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2021年01月08日00:18

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冬休み11日目:最終日

 冬休み最終日。
 午前中は、映画レビューを仕上げてアップロード。
 そして、今日はバイクでちょいと出掛けようと思っていたのだが……天気があまりよくなく、気分も乗らないので断念。
 で、クルマの空気圧調整などしていると、近所のタクシー会社の運転手さんから、「工場で空気入れてやるよ」と声をかけられる。
 別にパンク修理などしていた訳ではなく、調整程度だったので遠慮したが……このクルマになってからは、こうして声かけられる事が増えたなぁ……やっぱ目立つのかなぁ……

 結局、昼食を食べに行くのにバイクにまたがり、ついでに周囲をひとっ走り――これが今年の走り初め。

 午後、映画を観に行く。
 今日の1本目は、ジャック&ベティで、
 「オー!」。

 これは、「冒険者たち」のジョゼ・ジョヴァンニの原作を、映画「冒険者たち」のロベール・アンリコが監督した1968年の映画。
 主演はジャン=ボール・ベルモンド、ヒロインは「冒険者たち」のジョアンナ・シムカス。
 リマスター版にて劇場再公開となる「ジャン=ボール・ベルモンド傑作選」上映のうちの1本。

 カーレーサーのフランソワ・オランは、レース中の事故で友を失い、八百長疑惑をかけられてライセンスを剥奪され、レースから追放された――それから5年、オランは、強盗団のドライバーとなっていた。強盗団のボス、フランソワと名前が同じなので、仲間は彼を“オー”と呼んだ。
 オーは、カバーガールをしている恋人ベネディットがいる。彼女にはレーサーをしている、と嘘をついていたが、クルマ泥棒での逮捕をきっかけに、彼女に正体がバレてしまい……

 ジャン=ボール・ベルモンドは、1960年代から70年代にかけて活躍したフランスのアクションスター。派手なアクションに軽妙なコミカルさを合わせた彼の出演作は、後の多くの作品に影響を与えている――一例を挙げれば「ルパン三世」は、正に彼がいなかったら生まれなかった作品だろう、と。
 
 今回、初の観賞となったが、なるほど、これは確かに「ルパン三世」への影響は大きいな、と――スマートで人を煙に巻くような犯行、カッコいいガンアクション、魅力あるクルマの数々、そして美女、と……
 勿論、50年以上前の映画なので、今の目から見ると、テンポはゆったり、音響は迫力に欠け、音楽と映像も合ってない、と粗も目につくが、その一方で、冒頭のレースシーンなど今の目から見ても迫力あるシーンもあるし、ジャン=ボール・ベルモンドにジョアンナ・シムカスと言う美男美女の取り合わせも豪華だ。

 本作はジャン=ボール・ベルモンドの作品としては異色で、「冒険者たち」の監督・スタッフによる作品と言う事もあるのだろうが、笑える部分が少なく、そして、「青春映画」とさえ評されている。
 確かに、レーサーの資格を失い、ワルとしても半端だったオランが、全てをなくし、本物の犯罪者になる、と言う物語は、何者でもない若者が未来を決める、と言う一点において、確かに青春映画の建て付けではあるかもしれない。ただ、あまり後味のよいものではないけれど……


 2本目は「FUNAN」を観るつもりだが、上映開始まで2時間はある……とりあえず、チケットを買って、何処で時間を潰すかなぁ、と思いながら向かったシネマリン。
 チケットを買おうとすると、
 「『藍色夏恋』ですか?」
 と聞かれる。
 「いや、『FUNAN』を」
 と答えたのだが……え?「藍色夏恋」をやってる?しかも、あと5分で始まる??
 「あ、『藍色夏恋』もください」
 と、結局、観る事にしてしまった……

 「藍色夏恋」。

 これは、秘密を抱える女子高生と同級生の微妙な恋愛模様を描いた2001年製作の台湾映画で、人気女優グイ・ルンメイのデビュー作。
 今回は、台湾映画特集の1本で、2018年に製作されたデジタルリマスター版が公開された。

 この映画は2002年に観て、グイ・ルンメイに一目惚れしてしまったのだけど……そうか、あれから19年も経つのかぁ。
 グイ・ルンメイは、今見ると(まぁ、当時も思ったけど)まだまだ子供で、少年っぽいのだけど、その透明感は半端ない。
 また、薄幸そうな様子は当時からだったんだなぁ、と思わされる。
 そして、当時はキラキラと輝くような印象を受けた映画が、今観ると郷愁を呼び起こし、切なささえ感じさせるものになっているのは、こちらが年を取ったせいか……
 

 そして、
 「FUNAN」。

 これは、アヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得した社会派アニメ。ドゥニ・ドー監督の母親の実話を基に、ポル・ポト率いるクメール・ルージュに支配されたカンボジアを描く。

 カンボジア、1975年4月。クメール・ルージュによるプノンペン占領を機に、市民は強制労働のため農村に送られる事になる。
 一家で農村へ移動する道中、3歳の息子ソヴァンと離れ離れになってしまった母親のチョウと、夫クン。革命組織「オンカー」の監視による苛酷な労働や理不尽な扱いは、共に生活する家族を追い詰め、ひとり、またひとりと命を失って行く。
 だが、チョウは最愛の息子を取り戻すために生き延び、決して諦めないことを心に誓うのだった……

 クメール・ルージュによる民主カンプチアでの社会主義革命により、当時のカンボジアの全人口の1/3に当たる人民が命を失い、または国を去る事になったと言う……この悲劇は映画「キリング・フィールド」でも描かれましたが、それはあくまで西欧人の視点によるもの。
 これは、監督の母親の実体験を元に、市民の目線で、この悲劇を描いて行きます。

 映画はアニメで製作され、子供にも見せる事を意図したものか、殺人や死体を直接描写する事をせず、その点では、ソフトな印象を与えますし、描画線と陰影を抑制したシンプルな絵は平面的、そして絵画的で描写を抽象化して見せてはいます。
 しかし、物語としては親子兄弟の大家族が、母子2人を残してみな死ぬ、と言う壮絶なものですし、描写としても追い込まれた人々が人間として大事なものを失って行く様、そして、そこまで追い込まれてもなくならないものを描く、ひりつくような痛々しさを感じさせるもの。

 映画製作は2018年。同時期にはアフガニスタンのタリバン支配下における母子の苦難を描いた「ブレッドウィナー」が製作されています。
 こうした人々を襲う苦難や、社会の不条理を訴える映画が世界のあちこちで次々に作られる、と言う現実には、世界にはまだまだ多くの問題がある事を考えさせられます。
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