金曜は、仕事の後で、
「君が世界のはじまり」。
これは、若手映画監督、ふくだももこの小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を、「リンダ リンダ リンダ」の脚本家・向井康介が一つの物語に再編し、ふくだももこが自ら監督した青春ドラマ。
大阪の端のとある町。高校2年生の縁は、親友の琴子と退屈な毎日を送っていた。そんなある日、琴子がサッカー部の業平に一目惚れしたことで、ふたりは徐々にすれ違うようになっていく……
そんなふたりと同じ高校に通う純は、母が家を出ていったことを無視し続ける父を嫌悪し、放課後、ショッピングモールで時間をつぶしていた。ブルーハーツを聴きながらふと通りかかった屋上で、東京から転校してきた伊尾と会い、求めるものもわからぬまま体を交わすようになる……
そんなある朝、同じ高校で父親を殺した生徒が逮捕されて……
これは、ちょっと変わった青春群像劇。
登場人物はみな現状に不安と、不満を感じている。こんなだらけた日常に対する不満、そんな日常が終わってしまう不安。望むものが手に入らない不満と、手にしたものが失われていく不安――もっとも、満ち足りた青春など、存在する訳もないのだから、ある意味これは普遍性のある物語である、とも言えそうだ。
物語は、父親殺しの高校生に始まり、登場人物の誰かがそうなるのではないか、と言うのを匂わせつつ進む。業平も、純も、伊尾にも動機があるように見え、サスペンスとなっていくのだが、その後はちょっと予想外の展開だった――まぁ、見事にミスリードさせられた訳だが。
縁を演じるのは松本穂香。ふくだももこ監督とは「おいしい家族」でも組んでおり、まぁこれは宛て書きか。彼女はネイティブの大阪人だから大阪弁は自然だし、持ち前のドン臭い感じが役柄にピタリ。
琴子を演じる中田青渚も、好演だが……望むなら琴子役にはもっと「美少女オーラ」を出して欲しかったように思う。
一方、純を演じた片山友希は文句なし。美人過ぎないのもかわいくないのもいいし、不機嫌そうな顔がいい。
また、伊尾役の金子大地は、吉沢亮かと思ってしまった……
クライマックスの深夜のショッピングモールでのブルーハーツ熱唱のシーンもよく、「リンダ リンダ リンダ」よりも活かされている感じだが……しかし、それにしても、現在の高校生がブルーハーツって?と疑問も感じてしまうが……
ログインしてコメントを確認・投稿する