mixiユーザー(id:124952)

2021年07月04日23:33

57 view

日曜は……

 日曜は、友人の強い薦めもあって、新宿武蔵野館にて「ソウルメイト 〜七月と安生」を観に行く事に。
 ……とは言え、今や東京はバイオハザードの汚染エリアのようなものだ。今日は、食事は横浜で済ませ、多摩川渡ったらマスクは外さない方針で臨む事にした。

 これは、アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされ、今月16日に日本でも公開される「少年の君」のディレク・ツァン監督が、2016年に撮った劇場用長編デビュー作。
 初の長編映画ながら高い評価を受け、香港電影金像奨で12部門ノミネート(作曲賞受賞)。金馬奨では主演の2人(「サンザシの樹の下で」のチョウ・ドンユイ、「王朝の陰謀 闇の四天王と黄金のドラゴン」のマー・スーチュン)が主演女優賞をW受賞している。
 
 上海のネット通販企業で働く李安生の元に、人気ネット小説「七月と安生」を映画化したい、と言う映画会社からの連絡が入る。映画会社は作者の七月とどうしても連絡がつかず、作中の安生のモデルだと言われる李安生に連絡をして来たのだ。
 安生は、「七月など知らない」と答えたが、実は七月は、安生にとって特別な存在だった。
 ネット小説「七月と安生」を読み返しながら、安生は、ふたりの人生を振り返って行く……

 昨年、「チイファの手紙」を観た時に感じた事だけど、最近の中国映画は、かつての中国映画から、その印象を大きく変えている――ある意味、何処まで行っても韓国映画な韓国といい対照ではある。
 何とも切ない、胸をかきむしるようなドラマを抑えた描写で見せ、音楽の使い方も繊細……まぁ、岩井俊二の影響を強く受けていると言えばそうなのだが。

 これは、ひとりの男を同時に愛してしまった2人の女性の物語……ちょっと勘違いしそうになるのだけど、女性同士、同性愛者ではなく、ただ、心から深く結びついた親友なのだ。そして、映画は愛情と友情との間で揺れる気持ちを、中国各地と言う広大な舞台と、13歳から27歳までの14年と言う時間軸を以て描いて行く……って、この壮大な物語を長編映画デビュー作で作ってしまうのだから、最早中国映画のスケールには敵わない。

 お互いを誰よりも理解しながらも、すれ違う想い、そして、それ故にぶつかる気持ち……終盤のバスルームでの口論は、「ここまで言うか」と思うものだったし、そして、それを言った本人が最も深く傷ついているのが判る圧巻の描写。
 そして、それから先の虚実取り混ぜの展開も、岩井俊二的でありながら、そうした「物語」を望んでしまう気持ちが胸を打つもの。

 キャストは、やはり、安生を演じたチョウ・ドンユイがいい。目が小さく、垂れ目の地味顔で、美人ではなく、どうにも薄幸そうな印象で、日本ではあまり知られていないと思うが、「サンザシの樹の下で」では、「国民の妹」とまで絶賛された人気女優だそうだ。ただし、演技力は確か。表情は豊かだし、その微かな変化での気持ちの表現が素晴らしい。家明と出会った時、何も言わないし、効果音も、心の声もなしなのに、“運命の人”に出会ったと判るのはスゴいと思った。

 素晴らしい映画だと思う。だが、これか製作時には劇場公開されず、今回、「少年の君」とのタイアップ企画での3週間公開となったのは勿体ない話のように思う。
1 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年07月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

最近の日記

もっと見る