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2019年12月09日00:51

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『幸福路のチー』

幸福路のチー

 台北に実在するという<幸福路>。
そこに住むチー一家と周辺の人々の暮らしぶりを描く。
舞台は台湾とはいえ、ノスタルジックな印象から『おもひでぽろぽろ』『ちびまる子ちゃん』と比較されるのも頷ける。
幸福路に引っ越してくる冒頭は『千と千尋の神隠し』か『となりのトトロ』を想起しても不思議はない。
アニメーションの実績のない台湾で一から作り上げたソン・シンイン監督の熱意が伝わる。

 米国から祖母の葬儀で台北に戻ったチーが回想とともに自身の問題と向き合う。
アニメーションには一枚絵で魅力的なものと動いてこそ魅力が伝わるタイプがあるとしたら、本作は紛れもなく後者であろう。
現実と幻想、現在と過去が入りまじりアニメでしかできない表現にこれがアニメーション不毛な台湾から生まれたのかと驚くばかり。

 監督の半自伝的存在のチーの成長と台湾の激動の歴史が重なるが、それを色濃く描くのではなくあくまでもパーソナルな視点にとどめたのは正解だったろう。
当時の台湾のローカルな話題はさすがに分からないものの日本のアニメが広く親しまれていたのはよくわかった。

 本作は東京アニメアワードフェスティバル2018のコンペティション部門(長編アニメーション)でグランプリ受賞。
(2019年のアカデミー賞長編アニメーションにもエントリーされた。)

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