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2020年05月06日22:50

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5月連休5日目

 今日は、天気も悪いし……って、これは関係ないか。まぁ、何れにせよ、何処にも行けないので、朝から映画。

 午前中、1本目は、
 「フェリシーと夢のトゥシューズ」。

 これは、19世紀末のパリを舞台に、バレリーナを目指す少女を描くアニメーション。
 3Dアニメで、主要キャストは米英の俳優で、言語も英語なので、ディズニー映画かと思いきやフランス映画。

 孤児院で育ちのフェリシーは、ダンスが大好きな女の子。同じく孤児のヴィクターと共に孤児院を脱走したフェリシーは、バレリーナになるためパリ・オペラ座のバレエ学校に向かうが、金もコネもない彼女が入学出来るはずもない。行くあてのないフェリシーはオペラ座の掃除係オデットの手伝いをしはじめるが、オデットの雇い主のル・オー夫人はひどく意地悪で冷酷。ある日、ル・オー夫人の娘、カミーユ宛にバレエ学校から届いた入学通知を手に入れたフェリシーは、カミーユのふりをしてバレエ学校に入学するが……

 この映画、孤児院育ちの少女の成長物語、と言う基本設定は、「赤毛のアン」に代表される少女向け児童文学によくあるもの――そう言えば、フェリシーは赤毛でそばかす顔だ――19世紀末の時代設定も概ねそうした作品と被り、作品自体に何処となく既視感がある。
 そんな手堅い骨格に、スポ根もののサクセスストーリーを組み合わせた物語は青春ものとしては定番と言えるものとなっていて……まぁ、そこにひねりも工夫もないのだけど、個人的にはハマる種類の映画で、しっかり感動させられた。
 また、19世紀末のベル・エポック時代のパリを精緻に再現した風景や、実際にパリ・オペラ座の振り付け師が演出したバレエシーンなど、力の入った見事な部分も見られる。

 気になったのは、設定や物語に粗さがある事。一番の問題は、フェリシーのバレエに懸ける情熱が何処から生まれるのかが曖昧な所で、この映画、全体的にキャラクターの掘り下げが足りないと思う。他にも、カミーユの手紙を盗んでの入学はさすがにどうかと思うし、孤児院の用務員の心を動かすシーンはもっと感動的に出来たはず。それから、クライマックス前のル・オー夫人の報復劇はさすがにやり過ぎだろう。
 あと、せっかくベル・エポック時代を舞台にしながら、それを活かせていないのも勿体ないと思う。
 クライマックスの「くるみ割り人形」も、もっと見せて欲しかったのが正直な所だし、このキャラクターと物語なら、もっと尺を取ってドラマを深くした方がよかったのに……と思ってしまった。

PS
 この映画、フェリシーにエル・ファニング、ヴィクターにディーン・デハーンなど豪華なキャストなのだけど、日本語吹き替え版も、フェリシーを土屋太鳳、オデットが黒木瞳、振り付けのメラントゥ先生が熊川哲也と、役に合わせた豪華キャストとなっている。字幕版で観たのだけど、吹き替えで違和感の強いミュージカルシーンもないので、これは吹き替えでもよかったか……


 午後は、
 「イヴの全て」。

 これは、人間そっくりのアンドロイドが作られるようになった近未来を舞台にしたSFアニメ。
 元々、2008年からネット上で公開されていたもので、「ファースト・シーズン」の6話(1話15分)を編集し、未公開シーンを追加した完全版が劇場版となっている。

 ロボットが社会に浸透して久しく、人型そっくりのアンドロイドが登場して間もない、近未来の日本。アンドロイドは、人間と見分けがつかない為、ロボット倫理委員会により頭上にリングの表示が義務づけられていた。
 高校生のリクオは、自家用アンドロイドのサミィの行動ログに、命令していない行動をとったことを示す文字列を見つける。
 翌日、リクオは親友のマサキと共に、ログを頼りにサミィの行った場所を訪ねる。そこは喫茶店「イヴの時間」だった。その店には、人間とアンドロイドを区別しないという驚くべきルールがあった……

 この映画だが、CG制作による作画レベルは高いし、3D・CGによる動画背景や回り込みの描写なども印象的。コンピューター画面の表示などもセンスがよく、10年以上前の映画なのに古さをさして感じないのは大したものだ――ただ、携帯電話が折り畳み式なのは何だけど。
 物語は、人間とアンドロイド(=AI)の相互理解とコミュニケーションを中心としたものだけど、これを、本作をSFたらしめているアンドロイドと、ではなく「他者」と読み替えれば、これは普遍性のある物語だとも言える。相互理解の難しさや、すれ違う気持ちなど、人間同士でもよくある問題を、カリカチュアライズして描いたもの、と観てもよさそうだ。
 そんな物語には見応えがあるし、シリーズ6話を再編集した割には、串団子感がなく一連の物語として観る事が出来る構成もいい――そうなると気になるのは、これから、と言う所で放り出されたような気になってしまう事だが、これはファースト・シーズンで打ち切られてしまった物語故か……せめて、エピローグでも、エンドロール後のおまけでもよいので、後日譚が欲しかった所だ。
 
PS
 劇中の背景は実写写真を取り込んで作られており、本作では銀座周辺の風景が使われているのだが……「イヴの時間」のある路地、これは銀座の裏通りだね……ここは行った事があるなぁ、と既視感を覚えてしまった。
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