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2020年11月01日16:51

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映画『アウェイデイズ』

70年代末のUKロックに彩られたサッカーサポの青春日記的なものを期待して観に行ったのだけど、イメージしていたものとは随分ちがう作品だった。
まず、サッカー感が薄い(^^;。スタンドの風景とピッチがちょっとだけでてくるのだけど、会話中にもほとんどサッカーに関することがでてこない。
主人公のカーティは中流階級の青年だけど、カジュアルズ(劇中での集団名は ”パック”)にあこがれて仲間に入ろうと一生懸命。パックは暴力的なサッカー観戦集団で敵チームの同様な集団と暴力抗争にあけくれている。カジュアルズはサッカーサポーターが発祥のファッショントレンドで、揃いのスポーツウエア(カジュアルウェア)を着てるところからそうよばれていた。(カジュアルズについては下記のサイトが詳しいhttps://www.vice.com/ja/article/a34jda/working-class-culture-under-thatchers-government-of-casuals-and-fred-perry-01
カーティは、サッカーチームからというより、カジュアルズがカッコイイ!!と思ってスタイルを真似するところが入り口。たぶん、サッカーはどうでもよかったのではないかと思われる。とはいえ、カッコを真似したところで、仲間になることはできない。これは現代のJリーグのゴール裏グループも同じかと。誰かしらグループ内の人間と知り合いにならないと、そうそうグループには入れない。カーティの場合、そのつてとなったのがエコバニ(Echo&the Bunnymen)のライブでであったエルヴィス。

エルヴィスとカーティのBL物としてこの映画を見ると
俄然せつない話にみえてくる。

エルヴィスはパックの中でも少々変わった立ち位置にいる青年。リーダーのおっさん以外みんな揃いのパーカーきてるなか、ひとりだけウェアを着ていない。でも、ちゃんと存在を認められている。彼はパックの一員でもあるが、そのダメさ(過剰な暴力性など)も理解している。レプリカユニを着ないサポーターである自分にはなんとなくエルヴィスの微妙なスタンスはわかるような気がする(^^;
エルヴィスはカーティにとってパックでそれなりのポジションにいる羨ましい存在。
一方、カーティは、アートスクールを中退して伯父さんの会社で働いているが、アートスクール時代のつてでエコバニのライブに招待客で入れる身なので、その趣味の人間からみれば羨まれる立場。アートに関心があってもアートスクールにいくこともできなかったエルヴィスにしてみれば、まさにカーティの方が羨ましい立場。
双方が双方の持つものに憧れ友人関係に。
エルヴィスのおかげでパックに入り込んだカーティーは、存在感をみせようとイキる新入りそのもの。ああ、こういうやつスタジアムにいるよ(^^;と思う私。集団で先鋭化するのって、こういうヤツなんだよね。
それはさておき、カーティはエルヴィスから恩恵をうけたけど、エルヴィスが報われたかっていうとあやしい。エルヴィスはパックに含まれる現実のしがらみから離れたいという思いがあって、その「ここでない場所」へのあこがれがカーティへの想いになっていったように見える。だから、カーティにとってはお愛想であった「一緒にベルリンに行く」ていうのが心の支えになっていったんだと思う。エルヴィスを主軸にみると、カーティが女とみれば見境ない青年として描かれるシーンに、エルヴィス片思いの哀れさを感じずにはいられなかった。

蛇足:

終盤近くにカーティの妹が参加するパーティーの男性陣がラガーマンってとこも中流階級の表現としていかにもだった。いまでこそ、プレミアリーグとかいって上品になったけど、当時はサッカーは下層階級のスポーツ。でも、だからといってラガーマンがお行儀がいいとは限らない。

ストーリー以外に、カーティ&エルヴィスがひっかける女の子がスージー&ザ・バンシーズのスージーもどきだったりと小ネタが面白かったりもした。

音楽はULTRAVOXが多かった。
エンドロールのクレジットにはSimple Mindsがあったように見えたけど
公式のリストにはなかった。

とにかく訛りが強烈で聞きとりに苦労した・・・。
リバプールあたりなのかな。





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