妄想弁当

夏やねー。

もう夏やねー。

金ないねー。

もう金ないねー。





最近やっと節約しようと思うようになりました。
やっとね。
だから毎日ママにお弁当作ってもらうことにしました。

で気付いたんやけどね。
もう手作りのお弁当ってね。
すごいんよ。

とかにかくすごいんよ。

すごいんやわー。

お金使わんでええしね、それに何よりもね。
すごい想像力をかきたてられるんよ。
すごいんよー。

もう２限目の途中からお弁当のことでそわそわしだすねん。

今日のおかずは何かなー？て。

卵焼さんは行儀よく座ってはるんかなーて。

その横でウィンナーさんは仲良く反り返ってはるんかなーて。

はたまた昨日の残り物のおかず君たちはふてくされて汁とか垂らして周りのおかずさんたちに迷惑かけてないんかなーてね。

もう気になってしゃーないんやわー。

でも何より興奮するんはね。おにぎりの具を想像することですよ。
おにぎりさんはね、ギリギリのとこまで正体を明かしてくれませんからね。
もう当てた時の衝撃はもうそれはそれはですよ。


｢やっぱりお前は昆布おにぎり君やないか！もうバレバレじゃーい！｣


ていうこの優越感ね。
最高でしょ。

で今日もね。お弁当を美味しく妄想させて頂きました。

いやーそれにしても今日のおかずさんたちもね。みんな行儀よく並んでましたわ。
とくにウィンナーさんの反り返り具合ときたらもう…

満点ですわ。

切れ目４ヵ所て。
そんなんしたらウィンナーが綺麗に反り返るに決まってるやん。

切れ目４ヵ所やで。

できるやつやわ。



でも何と言うても一番はおにぎりさんやねん。

３つのおにぎりさんが銀紙に包まれてましたわ。

それをみな広げまして。
で見た目、障り具合、雰囲気からそれを想像しますねん。


おっ！
こいつは梅さんやなー！
そんなセクシーな匂いを白い鎧だけで隠せると思っているのかい！
バレバレバレバレーい！



まぁ的中なんです。
凄いでしょ？
梅は一番ご飯の量が少ないんですわ。梅一粒で食べれる白米は限られてますからな。


で次。
２つ目のおにぎりをくまなく凝視…


なんや！こいつはもう完全に昆布くんやわ！

もう君はバレバレやで！白米の隙間からお顔がこんにちはしてますよ。そんなスキは見逃せへんて。

余裕の正解で気分最高。



それで最後はな。
完全に明太子やろなーて。

もう塩野家にあるご飯の友、三大勢力は梅、昆布、明太子ですやん。

満腹の方程式ＵＭＫやろ。
もう隠そうと思っても無理やで。

何よりその明太子を潰さないように握った白米の感じが完全に明太子を物語ってるよ。


でね、もう勝利を確信してかぶりつきました。



ｶﾞﾌﾞｯとね。









うむ…




ほう…





これはまさしく…





これは…





これ…






こ…



こ…






昆布やんけー!!!!!!!!


何でやねん!!綿密な計算によって弾きだされた明太子やで！?


何でやねん!! 何で明太子じゃないねん!!

いやまて!!罠や！
もしかして黒細い明太子かもしれん!!


アホか!んなわけあるか!!

どこでオカンはこんなトリッキーな組み合わせを！


なんで梅、昆布、昆布で握ったんや！？

ＵＫＫとか塩野家２０年の歴史にもないって！

前代未聞や!!大盤狂わせや!!

オカンのオレへの試練やわ。

絶対３つ目のおにぎり握りながら薄ら笑い浮かべてたわ。

で昼時にまた笑ってるわ。
｢あんたも…まだまだやねんからな｣


言うてるわ。


悔しいわ…


ホンマ悔しい。



ホンマ…




みんなも自分の想像力を覚醒させてくれ。