土曜は、午前中にかかりつけの病院に行き、今日は暫く前から痛む足のアキレス腱を診て貰う。
レントゲン撮影もして患部を診て貰ったのだが、アキレス腱が踵の骨にくっついている部分に、恐らくは高脂血症によると思われる固着物があり、それが痛みの原因になっているのでは、との見立て。
これは年齢が重なるにつれてありがちな症状で、手術による除去などは一部のスポーツ選手がやる程度。とりあえず、当面は痛み止めの塗り薬で対処、となった。
その後、水槽の水替えのついでに、60cm水槽のアーリーの一部を、90cm水槽に移動する事にする――最近、大きい魚は3cmほどになり、それが30匹以上も60cm水槽に入っているので、水の汚れが目立つようになって来たので……
そこで、網で掬おうとしたのだが、これがなかなか捕まらない。
何とか7〜8匹を捕まえて、90cm水槽に入れたのだが……入れて数分のうちに、目の前で3匹が、事もあろうに親のアーリーに食われた。おいおい。
うーむ、まだちょっと早かったか。
当初考えていたように、20匹とかを移動させなかったのは幸いだ。
とりあえず、大きめの数匹は親から逃げ、水草の中に逃げ込んだ。
これでまた暫くはこの状態で様子見かな……
午後は映画。
まずは、Kinoシネマみなとみらいに、
「17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン」
を観に行くが……思いっ切り時間を間違える。12:45開始を、何故か13:20と思い込んでおり、劇場に着いたのは13:05。
仕方ないので、そのまま劇場に入ったが、冒頭10分ほどを見逃してしまった……失敗。
さて。
これは、ローベルト・ゼーターラーのベストセラー小説「キオスク」を映画化したもの。
名優、ブルーノ・ガンツが精神分析学者フロイトを演じ、本作が遺作となっている。
1937年、ドイツとの併合に揺れるオーストリア。自然豊かなアッター湖の畔で、母親と暮らしていた17歳の青年フランツは、たばこ店の見習いとして働くため、首都ウィーンへやって来る。
たばこ店の常連、“頭の医者”フロイト教授から、人生を楽しみ、恋をするよう勧められるフランツ。
やがてボヘミア出身の女性に一目惚れしたフランツは、初めての恋に戸惑い、フロイト教授の助言を再三仰ぐうちに、世代を越えた友情を育んでいく。しかし、時代は国全体を巻き込み、激動の時を迎えようとしていた――
この映画、都会の暮らしに馴染めない地方出身の純朴な少年と、彼を導く年上の友人と言う、何時の時代でも起き得る普遍的な物語を描く。
初な少年が、年上の商売女の中に“天使”を見てしまう辺りも在りがちなものと言っていい。
特徴的なのは、やはり年上の友人がフロイトであるだけに、少年の見る夢を描いて見せる事。このシーンが正に夢そのもの、と言う感じでよく出来ているのだが、折角のフロイト教授が、その夢分析をしてくれないのには不満が残る。
また、ナチス・ドイツによるオーストリア併合を、悪夢の始まりのように描いているのだが、実際には、この時点では、オーストリア国民もそれを支持して歓迎していた、と言う描写が希薄なのにも違和感を覚える――むしろ、当初はウィーン市民と共にフランツもドイツ併合を支持し、店主の逮捕から疑問を覚えるようになった、と言うのが自然な流れのようにも思うのだが……
確かに、物語としては、最後に迎える悲劇をお膳立てする為にも、この時代と、フランツに反ドイツの気持ちを抱かせる事が必要だったのだろうが、少年が初恋を経て大人になる、と言う物語の先に悲劇がある事も含め、盛り込まれた素材と、描こうとする時代のかみ合わせの悪さを感じた映画だった。
2本目までは少し時間があるので、ランドマークプラザのカフェで映画レビューを書く。
その後、ブルク13に移動し、今日の2本目は、
「風の谷のナウシカ」。
これは、宮崎駿が、「アニメに出来ない物語」としてアニメ雑誌「アニメージュ」に連載した同名漫画を、出来ないと言った宮崎駿自身がアニメ化した映画。
繁栄を極めた人類は「火の七日間」と呼ばれる大戦争により、その知識と文明を失った。それから千年……わずかに生き残った人類も、巨大な蟲類が棲み、有毒な瘴気を発する菌類の広大な森・腐海に飲み込まれようとしていた。
そんな腐海のほとりに、海からの風によって瘴気から守られている小国“風の谷”があった。その族長ジルの娘ナウシカはメーヴェにのって鳥のように飛び、人々の嫌う巨大な蟲たちとも心をかよわせる不思議な力を持っていた……
35年ぶりに観たナウシカだが、その魅力にはあらためて引き込まれた。
確かに完成度は高くない。手書きの絵の密度は高くなく、作画が崩れている箇所も散見される。そして、この時点ではさすがの宮崎駿も実力あるアニメーターを統率する事が出来ず、作画者の個性を許す結果となってしまっており、その後のスタジオ・ジブリ作品らしからぬ部分も出てしまっている。
だが、宮崎駿が溜め込んだ、オリジナル作品を、誰も観た事がない作品を作り上げたい、と言うエネルギーが才能を花開かせた、希代の天才アニメ作家の誕生を示すものとして、エポックメイキングな作品である事をあらためて認識させられた。
「ナウシカ」を観た後、今日の3本目までの時間は30分。
その間に夕食と行こう。
今日の夕食はかつ泉のカツカレー。
10分でかきこんで、ブルク13に戻る。
今日の3本目は、
「アルプススタンドのはしの方」。
これは、第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞を受賞した舞台劇を映画化したもの。
映画化に先立ち、昨年、浅草九劇で上演されて高い評価を受けており、映画版も主要キャストは同じ俳優が出演している。
高校野球・夏の甲子園。アルプススタンドの端の方に、野球のルールもロクに知らない2人の演劇部員、安田と田宮がいた。田宮は安田に妙に気を遣い、奇妙な緊張感がそこにはあった。
そこに、元野球部の藤野もやって来る。そして、ぽつんとひとりいるのは、学年成績トップだった宮下。だが、彼女は、吹奏楽部部長に学年トップの座をとられてしまったばかりだった。
試合は5回を過ぎ、強豪校相手にリードを許して、応援席の4人にも諦めムードが広がっていたが……
この物語、野球の試合を描きながらグラウンドを一度も写す事はなく、物語はほぼ観客席のみで展開すると言うワンシチュエイション会話劇。
ビッグネームの出演俳優なしの、低予算映画だけど、これが無茶苦茶に面白い――こう言う出会いがあるから映画館通いは止められないだ。
登場人物はいずれも屈折している。舞台に立てなかった演劇部員に、努力に空しさを感じてしまった野球部員、そして気持ちを言葉に出来ない優等生……「だってしょうがないじゃない」と言って、うつむいていた彼らがお互いの胸の内を打ち明け、そして、真っ直ぐな努力が、がんばる気持ちが、そんな彼らの心を動かして行く。
当初、母校の試合に声援すら送っていなかった4人が、終盤には立ち上がり、声を張り上げて応援するのには思わず胸が熱くなるし、そして、決して画面は映し出されない試合の経緯に手に汗握る事になるのだ。
登場する生徒たちは主要4人だけでなく、その脇を固める吹奏楽部員なども妙にリアルで生々しいが、これは、原作が高校演劇部のものだとあって納得……そりゃリアルな訳だ。
また、女子が想いを口にする一方で、男子にはそれがどうしても出来ないと言うのも現代っぽさか……まぁ、そんなものかも、だけど。
エピローグもなかなか……野球部万年補欠のヤノが出した意外な結果と共に、藤野もちゃんと“結果”を出せていたと言うのはよかったな、と……
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