【イタリア語の絵本】
Bambini e bambole
こどもたちとにんぎょう(仮題)
Gianni Rodari
ジャンニ・ロダーリ 作
Gaia Stella
ガイア・ステッラ 絵
@gaiastella
―――――――――あらすじ―――――――――
わたしには娘がいる。
娘は人形を持っている。
その人形は何でも持っている。
ベッドにお洋服、車だって全部持ってる。
でも・・・
―――――――――本文から―――――――――
E questa è una storiella divertente ma solo un poco, perché ci sono bambole che hanno tutto e bambini che non hanno niente.
これはちょっとした楽しい物語。でもほんのちょっとだけ。だって何でも持ってる人形がいて、何にも持ってない子供達がいるのだから。
―――――――――紹介―――――――――
解釈が難しい絵本です。でも大好きなんです。
何でも持っている(すべてが揃っている)人形を持っている女の子。
つまり、その女の子は人形やおもちゃをいっぱい持っているのです。
でもこのお話はこんな風に終わります。
「何でも持っている人形がいて、何も持っていない子供たちがいるからね。」
いったいどういうことでしょう?
遊ぶおもちゃがいくらあったって、一緒に遊ぶ相手がいなければ、受ける愛情がなければ寂しいの。
そんな風にも受け取れます。
でもロダーリが生きた時代(1920-1980)、彼の生き抜いた世界大戦前後の時代を考えるとまた違った見方が浮かび上がります。
おもちゃの世界。そこでは全ての人形達が自由に動き遊び回る夢の世界。
でも、彼が生きていたその時代に、実際には多くの子供たちはまったく何も持っていなかったのではないでしょうか?
ロダーリの描く物語は、心とまっすぐに向き合い、時にはちぐはぐな(矛盾だらけの)私たちの世界の本質を明らかにしてくれます。
描きたかったこと、本当の答えはわかりません。
ただ私にとって、わからないことだらけのこの絵本が心に残るのです。
かわいいイラスト、軽妙な言い回しの中に、何故だかもの悲しさを感じる絵本ですから・・・
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イタリア語絵本翻訳 Traduzione dei libri illustrati ↓
http://blog.livedoor.jp/cervietto_minoru/
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