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2021年05月07日10:00

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5月連休6日目

 連休6日目の木曜は、シネマジャック&ベティでリバイバル上映中の「愛のコリーダ 修復版」と「戦場のメリークリスマス 4K修復版」と、大島渚祭り。

 まず、1本目、
 「愛のコリーダ 修復版」。

 これは、愛憎の果てに男性器を切り取るという昭和の日本を震撼させた「阿部定事件」を大胆な性描写と圧倒的映像美で描き切った大島渚監督最大の問題作。出演は、松田英子に藤竜也。
 大胆な性描写の為、撮影済のフィルムを現像せぬままフランスに送って現像・編集して製作された。映画は1976年に公開されたが、日本公開においては多くの修正と一部シーンのカットがあり、映画シナリオとスチルを掲載した書籍は、わいせつ物に当たるとして、大島渚がわいせつ物頒布罪で起訴されている。(後に無罪)
 今回は本編ノーカット、性器にボカシ処理と言う再編集版の「愛のコリーダ2000」を、2Kデジタル化したものとなる。

 昭和11年。東京・中野の料亭の主人、吉蔵と仲居の定が出逢い、たちまち惹かれあう。昼夜を問わず体を求めあう二人の愛はエスカレートして……

 この映画を製作するに当たり、大島渚監督は、阿部定の予審調書にも目を通し、彼女の行為を生んだものに迫ろうとした、と言う。
 その一方で、映画は決して再現ドキュメンタリーの体を為してはいない……阿部定の生まれや育ち、吉蔵と暮らした日々の日常などは細かく描写されないし、愛憎をエスカレートするうちにふたりが彫った入れ墨も省かれている。
 描かれるのは、そんなドラマではなく、性交を通じて、ふたりが情を交わす様……定の愛が、性欲に特化する一方で、吉蔵は、度量を見せてその全てを受入れようとする……そんな“男”がいたのが昭和と言う時代だったのだ、とする時代性の描写もまた見事ではある。

 全篇情交シーンとなる本作だが、公開された1976年当時ならいざ知らず、アダルトビデオ登場後の現在では、内容としては衝撃的、と言うものではない……ただし、それでも、陰毛さえ画面には出せなかった1976年では、修正では追いつかず、カットされたシーンがある、と言うのにも納得だ。
 そうした時代性を感じる本作だが、同時にこんな映画はもう撮れないのだろうな、と思う……アダルトビデオさえ、出演強要が問題視され、撮影後に作品がお蔵入りになったり、訴えられたりしているだ。映画ともなれば、最早そんな危ない橋を渡ろうとする製作者は最早いないのではないだろうか?

 「愛のコリーダ」のこれまでの45年……それに映画が、映像が、性と向き合って来た歴史を感じた1本だった。


 続いて2本目は、 
 「戦場のメリークリスマス 4K修復版」。

 これは、大島渚監督が、第二次世界大戦下の日本軍俘虜収容所を舞台に男たちの愛憎のドラマを描いたサー・ローレンス・ヴァン・デル・ポストの小説「影の獄にて」を映画化した1983年の映画。
 出演は、坂本龍一にデイヴィット・ボウイ、それにビートたけし。

 1942年、ジャワ。バクセンバタの日本軍浮虜収容所には、600名の連合軍将兵が収容されていた。
 所長のヨノイ大尉は、226事件で死に損ねた青年将校で、英語も達者な知的な男だったが、その行動は観念的に過ぎ、収容所の運営は、ハラ軍曹に任されていた。
 ある日、ヨノイ大尉は、軍律会議出席のためバタビアへ向かった。バタビアの第16軍拘禁所の法廷では、英国陸軍少佐ジャック・セリアズの軍律会議が行われ、裁定の結果、セリアズは俘虜としてヨノイ大尉の収容所に送られる事になるが……

 この映画だが、登場するのは男ばかり、と言う異色の映画。
 その中で、映画は冒頭に男同士の愛が、許されない、そして恥ずべき事であると示される。
 そうしておいて、映画はヨノイ大尉のセリアズへの許されない愛が歪めた想いを描いていくのだ――しかも、デイヴィット・ボウイと言う当時屈指のゲイ・アイコンを据え、YMOのミュージシャンとして注目されていた坂本龍一が受けるのだ。内容的には、ホモネタ好きの腐女子が狂喜するような設定だろう。
  
 この映画、当初は、ロバート・レッドフォードや滝田栄、緒形拳と言う俳優がオファーされたのだと言う……そうした名優が顔を揃えたら、それはそれで魅力的であったかもしれないが、この映画は、これで正解だったようにも思う。
 ヨノイ大尉の生まれた場所を間違えたような違和感は、坂本龍一の佇まいが生んだものだろうし、ビートたけしも粗野で暴力的でありながらもユーモアを滲ませるハラ軍曹を見事に演じている……これは、結果と言うよりも、考え抜かれた末に必然としてこうなったものだ、と思えるのだ。

 実際に、南太平洋のラロトンガ島にオープンセットを建設、南国のうだるような暑さの中、国や宗教、そして信じるものの異なる男たちの愛憎が交錯する……これは今観ても新鮮な、インパクトのある映画だった。


 帰りに夕食のコロッケと鶏からを買い、夕食後は、NETFILIXで映画。

 今日は、アカデミー賞で脚色賞にノミネートされた映画、
 「ザ・ホワイトタイガー」
 を観た。
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