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2020年07月06日18:08

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映画『カセットテープ・ダイアリーズ』

1987年、ロンドンから50kmほどの距離にある街ルートンを舞台に、パキスタン移民の青年を主人公にした青春物語。原題の「Blinded by the Light」はブルース・スプリングスティーンの楽曲名で、ブルースの曲が映画の中で大きな役割を果たしている。

当時のパキスタン移民の置かれていた状況や、西洋的な価値観の世界にいながらパキスタン的な家長制度にしばられるといった移民家庭の親子の事情をしっかりと見せながらも、暗くなりすぎないのは、音楽や映像の使い方のカッコよさのおかげかもしれない。

ブルースの曲だけでなく、当時の音楽としてペットショップボーイズやa-ha、Level42とかも流れて懐かしかった(^^;この時代はユーロビート全盛で、学食にはバナナラマ女子が跋扈していたり主人公の親友(イングランド人)がやってるバンドもファッションからユーロビート系のようだった。そんな若者にとってブルースは古い親父世代が聞く音楽という認識がされているように描かれていたけど、Born in the U.S.Aが84年に大当たりしたのを覚えているので、「古い」扱いされていたのは変な感じだった。でも、調べたら他の曲が70年代のものみたいなので、「古い」扱いもむべなるかな。

主人公は「ライター=書く人」なのだ、とうことがすごく丁寧に描写されてる。
だいたい、10歳から7年間もずっと日記書き続けることだけでも十分すごい。それだけではなく、社会派の内容を歌の歌詞にして親友のバンドに提供したり、考えたことを文章に綴ったものが山ほどある。ただ、それを将来につなげることについては家庭環境もあり臆病だった。どんづまりの中で、なんとなく聴いたブルースの曲が心に刺さったことで、主人公の世界が変わっていく。
しんどい時に共感してくれたり、「逃げちゃダメ」な時に勇気をくれる曲があるって、なんて素敵なんでしょう。楽曲やアーティストに出会うことで、支えられたり、背中をおされるだけでなく、異なる世代、異なる国の人とも繋がることがあるということを、チャーミングなエピソードで観せてくれるところも良かった。

その一方で「ライター」が世の中とつながることの意味や価値についても語られている。書いたものが誰かに届くことによって何かが変わることを感じさせる、生真面目なイングランド人の隣人とのエピソードは、ブルースファンの米国入管職員のエピと共に私のお気に入りだ。

英国的価値観の中では書いたことが評価されるのに、父親の価値観とは衝突してしまう。文化の差の問題と父子の確執そんなことも描かれている。

いろんな要素が盛り込まれていて、それぞれちゃんと考えさせながら、楽しく観ることができる。
ステキな映画だと思う。
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