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2018年11月15日11:20

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ふたつのコンサート

11月14日(水曜)晴れ。
いよいよ立冬に入り、「地始凍」ともなれば午後二時には陽が傾き、部屋の中に居ても薄ら寒く感じます。
五階建で比較的ゆったりした団地なんだけど、どうしても冬は斜向かいの棟に陽が遮られて翳るのが早いから、洗濯物もそろそろ取り込まないといけません。
主婦の皆様はもちろんですが、わたくしめのような主夫にも気忙しい季節になってきました。(せめて商店やスーパーのクリスマスソングはまだ流さないで欲しいんだけどなあ考えてる顔
あ、ヨメはんはそんなもんはどこ吹く風と、たっぷり朝寝坊してから”今日は絵だからお昼は1時半で、夜は〇×▽※で8時半過ぎるから先に食べてていいよ”だなんて言い残して出かけました。
〇×▽※なのはよく聞き取れなかったからでありますが、こりゃ普段も補聴器をつける必要があるかもなあ、電池がもったいないからテレビをみるときと音楽会だけにつけてるんですけどね、でもまあ、聞き取れなくてもいい内容に違いないからうんうんって返事さえしてればイイかわーい(嬉しい顔)
しかし、こういう、先に食べてていいよとか簡単なもんでいいからって言うのが曲者で、帰って来てちゃんと食べるんだからね!という強い意志が隠れてまして、小生の手が抜けない性格も見抜いての巧妙な言い回しなんですなあ。
二度手間の食事を作らなくてはならない当方にはエライ迷惑なんでありますが、ま、昭和のお母さんがたを悩ましてきた問題に今頃思いをはせながら献立に苦労するのもなかなか得難い経験だと達観しておりますです。
しかし、ヨメはんの働くおばさんのオヂサン化はますます進んで、洗った靴下はワシのベビーダンスの上に下着と一緒に折りたたんで置いてあげてんですが、近頃は下着こそ仕舞うものの靴下は置いたままで直にとって履いてますし、脱ぎ放題使い放題の度合いもすごいことになってきてます。
ううむ、行く末を案じたら寒さが増してきたのであわててカーディガンを羽織りました。
今日からガスファンヒーターを出し、敷物も畳仕様の物からふかふかの絨毯に替えることにしましょう!

冬備えが済んで一息入れ、珈琲を飲みながらニュースを見たら、《各地で今季一番の寒さ 気仙沼湾では「けあらし」出現》なんて記事があり、なるほどなあと感心しました。
もう、確かに冬なんですね。

先週の土日にふたつのコンサートにいってまいりました。
土曜日が杉並公会堂で行われてる荻窪音楽祭の「第2回フレッシュアンサンブル・コンサート」でした。
友人の娘さんがサポートメンバーで出演するので招待券をいただいたのです。
演目にビバルディの「四季」の秋・冬が含まれていたのも、先月から続く偶然のマイブームでした。

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若い人たちが中心の演奏会とは理解していたのですが、中高生に混じって小学生たちが舞台に現れてきたので驚きました。バイオリンの小さな男の子は座ったらサポートメンバーのおねえさんがたに隠れて見えなくなってしまいましたよ。
しかし、演奏が始まったら今度はそのアンサンブルの美しさにびっくりしました。
もちろん、ボリュームと表現力は先日聴いたサラ・チャンの演奏会とは比べられないくらいなのですが、透明感あるハーモニーのフレッシュアンサンブルには格別の魅力がありました。
そして日曜日が、一橋学園の「学園坂スタジオ」で行われた「シューベルト《美しき水車小屋の娘》全曲演奏会」でありました。
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前川健生(テノール)、大村新(ピアノ)の若き二人が準備万端整え最善を尽くして熱い演奏会をみごとにやり遂げたのであります。
前夜遅くまで話し合って作っていたという、分厚い解説付きの全曲対訳集が皆に渡され、それが何よりの羅針盤となりまして、出席者全員が彷徨うことも居眠りすることもなく感動のうちにシューベルトの歌曲の航海を楽しむことが出来ましたから、もう、エライ!と帰りがけに思わず握手してしまいましたよ。

で、せっかくだから、以下に大村新くんのあいさつ文を掲げておきますね。

ごあいさつ
皆様は中学校の音楽の鑑賞教室で、「目玉の大きなオジサン」が歌うシューベルトの《魔王》を観た記憶はございませんか?
裏声を駆使し、「魔王」になりきるオジサンの不気味なニヤケ顔ー。教室にいた大部分の同級生同様、私はその技術的な凄さよりも
「なに、このオジサン(爆)…ちょっ!マジウケる(笑)」
という感想しか持ちませんでした。
今思えば、このオジサンはドイツを代表する宮廷歌手、ヘルマン・プライ(Hermann prey、1929-1998)だったわけですが…
これが芸術のわからない中学校の頃の私とドイツ・リートとの出会いでした。

その後、何を間違ったのか(?)音楽大学に入学し、受講したソルフェージュの授業での出来事。
二日酔いでフラつく頭を抱えながら、仕方なく教室に座っていると、どこからともなくやってきた「ヘルマン・プライよりも、もっと目の大きなオジサン」(注:先生です)が、突如《魔王》を弾き語り始めたのです!…あの超絶技巧の伴奏と歌を同時に!
しかも、ヘルマン・プライにはなかった、なにか掴みかかるような暗い迫力があったのです。
「なに、このオジサン(恐)…た、ただ者じゃない(怖)」

これが私とドイツ・リートとの再会であり、前川と私の恩師、中村初穂先生との出会いでした。中村先生に出会わなければ、今日の前川と私は存在しません。今日の演奏とお話は中村先生の授業から学んだことがベースになっています。

さて、前置きが長くなりましたが、本日お送りする《美しき水車小屋の娘》(1823)は、フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828)が作曲し、その後の音楽史に多大な影響を与えた「連作歌曲」です。連作歌曲とは、小さな歌曲が集まって一つの物語を形作る歌曲集のことです。
《美しき水車小屋の娘》とは、水車を利用する製粉所で働く主人公の若者と、そこで出会った娘との恋愛模様を描く歌曲集です。しかし最後は、恋人を狩人に奪われ、失恋した主人公の死によって終わる悲劇的な物語なのです。

「なんでそんな暗い曲を演奏するの…」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、このような曲は「私たち自身を映す鏡」のようなものなのです。《美しき水車小屋の娘》を鑑賞することは世界文学の傑作を読むのと同じように、私たちにとって「人生の予習復習」になると言っても良いかもしれません。
期待を胸に旅に出る若者。自分の働き先をみつけた喜び。そこで偶然出会った美しい娘に恋い焦がれる気持ち。そして、束の間の恋の成就。

一転、恋人を奪われたやり場のない怒り、激しい嫉妬。そして絶望と死ー。

《美しき水車小屋の娘》は、誰しもがこれから経験するかもしれない、あるいは経験したことがあるかもしれない感情がリアルに表現された歌曲集であり、そこには作曲されてから200年近く経つ現代においても、私たちの心を打つものがー生き生きとした人間の姿があるのです。

と、立派なことを書きましたが、
「あれ?この主人公、オレじゃん…」
「ちょっ!この主人公のオトコ、キモくない?マジ無理なんだけど!」
「ああ、若い頃、こんなことあったわねぇ…(遠い目)」
など、自由に感想をお持ちいただき、
「間違ってもお帰りの際に、玉川上水に飛び込まない」
ことをお約束していただければ、演奏者としては幸いでございます。

どうぞ、くつろいでお楽しみください。本日はご来場、誠にありがとうございます。

                                 大村 新

いやあ、よかったヨカッタ、小生の誕生古希祝と結婚40周年記念日を飾るにふさわしい演奏会でございましたようるんるんわーい(嬉しい顔)

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