレーキパッド、タイヤ、リムテープ、上下のプーリー、ブレーキレバーブラケットのラバーフード、バーテープ、ハンガーカップ、こんなトレーが6つ用意される。

6台で使う工具も大きなステンレストレーに取り出しておく。とにかく準備までに時間がかかるけど、作業を中断して、3つの工具箱から工具を探しながら作業を進めるのが嫌なので、オペレーションに合わせて器具をピックアップしておくのだ。必要になるケーブルキャップやアウターカップも必要個数分を小型のトレーに出しておく。

だいたい1台に2時間かかる。6台合計で12時間、ぶっ続けでまとめて作業してしまうことが多い。作業を終わるとやったー感がある。アウターケーブルの末端の切り口も、必ずグラインダーで平に仕上げる。時間短縮のために、前に使っていた長さに問題がなければ同じ長さに切って仕上げる。

インナーケーブルは固定ボルトの中心から1cm以内で切り、インナーキャップを、刃先を削って切れないようにした専用のニッパーで3カ所カシメて止める。もっとも気を使うのはチェーンを切る長さと、アンプルタイプコネクティングピンでの接続だ。11段、12段で押し込み量が微妙に違うし、シマノとカンパニョーロでも構造が違う。

そんな整備なら時間がかかっても2日間で終わる。多分集中できる自分の限界だ。これはパッケージデザインや、グラフィックデザインを勉強していた頃、課題の製作の時もそうだったし、事務所に入って仕事にしていた時もペースは変わらない。

丸々24時間頑張って、起きてまた前の日のアイデアのまま取り組める。だけど2日を過ぎると、これで良かったのかと思い始めるのだ。それは何故か、もっといいデザインがあるのではと思い始めて、形が見え始めると、その作品に嫌気がさしてくるのだ。だから、そうなるまでに完成させたいと焦るのだ。

だから、できるだけアイデアをデザイン画に残して、パッケージの場合はギリギリまでモデリングしないのだ。平面にカットするラインを入れたり、折れ線を入れて、頭の中で組み立てて、これしかないというところまできたら一気に組み上げて評価する。自信がなくて、いくつも作ってしまったりする。

グラフィックの場合も、B全もA全も、A4もドローイングは一気に仕上げることにしていた。リキテックスという水性絵具が好みだったが、キャンバスに油絵の具の質感で筆でという注文の時は、塗り重ねには、前の絵具が乾くまで待つこともあるので苦手だったな〜。我慢の塊のような作品になった。

事務所には仕事が仕上がると嬉しい人も大勢いた。見せてもらうのだが素晴らしくて、こいつ才能あるな〜と、いつもコンプレックスを感じていた。僕の場合は、仕上がってしばらく経つと、もっといいものを作れるかもと、クライアントが気に入ってくれても、何かそういう感情に襲われるのだ。満足した作品というのがない。

グラフィックデザインでしばらく食べていたが、もっとも苦手としている文章を書くこと、取材をして記事を書く生活に憧れるようになった。自分の感性からグラフィックや造形を次々にひねり出す仕事の大変さや、才能のある人たちを見て、事実や感じたことを言葉にする方ができそうだと思った。

ところがどっこい、手書き時代だから字が汚い、漢字を知らない、文章になっていない。
そういうことだけでなく、読者や自分が興味を持てる企画づくりがあって。代々の編集長や、編集のベテラン、校正マンによく教えてもらった。そうまとめるとわかりやすいか。科学的な工学的なエビデンスも必要だし、乗ってどう感じたかの感覚も磨かないといけないことを悟った。ここも、好きだからじゃできない世界だった。

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