天気もいいのでロドスタで首都高。
昼前には帰宅。
ちょっと空気圧が低そうな感じだったので、帰宅後、空気圧を調整。
午後、Kinoシネマズにて映画
「37セカンズ」。
これは、女性映画監督HIKARIの長編デビュー作で、それが、ベルリン国際映画祭でパノラマ部門観客賞と国際アートシアター連盟賞をダブル受賞。
主演は、実際に脳性麻痺で下半身不随の女性約100名から選ばれ、これが演技初経験となる佳山明。
脳性麻痺のため車椅子での生活を送る23歳のユマ。人気ユーチューバーの描く漫画のゴーストライターとして働いている。
そんな、社会から疎外されたような扱いと、過保護な母親との生活に息苦しさを感じていたユマは、自立しようとアダルトコミック専門誌に自作を持ち込むが……
この映画、下半身不随と言う主人公ユマの境遇に身構えてしまうが、これは実は普遍的な物語。
監督と脚本を手がけるHIKARI自身が、「主人公を五体満足にしても成立するような物語である事を心掛けた」と言うように、これは、少女であったユマが、大人の女性となっていく物語であり、真っ当な青春映画だと言える。
ただ、このテーマの物語を描くのに、障碍者をヒロインにしてしまう、と言う辺りは全く日本映画らしくない。この辺りは、アメリカで映画製作を学んだHIKARI監督ならでは、と言う部分だろうか。
そして、障碍者役に実際の障碍者を起用するなどは日本映画ではなかなか出来ない部分……恐らく「障碍者を見世物にするのか」と言う批判を恐れて健常者の役者が演じるのが普通だろう。でも、それこそが正に障碍者差別、「障碍者を見世物にするな」とは障碍者が映画俳優となる可能性を奪う事であり、職業選択の自由を奪う明確な差別だからだ。
(実際に日本では障碍者プロレスが「障碍者を見世物にするな」と非難され、障碍者のレスラーが失業。生活苦となって自殺した、と言う例がある)
ユマ役の佳山明は、障碍者の日常をリアルに見せ、入浴シーンなどでヌードをも見せる体当たりの演技に、これまで演技経験がなかったと言うのが信じられないほど表現力で、正直、アカデミー賞の新人賞もの――ただし、日本では彼女が認められる事はまずないだろうが。
映画は、そんなHIKARI監督の力強さと、佳山明の存在感によって、ベルリン映画祭での受賞も当然と思える、珠玉の傑作となった。
映画冒頭、帽子を被り、人目につかないよう伏し目がちに過ごしていたユマが、「(自分は)これでよかった」と、自己肯定をし、ひとりの女性として社会に向き合い、化粧をし、着飾って堂々と正面を向いて車椅子を走らせるラストカットには感動する。
これは多くの人に観て欲しい映画だ。
映画の後、HIKARI監督と、大東駿介による舞台挨拶&トークショー。
予定では17:00の終了後20分、と言う事だったのだが、質疑応答を含めて30分以上延長、終わったのは18:00となった。
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