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2019年12月07日00:26

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『失くした体』

失くした体

 『アメリ』などの脚本で知られるギョーム・ローランの小説を基にし、これが長編デビューとなったジェレミー・クラパン監督のアニメーション作品。
ピザ配達人ナウフェルの切断された手首が自分の体を求めてパリをさまよう…と、一見するとシュールにも思えるが、アニメーションならではのマジックを感じる。

 なまじリアルなCGだったら不気味で嘘くさく感じたかもしれない。
平坦ながらもあたたかみある手書き風の絵柄がファンタジーとの橋渡しをしている。
手首はネズミやハトと戦い、持ち主である“自分”を探し求める。
その行程と回想が交差しながら展開する文字通り<自分探しの旅>なのである。
そこには世間から切り離された若者の孤独とほのかな恋心が映し出される。

 「恋は盲目」とはよく言ったもので、偶然知り合った女性に思いを寄せるあまりエスカレートする行動にやや閉口するものの、それも若さの特権か。
切断はペナルティであるとともに盲目だった自分を客観視するためのものだろうか。
アニメーションならではのアングルやカメラワークにいつしか引き込まれる。

 カンヌ映画祭批評家週間でアニメーションとして初のグランプリ、アヌシー国際アニメーション映画祭でクリスタル賞と観客賞を受賞。

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