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2020年02月18日09:17

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1382

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1382                 

小林泰三 「アリス殺し」                  

著者はデビュー25年の作家でホラー、SF、
ミステリーと幅広いジャンルでかなりの作品を
上梓している。だが、僕がこの作家の作品を
読むのは初めて。

本作品はSFないしファンタジーとミステリーとを
合体させた傑作。タイトルが示唆しているように
キャロルの「不思議の国のアリス」へのオマージュ
作品だ。

現実の世界と幻想の世界とが設定され、
登場人物は、それぞれ現実世界と幻想世界に
人格を持つ。なので現実世界のAと幻想世界の
Bとは性格も能力も同一ではないが、リンクして
いる。

現実の世界は大学の教員と学生たちの世界で、
幻想の世界では女王や侯爵夫人といった人間も
いるがウサギやトカゲなどの動物らもいる。

主人公の亜里は幻想世界ではアリスで、他の
登場者に比べ同一性が高い。大学内で一人の
学生が亡くなる。建物から落ちたのだが事件
なのか事故なのか分からない。これを発端に
次々と死傷者が出る。

アリスを含め関係者は、幻想世界での殺人と
現実世界での事件とがリンクしていることを
知る。なんとか次の事件を食い止めようとするが、
犯人が分からない。

そして現実世界では警察が乗り出すが、2人の
刑事は幻想世界の存在にきづいているようだ。

犯人の犯行動機は平凡だけれど、トリックや
アリバイなどは本格ミステリーの体をなして
いる。

なによりも登場者が現実世界と幻想世界とを
行ったり来たりするのが面白い。それぞれが
不確かな記憶をたどり、いらいらしながらも
アリスらは真相に近づく。
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