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2021年04月25日20:10

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土曜は……

 土曜は、午後、シネマジャック&ベティで、映画2本。1本目は、
 「ブックセラーズ」。

 これは、NYブックフェアの裏側から、本を愛し、売り買いする人<ブックセラー>の世界を紐解くドキュメンタリー。

 世界最大規模の古書市、NYブックフェアには、本を愛し、売り買いする人――ブックセラーたちが集まってくる。
 老舗書店の店主、業界で名を知られたブックディーラー、希少本コレクター、古書業界に新しい風をもたらす若手から伝説の人物まで。彼らは皆、本をビジネスとして扱うだけでなく、本への愛情に溢れている。
 また、ビル・ゲイツによって史上最高額の2800万ドル(約30億円)で競り落とされた「レオナルド・ダ・ヴィンチのレスター手稿」や、「若草物語」のルイーザ・メイ・オルコットが偽名で書いたパルプ小説、宝石が施された本、人間の皮膚で作られた本など、コレクターしか見ることのできないような希少本も紹介される。

 これは、あまり馴染のない、古書に関わる人々を描くドキュメンタリー。
 映画はまず、古書から入って行くのだが、古書は絵画や工芸品と違ってその価値が判り難い……その体裁だけでなく、その内容がものを言うのが書籍だからだ。だが、映画は、古書そのものには深く入り込む事なく、その古書に魅せられ、収集し、売買する人たちの方を描いて行く。
 人種からジェンダー、後継者問題から、焚書などの歴史上の悲劇、電子化が進む書籍の世界での「紙の本」の存在意義まで、総花的に描く内容となっており、印象としては上品にまとめた感じ。
 まぁ、これはこれでNYの古書事情を知る意味はあるし、本を巡る生々しいドラマや、古書収集で身持ちを崩した話など、ドロドロした世界には踏み込まず、クールにまとめた辺りは現代的なのではあろうが、いささかインパクトに欠けるもので、中盤は眠くなってしまった。 


 2本目は、
 「SNS 少女たちの10日間」。

 これは、未成年の少女がインターネット上で受ける様々な性被害の実態を把握するために行われた、ある取り組みを記録したドキュメンタリー。
 現代の子供たちが直面する危険をリアルに映し出すものとして、本国チェコでドキュメンタリーとしては異例の大ヒットを記録した他、各国の映画祭で注目された話題作。

 ドキュメンタリー作家のバーラ・ハルポヴァーとヴィート・クルサークは、少女たちがインターネット上で遭遇する性暴力の実態を記録する為、撮影スタジオに3つの子供部屋を造り、幼い顔立ちの3人の成人女優が“12歳の少女”に扮し、部屋に設置されたパソコンを使いSNSで友達を募集。彼女らに連絡し、誘いをかけて来た男性らの行動を記録する事にした。
 撮影スタッフには、精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家の万全なバックアップやアフターケアを用意し、10日間撮影を続けた。
 その間に彼女らにコンタクトして来た男性は実に2458人に及び、彼らは“12歳の少女”相手に、成人女性さえたじろぐ程の卑劣な誘いを仕掛けて……

 この映画、少女を狙う性犯罪予備軍を、“囮”を使って誘い込み、白日の下に晒し出す、と言うもの。確かに深刻な社会問題ではあるが、警察の捜査ならともかく、プロフィールを偽装してアカウントを作り、その反応を記録して一般公開、と言うのは、さすがに道義的にどうか、と疑問に思う。実際、後半では、合成とは言え、“12歳の少女”のヌード写真を作成、それを餌として男に送ったりもしているのだ。
 しかし、そんな手口も全く正当化出来てしまう程、現実は酷い。
 まず、オーディションに応じた女優23人中、19人が未成年時にインターネット上での性被害を受けており、演じた女優らにとっても決して他人事ではない、と言う事が示される。
 そして、取り組みが開始されて少女たちに群がった男たちは酷い――スカイプでの会話中に服を脱ぎ始めてオナニーを見せつけ、ペニスの写真を送りつける。これが序の口で、10歳程度の少女が出演した児童ポルノや、獣姦の動画まで“12歳の少女”に送りつけて来るのだから……
 しかも、撮影中、映画のスタッフの女性は、知人男性が少女たちにアクセスしている事に気づいて愕然とする――少女を性のはけ口にしようとする男は、決して社会性のない変態男ではなく、ごく普通に社会生活を送る男性なのだ。
 (勿論、常識的な、普通の男性もいるにはいる……そんな事に女優らが感動してしまう程に現実は酷い)

 これはチェコだけの問題ではなく、世界中、何処でも起きている問題だろうし、それだけに事態は深刻だ。
 (映画スタッフは映画撮影後、記録された内容をチェコ警察に提出し、捜査が行われる事になった、と言う)
 コロナ禍で、学校もリモート学習化され、子供たちがインターネット上のコミュニケーションに触れる機会が増えている現在、更に事態は悪化しているのではないか、と思う。
 映画ポスタービジュアルなどはポップなもので、内容も軽いものかと思えばさに非ず。これは現在の病理、そして、子供たちが直面するかもしれない、現実にある危機だ。
 これは正直、衝撃的なものだった。
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