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2020年09月14日23:56

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金曜は……

 金曜は、休暇をとって映画三昧。

 まず、1本目は、シネマジャック&ベティで、
 「ぶあいそうな手紙」。
 これは、ブラジルの下町を舞台とした人間ドラマ。

 ブラジル南部、ポルト・アレグレに46年前に隣国ウルグアイからやって来た78歳のエルネストは、独り暮らしをしていた。視力をほとんど失っていたエルネストを心配する息子は、家を売り、同居する事を薦めるのだが、彼は頑として言う事を聞かない。
 そんなエルネストの元にある日、一通の手紙が届く。差出人はウルグアイに住む古い友人の妻。目が衰え、手紙を読むことができないエルネストは、偶然知り合った若い女性ビアに代読を依頼する。
 以前は舞台で演劇をしていたと言うビアは、蓮っ葉な見かけに反して文才があり、手紙の代読と返事の代筆を通して、心通わせていくが……
 
 これは、人生の最終章で起きた素敵な物語――まぁ、いささかご都合主義が過ぎるようにも思うのだが、ブラジルならではのおおらかで楽観的な空気の中で何時しかそれも気にならなくなる、と言う所か。
 旧政権に近い所にいたエルネストが、ウルグアイの軍事政権に追われてブラジルに流れ着いたと言う背景や、高齢者を巡る社会不安など、切実な背景は匂わす程度に留め、人生を如何様に生きるべきか、と言うテーマをユーモアでくるんで見せ、エルネストとビア、ふたりの出会いが、人生を変えて行くのを描く……これはよい映画だ。

 それにしても、70過ぎの老境に至っても、恋と洒落っ気を忘れないのはラテンのノリ……孫のようなビアに声をかけ、共に町を歩く為に、スニーカーとウェアを新調、さりげなく声をかけるために小細工を施すなど、少年のようなエルネストは、微笑ましいほどだった。

 
 映画の後、クルマでららぽーと横浜へ……だが、暑い。
 折角のロドスタだけど、幌を上げてエアコンを効かせて走る。

 午後は、TOHOシネマズららぽーと横浜で映画。
 本日2本目は、
 「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」。
 これは、2019年に放送されたアニメシリーズ「荒野のコトブキ飛行隊」全12話を再編集、新規エピソードを追加した劇場版。
 監督は、「ガールズ&パンツァー」や、「SHIROBAKO」の水島努。

 海の底が抜け一面の荒野となった世界、イジツ。
 そこに今度は、空に穴か開き、穴の向こうの世界から訪れたユーハングたちにより“飛行機”が持ち込まれた。だが、それは戦乱を招き、やがてユーハングは去り、空の穴も閉じてしまった。
 時は流れ、荒野の空を人々の飛行機が行き来する中、通商の飛行船を空賊から護る為に、オウニ商会に雇われた用心棒のコトブキ飛行隊は、空を飛ぶことが好きな女子だけのパイロット集団だった……

 本作は、TVシリーズ未見。
 物語のベースになっているのは西部劇。その馬の代わりに第二次大戦中の日本軍機を使っていると言うもの。主人公らが拠点とするのは巨大飛行船、それに乗って荒野を旅する、と言う構成は、かつてのサンライズアニメが得意としたもの――西部劇ベースのロボットアニメ「戦闘メカ ザブングル」だな、こりゃ。

 CGで描かれた精密な飛行機によるスカイアクションと美少女、と言う図式は「ガールズ&パンツァー」と同じで、まぁ、水島監督としては手慣れたものだろう。
 だが、「戦車道」と言う武芸の試合として戦車戦を描いた「ガールズ&パンツァー」と異なり、こちらは実弾を使った殺し合いだ。
 撃てば死人が出るし、撃たれれば死ぬ……そんな空中戦のシビアさが描かれていないのはさすがに気になった――「ガルパン」の試合と同じ緊迫度でいいはずがない。
 撃墜されても不時着して破損した機体から這い出て来る安易さは、クライマックスの仲間が次々に墜とされる展開ではさすがに気になる。
 スカイアクションとしては、やはり飛翔感の演出がいまひとつ……どうにも飛行機が飛んでいる感じがしないし、クライマックスの“市街戦”はまるでゲーム画面であり、現実味が感じられず、白けてしまった。また、隼の一型で、紫電改や疾風などの世代が違う高性能機をバタバタ墜として行くのは、メカアクションとして納得の行かないものではないだろうか?

 物語としても、異世界ものSFとして大きな物語を描くのか、西部劇設定を借りたスカイアクションを描くのか、どっちつかずの印象だし、演出もいささか幼稚。登場人物の多くが大人で、飲酒シーンなどもあるのだし、そもそも西部劇設定とする辺りで、元ネタを理解して面白がれる年齢層が高めになるのだから、「ガルパン」(これだって“ガルパンおじさん”と呼ばれる高年齢のファンが多くいた)以上に、大人向けにしてよかったのではないだろうか?


 本日3本目は、
 「ミッドウェイ」。
 これは、太平洋戦争のターニングポントとなったミッドウェイ海戦を「インデペンデンス・デイ」のローランド・エメリッヒ監督が映画化したもの。

 1941年12月7日、日本軍によるハワイ・真珠湾奇襲攻撃により太平洋戦争が開戦。
 日本軍の進撃に対し、米海軍は、チェスター・ニミッツを司令長官とし、太平洋艦隊を預ける。
 ニミッツの指揮の下、猛将“ブル”・ハルゼーにより行われた東京空襲に脅威を覚えた日本海軍は、米空母艦隊を撃滅すべく次なる作戦を立案。
 その意図を、情報部のレイトン少佐は見抜いた。次の攻撃目標は太平洋のど真ん中の孤島、ミッドウェイ。
 ニミッツは珊瑚海海戦で損傷し、修理に3ヶ月を要するとされた空母ヨークタウンを3日で出航させ、何とか空母3隻を揃えて、空母4隻を主力とする南雲機動部隊を迎え撃つ事になる。
 その米艦隊、空母エンタープライズの艦上には、戦友の仇討ちに燃える爆撃隊パイロット、ディック・ベストがいた……

 この映画だが、最近の戦争映画である、「ダンケルク」や「1917」を観た後では、何とも古臭い“戦争映画”に感じられた。
 確かに、CGによるリアルな戦闘シーンには迫力がある、でも、その中身は1976年公開の「ミッドウェイ」と同じ――主人公の戦場に臨む兵士、戦友の死を乗り越え、厳しい戦いを経て妻の元へと戻る……と言う典型的な戦場メロドラマをなぞるだけなのだ。
 敵側である日本軍の描写は、上級指揮官のみに限られ、味方側でも最近必須のポリコレ的配慮抜き、主要登場人物は全て白人だ、と言うのも現在の映画とは思えない――あのマイケル・ベイでさえ「パールハーバー」では、ドリス・ミラーを画面に登場させるなどの配慮を見せたのに、エメリッヒと来たらコレだから……

 もっとも、そうした古臭さを別にすれば、戦争スペクタクルとして手堅くまとめている。
 真珠湾攻撃から海戦冒頭の戦い、ドーリットルの東京空襲から珊瑚海海戦までを描き、太平洋戦争のターニングポイントとなったミッドウェイ海戦の位置づけを描いているのは、親切な作りだ。日本側も決して開戦を望んでおらず、山本五十六に「これ以上日本を追い込むな」と、日本側の立場を語らせているのも好印象。
 あと、ドーリットルが降下した中国で日本軍の空襲に遭遇する、と言うシーンは、製作に名を連ねている中国側の要望だろうか?

 戦闘シーンは概ねよく出来ており、空母への急降下爆撃シーンは手に汗握る出色の出来だ――もっとも、狙われているのが「赤城」なので、日本人としては複雑な心境だが――もっとも、このシーン、打ち上げる日本艦艇の弾幕が、ミッドウェイ戦当時のレベルではなく、沖縄戦での米艦レベルじゃないか、と思うのだけど。
 飛行機のCGはリアルな飛翔感が難しいのだけど、これも上手く描いていると思う。
 ただ、妙な部分に手を抜いているのが気になる……珊瑚海海戦で沈む空母は、ヨークタウン型ではなく、巨大な煙突が特徴のレキシントンだ。広く写真が知られているので、「あれっ?」と思う人が多いのではないだろうか?また、この映画、アメリカ側の艦上戦闘機が出て来ない……確かにミッドウェイ戦では艦上戦闘機ワイルドキャットの目立った活躍はなかったとは言え、艦上機の多くを占める戦闘機が空母の飛行甲板にも見当たらないのは不自然に思えた。(少なくない観客が主人公ディックが乗っているのをワイルドキャット戦闘機と思っているようだが……あれ、ドーントレス爆撃機だ)

 映画は、レイトン少佐と山本五十六海軍大将の会話で始まり、大河戦争スペクタクルと思わせながら、ディック・ベストの帰還と言う形で締め括った竜頭蛇尾な内容だったし、太平洋戦争を俯瞰して描くには、138分と言う長さを以てしてもまだまだ足りない……あともうちょっと、と思わせる出来の映画だった。

  
 本日4本目は、
 「喜劇 愛妻物語」。
 これは、「百円の恋」の脚本家・足立紳による自伝的小説を、足立紳自ら監督して映画化したもの。
 主人公夫妻を、濱田岳と水川あさみが演じている。

 売れない脚本家・豪太は妻のチカと娘のアキの3人で暮らしている。豪太は既に3ヶ月もセックスレスで、チカの機嫌を取ろうとするが、昨年は年収50万円しかなかった夫に冷たい。
 そんなある日、知り合いのプロデューサーが、“うどんを打つ女子高生”の企画を持ち出した。豪太は、この企画をモノにすべく、シナリオハンティングを兼ね、豪太は香川への取材を兼ねた家族旅行を提案する。
 チカは、小豆島に住む友人を訪れる事を条件に、渋々豪太の取材旅行に付き合うが……

 この映画、何と言っても夫婦を演じた濱田岳と水川あさみがいい。
 中年男の、脂ぎったような精力を露骨に見せると言うのも、これまでの濱田岳にはない役柄だし、水川あさみ演じるチカの遠慮のない毒舌による罵倒っぷりも凄まじい――よくもまぁ、これで夫婦関係が続くものと思うが、足立監督曰く「実際のウチの奥さんの方が酷い」と言うのには絶句……
 それでも、チカは夫の才能を誰よりも信じており、未だに新婚当時の願掛けを貫き、罵倒もまた信頼の裏返しである事が判って来る終盤には、ちょっとじーんと来てしまうのだけど。
 あと、アキ役の新津ちせは、大分背が伸びたが、相変わらずの可愛さに、子役らしい演技を感じさせない自然体の演技を見せており、才能を感じさせる。

 あと、この映画、タイトルには「喜劇」とあるのだけど、これは、そんなに笑える話ではない。
 「近くで見たら悲劇も、遠くから見れば喜劇」と言う、正にそのまま、夫婦を客観視する事で、漸く笑う事が出来るものだろう。
 正にそれを示しているのがクライマックスの家族号泣のシーンで、3人揃って抱き合って泣いているのに、途中から豪太は笑い出してしまっているのだ。
 
 そんな夫婦の関係を、てらいも無く語る足立監督……確かに非凡なものを感じた。

PS
 夫妻の暮らすアパート兼仕事場だが……これが何と足立監督の自宅だと言うから驚き。なるほど、生活感がある訳だ……
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