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2020年11月08日00:53

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土曜は……

 土曜は、午前中に水槽の水替え。今日はそれに加え、風呂場と洗面所、トイレの掃除も。
 
 午後、川崎に映画を観に行く。

 今日の1本目は、チネチッタで、
 「おらおらでひとりいぐも」。

 これは、芥川賞・文藝賞のW受賞を果たした若竹千佐子の同題小説を、「横道世之介」の沖田修一監督が映画化した人間ドラマ。
 主演は、15年ぶりの映画主演となる田中裕子。

 桃子は東京五輪の年に、望まぬ結婚から逃げ出し、故郷の岩手から、身ひとつで上京した。東京で、山形生まれの周造と出会い、結婚して主婦となった。それから55年。2人の子供は家を出てしまい、夫には先立たれ、桃子は独り暮らしていた。
 病院と図書館に通うだけの日々、桃子は、心の中の“寂しさ”たちと会話をするようになり……

 原作は、夫に先立たれた75歳の老女の暮らしを書いたもの。これをどのように映画にするのか……沖田修一監督が選択したのは、桃子の心の中の別人格である“寂しさ”を画面に登場させる、と言うこと。しかも3人、それも濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎と言う個性派が演じる事で、映画の「絵」としては面白みが出た。
 また、若い頃の桃子と、桃子の心の声を蒼井優が演じているのも印象的……まぁ、確かに田中裕子の若い時を演じられるとしたら、蒼井優か黒木華のどちらかだろうからなぁ。

 ただ、この映画のテーマは、人は自分らしく、ひとり生きて行くのが幸せ、と言う事。昨今、やたらと美化される、絆とかベタベタした人間関係とは真逆の内容で、実際、桃子は夫の死に、解放された喜びを感じていた、とさえ言うのだ。
 孤独は、寂しくみじめなものではなく、長い人生の終盤の孤独にはひとり自由に生きる喜びがある、と言う事だろうか……正直、まだピンと来ない部分もあるし、そして、これはまた観る人によって、様々な受け取り方が出来るものではないかと思う。


 2本目は、109シネマズ川崎で、
 「ジオラマボーイ・パノラマガール」。

 これは、岡崎京子が1989年に刊行した同題コミックを、「PARKS パークス」の瀬田なつき監督が映画化したもの。
 
 東京・湾岸の集合住宅に暮らす16歳の高校生・渋谷ハルコは、ある日、お使いの帰りに、橋の上で倒れていた神奈川ケンイチと出会い、一目惚れをする。
 ハルコは“運命の恋”だとはしゃいでいたが、一方のケンイチは、受験を目前に控え、衝動的に学校を辞めてしまった直後、しかも、高校中退後に勢いでナンパした危険な香りのする女、マユミに夢中になっていた……

 岡崎京子のコミックは、これまで「ヘルタースケルター」、「リバーズ・エッジ」など、岡崎作品のどろどろとした、重い情念にスポットを当てて映画としていたが、これは、ふわりと軽い感じに仕上げて来た。
 原作は、バブル期の東京郊外のニュータウンを舞台としていたが、映画は、舞台を東京湾岸地区に変更。東京五輪に向け、まずは選手村、そして将来はタワーマンション群となる晴海の再開発地区を舞台に、正に今しか撮れない、東京の“ニュータウン”を舞台として、物語を再構築。
 主人公ふたりも、初めての恋に右往左往する高校生とした。
 
 実写映像でありながら、奇妙な余白感を感じさせる絵作り、モノローグの多用など、これは正に実写映像の少女マンガで、瀬田なつき監督のセンスを感じる部分だ。
 その映像、そして時代性、そしてスタイリッシュである事……見事な岡崎京子作品の映画化だと思う。
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