水曜日、会社をちょっと早めに上がり、109シネマズクランベリーパークで、
「チィファの手紙」。
――それにしても、この映画、公開週だと言うのに3人しか客が入っていなかった大丈夫か?……と言うか、クランベリーパーク自体、大分閑散としていたのだが……
さて。
これは、岩井俊二監督映画「ラストレター」の舞台を中国に移し、岩井俊二監督自ら製作した中国版。もっとも、撮影は本作の方が先行していたそうで、どちらかと言うとこちらがオリジナルと言えるのかも知れない。
姉のチィナンの葬儀の後、チィファは、遺品の中に同窓会の案内を見つける。姉の死を知らせる為に同窓会に出かけたチィファだが、姉に間違えられてしまう。しかも、初恋の人であったイン・チャンと出会い、チィファは姉のふりをしたまま、連絡先を交換する。
そんなきっかけから思わぬ文通が始まるが、イン・チャンからの手紙が実家に届き、それをチィナンの娘ムームーと、チィファの娘サーランが読んでしまう。ムームーは、チィナンの名で返事を書き、手紙のやりとりを通して、チィナンとチィファ、そしてイン・チャンの中学生時代の恋が浮かび上がって……
この映画、中国を舞台に中国人俳優が演じるドラマでありながら、これが見事なまでに岩井俊二映画になっているのには感心する、と言うよりもちょっと不思議な感触があった程。
物語は、「ラストレター」そのままなのだが、こちらの方が先行していたせいか、亡くなった姉の子供が師弟(「ラストレター」では女の子ひとり)で、弟の方が、母の死により深く傷つき、ある騒動を起こしてしまうなど、「ラストレター」では整理されたであろうエピソードがあり、また、“何者にもなれなかった”ふたりの男と、それに翻弄されたひとりの女の悲劇、と言う物語が、よりはっきりとするものとなっている。
岩井俊二ならではの幻想的とも言えるシーンは抑えられ、売れない小説家役のチン・ハオは役に相応しい野暮ったさ――「ラスト・レター」の福山雅治は、売れない小説家として格好よ過ぎるのだ――で、俳優のイメージに引っ張られる事もない分、ドラマに没頭出来たように思う。
リメイクと言うよりも、こちらの方が、本来の物語を語っているようにも思えた。
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